群馬県立館林美術館(群馬県館林市)で、「チェコのおもちゃとデザイン ―ニクロヴァーのプラスチック・トイから現代作家のアートまで―」が7月18日から開催されます。
中欧の芸術大国チェコでは、伝統的な木のおもちゃの簡潔で象徴的な造形が、近代以降のアーティストたちの創作の源泉となってきました。戦後、工業化の進展により合成樹脂やプラスチックなどの新素材が導入されると、おもちゃの表現やあり方にも大きな変化が生まれます。こうした動きのなかで、工業デザイナーとしてファトラ社などで活躍したのが、リブシェ・ニクロヴァー(1934-1981)です。ゴム製のおもちゃ、空気で膨らむおもちゃ、音の出るおもちゃなど、新素材の柔軟性や弾力性を活かした作品は、美的感覚と遊び心を兼ね備え、チェコ・デザインを代表する存在となっています。
本展では、ニクロヴァーのおもちゃや試作品を通して、プラスチックが「夢の素材」として捉えられていた時代を振り返ります。あわせて、ラジスラフ・ストナル(1897-1976)、デザインブランド〈tititi〉を手がけるテレザ・タリホヴァー(1977-)をはじめとする作家たちの作品とディアコニエ社による木のおもちゃも紹介し、素材の違いによる表現の多様性にも目を向けます。さらに、ニクロヴァーの息子である現代美術作家ペトル・ニクル(1960-)が手がけた人形劇のパペットや絵本などを通して、その創造的世界の広がりにも迫ります。また、ニクロヴァーのおもちゃに実際に触れることのできるコーナーも設けられます。世代を超えて受け継がれてきた、チェコにおける子どものためのアートの世界を満喫できる展示を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(左から)リブシェ・ニクロヴァー、ファトラ社《ライオンのアコーディオン》 1964年、《ネコのアコーディオン》 1963年、《キツネのアコーディオン》 1964年
リブシェ・ニクロヴァー、ファトラ社《膨らむおもちゃ「水牛のホウコラ」》1985年
チェコのおもちゃとデザイン
―ニクロヴァーのプラスチック・トイから現代作家のアートまで―
会場:群馬県立館林美術館(群馬県館林市日向町2003)
会期:2026年7月18日(土)~9月23日(水・祝)
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:月曜日(7月20日、8月10日、9月21日を除く)、7月21日(火)
観覧料:一般850円、大高生420円
※中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料
※群馬県在住の65歳以上の方は平日のみ2割引
アクセス:
東武伊勢崎線 多々良駅から徒歩約20分(約1.4km)
東北自動車道 館林インターチェンジから車で約20分
詳細は、群馬県立館林美術館公式サイトまで。
本展の見どころ
チェコを代表するデザイナー、リブシェ・ニクロヴァーの国内初の展覧会
本展は、ニクロヴァーをまとまった形で国内で初めて紹介する展覧会です。ファトラ社で生み出されたゴム製のおもちゃをはじめ、空気で膨らむおもちゃ、音の鳴るおもちゃなど、プラスチックという「夢の素材」の可能性を切り拓いた名作と試作品を一堂に展示。デザインと遊び心が融合した数々の作品を見ることができます。
リブシェ・ニクロヴァー、ファトラ社《ネコのアコーディオン》 1963年
リブシェ・ニクロヴァー、ファトラ社《膨らむおもちゃ「ネコのブラッキー」》 1969年
リブシェ・ニクロヴァー、ファトラ社《膨らむおもちゃ「子ネコ」》 1980年
木のおもちゃから現代作家のアートまで、多彩な作品を紹介
ニクロヴァーの作品に加え、伝統的な木のおもちゃから近代のプラスチック製品、さらに現代作家のアートに至るまで、チェコの豊かな創作文化の流れも紹介されます。チェコにおける「子どものためのアート」の発展と表現の広がりを一望できるのも、本展の魅力です。
ラジスラフ・ストナル《ゾウ(国立家内工業教育研究所のためのデザイン)》1930年頃
ヤナ・カドゥレツォヴァー、イジー・ユレツカ、グモテックス社《煙突掃除人》1973年
トファ社《ロボット・エーミル》1960年代
テレザ・タリホヴァー〈tititi《木製指人形「エミール・フィラ」》 2024年
ニクロヴァーの膨らむおもちゃに触れて楽しめるコーナーも
会場では、ニクロヴァーの膨らむおもちゃに実際に触れられるコーナーも設置。一緒に写真撮影ができるフォトスポットとしても楽しめます。目で見るだけでなく、手で触れて体感することで、ニクロヴァーのデザインの魅力をより深く味わう貴重な機会です。
本展は、チェコ・デザインの歴史に燦然と輝くリブシェ・ニクロヴァーの創造力に日本国内で初めて本格的に触れられる初めての機会です。かつて「夢の素材」として未来への希望を託されたプラスチックが、彼女の手によって如何に美しく、かつユーモア溢れるおもちゃへと昇華されたのか、その足跡を辿る旅は新鮮な驚きに満ちています。ぜひ、世代を超えて愛され続けるチェコの子どものためのアートの世界を、五感でたっぷりと堪能してみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)
