footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第123回は、W杯でまたしても早期敗退を喫したドイツ代表を分析する。2014年W杯優勝を支えた「スペイン化」は、なぜその後の停滞につながったのか。技術と戦術の進化の裏側で、かつて世界を震わせたドイツ特有の強さが失われた原因について思いを巡らせてみた。
「スペイン化」という成功体験の落とし穴
ドイツが初戦で7-1とキュラソーに大勝した時は「おっ?」と思ったんですけどね。初戦大勝のドイツは強いという刷り込みがあったもので。
ところが、コートジボワール戦は勝ったとはいえ苦戦。エクアドルには圧倒されて1-2の負け。ラウンド32はパラグアイに1-1の末にPK負け。前回、前々回のグループステージ敗退よりマシですが、ベスト16に入れなかったのは一緒。あの、かつての憎らしいほど強いドイツはどこへいってしまったのでしょうか。
W杯で最初に優勝したウルグアイは1970年あたりまで強豪でしたが、今ではすっかり古豪扱いになっています。次に優勝したイタリアも、もはや強豪とは呼べない状態。そして3番目に優勝したドイツも怪しくなってきました。ついでに4番目のブラジルもけっこう怪しいのではないかと密かに思っています。
栄枯盛衰は世の習いですから、古い順番に弱体化するのは仕方ないのかもしれません。衰退のサインはアイデンティティの喪失です。
ウルグアイは国の規模が大きくないので別として、イタリアは守備的な戦術が時代遅れと言われるようになり、スペイン化してEURO2020を制したものの、W杯は3大会連続の予選敗退。ドイツは本大会には出ていますが2大会連続のグループステージ敗退に続いて今回もラウンド32敗退。ドイツも2014年大会優勝時にスペイン化していました。
共通のキーワードは「スペイン化」ですね。
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Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。
