【7月1日 CNS】身近に、あるいは自分自身にも、こんな経験があるかもしれない。フードデリバリーを頼む時はまず価格の安い順に並べ、コーヒーが9.9元(約234円)を超えると割高に感じる。だが、こうした極端な低価格の商品は少しずつ減りつつある。これは悪いことではなく、むしろ前向きな変化といえる。

その手がかりになるのが「ケンタッキー指数」だ。ここでいう「ケンタッキー指数」とは、百勝中国(Yum China)が四半期決算で公表しているケンタッキーフライドチキン(KFC)の平均客単価を指す。過去1年を見ると、ケンタッキーの平均客単価は前年同期比で第1四半期に4%低下した後、第2四半期は1%上昇、第3四半期は1%低下、第4四半期は横ばいとなった。

同じ時期、ケンタッキーのシステム売上高の前年同期比伸び率は、第1四半期の3%から第4四半期には8%へと拡大した。データ調査機関・百観科技の呉冕卿CEOはこのほど、上海市新聞弁公室が開いた中外メディア向けの金融・経済サロンで、この指数は2023年第2四半期から下落が続いていたが、足元では回復の兆しが見え始めていると述べた。「ケンタッキー指数」を含む複数のミクロデータは、中国の物価水準が安定から緩やかな回復へ向かっていることを示しているという。

国家統計局のデータでは、今年第1四半期の全国消費者物価指数(CPI)は前年同期比0.9%上昇し、前年通年の伸び率を0.9ポイント上回った。4月には伸び率がさらに1.2%へ拡大した。国家発展改革委員会マクロ経済研究院の劉志成(Liu Zhicheng)研究員は、三里河中国経済観察の取材に対し、「平均客単価の安定と回復は、市場の内在的な動きと政策誘導が重なった結果であり、消費市場が持続的に回復し、成熟へ向かう前向きなシグナルだ」と分析した。

劉氏は、極端な低価格は商家の利益低下や商品・サービス品質の低下につながりやすく、消費需要が相対的に弱い局面では特に起こりやすいと指摘する。今回の変化は偶然ではなく、主に三つの要因があるという。

第一に、消費需要が徐々に回復し、消費者が「とにかく安いもの」だけを求める段階から、品質、体験、納得できるコストパフォーマンスをより重視するようになっている。市場は価格競争から価値競争へ戻りつつある。

第二に、最近の国際原油価格の大幅上昇により、中下流産業の一部でコストが明らかに上昇している。企業が極端な低価格を続ける余地は大きく狭まり、商品やサービス、効率の改善を通じて健全な収益を確保しようとする企業が増えている。

第三に、中国政府が「内巻き式」競争、つまり過度な消耗戦的競争の是正を進めるなか、無秩序な低価格競争への規制が強まり、不適切な競争行為が抑えられている。

劉氏は、足元の物価上昇には国際原油価格の上昇という要因があり、食品価格はなお低い水準にあるとしつつも、物価回復は段階的に進むものであり、全体としては変動を伴いながら緩やかな回復傾向が続く可能性があるとみている。

では、価格の回復はどのような効果をもたらすのか。劉氏によると、消費者にとっては、物価の緩やかな上昇が価格下落への過度な期待を和らげ、所得や雇用への信頼感を高めることで、消費に前向きになりやすくなる。一方で、生活必需品については供給確保と価格安定の措置を通じて、住民生活への大きな影響を防ぐことができる。

企業にとっては、価格の回復が収益見通しや経営環境の改善に直結する。特に長期にわたり価格競争の圧力を受けてきた製造業企業にとって、合理的な利益率を取り戻すことは、研究開発投資の拡大や製品品質の向上につながる。

マクロで見ると、2026年第1四半期の社会消費財小売総額は前年同期比2.4%増となり、前年第4四半期より0.7ポイント加速した。平均客単価が安定し回復するということは、商家が合理的な利益を確保しながら商品を磨き、消費者も安心して自分に合った商品を選べるようになるということだ。それこそが、健全で持続可能な消費の姿といえる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News

 

Share.