公開
2026年08月04日 08時30分

 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は8月2日(現地時間)、AI規制法「EU AI Act」の透明性に関する新たな規則の適用を同日からEU全域で開始したと発表した。同日適用が始まったAI Act 第50条に基づくルールで、生成AIや対話型AI、ディープフェイクなどを提供、利用する事業者が対象となる。

(画像:EU)

 求められる対応は2つ。1つは、AIが生成・加工したコンテンツへのマーキングとラベリングだ。実在の人物や物、場所、事象に似せた画像・音声・動画(ディープフェイク)や、人間による確認や編集を経ずに公共の関心事項について公表されるテキストについては、視認しやすいラベル表示と、機械可読なマークの付与が必要になる。EUは、ラベル表示に使えるアイコンセットも用意した。もう1つは、対話相手がAIであることの明示だ。チャットボットやAIエージェント、アバターなどでは、利用者が人間ではなくAIとやり取りしていることを明確に伝えなければならず、感情認識や生体分類のツールについても、それが使われていることを対象者に知らせる必要がある。

EUが用意したアイコン(画像:EU)

 誰が何を担うかは、プロバイダー(開発元)とデプロイヤー(AIシステムをサービスに導入して使う組織)で分かれる。プロバイダーは、AIとの直接的なやり取りであることが利用者に明示される設計にすることと、生成・加工されたコンテンツを検出できる機械可読マークを付けることを求められる。一方、感情認識・生体分類ツール、ディープフェイク、人間のチェックを経ない公共性の高いテキストについては、それを使って公開するデプロイヤー側が対象者に知らせる義務を負う。

 欧州委員会は事業者向けにガイドラインを公開しており、行動規範(Code of Practice)への署名を通じてコンプライアンスを証明する手段を提示している。ガイドラインはプロバイダーとデプロイヤーの区分やバリューチェーン上のどの立場にどの義務がかかるかを整理し、対話型AIシステムや合成コンテンツ、ディープフェイクの定義、通常の編集作業といった適用除外の例も示す。行動規範に署名しない生成AI事業者は、マーキングとラベリングの義務について、同等に適切な別の手段でコンプライアンスを証明する必要がある。

 執行は各国の市場監視当局が担い、AI事務局の監督下にあるシステムはAI事務局が、EUの機関がプロバイダーあるいはデプロイヤーとなる場合は、欧州データ保護監察官(EDPS)が担当する。違反した企業には最大1500万ユーロ(約25億円)または全世界年間売上高の3%の制裁金が科される可能性がある。EUの機関・団体には最大75万ユーロとされ、中小企業(SME)や中堅企業(SMC)については比例性が考慮される。

 AI Actは2024年8月1日に発効しており、規定ごとに段階的に適用される。

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