ワンオーナーのR34型「V-Spec II Nür」が約3830万円で落札

イタリアで開催されたヒストリックカーイベントで併催されたオークションに、日産が誇る名車である2002年式の「スカイラインGT-R V-Spec II Nür(ニュル)」が出品された。19年間にわたり同一のオーナーの元で愛され続けたこのクルマは、限定色ミレニアムジェイドを纏った極上コンディションを保つ。その保存状態を裏付けるように、なんと20万7000ユーロ(約3830万円)で落札される結果となった。世界中のコレクターが熱い視線を送るR34GT-Rの素性と、欧州市場のJDM人気を分析したい。

最終開発現場となった「伝説のサーキット名」を冠した究極のR34型GT-R

R34型日産 スカイラインGT-Rのモデル末期である2002年に、最終特別仕様車として登場したのが「V-Spec II Nür」である。その車名は、GT-Rが開発テストを行ってきた過酷な「ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ」に由来している。

特別な証として、エンジンルームには赤ではなくゴールドのヘッドカバーとゴールドのVINプレートが輝き、室内には300km/hスケールのスピードメーターが装備されている。

レース用のN1仕様エンジンパーツが組み込まれる

最大のトピックは、レース用のN1仕様エンジンパーツが組み込まれていることである。V-Spec II NürのRB26DETTエンジンには、高ブーストに耐えうる肉厚で専用品番のN1仕様シリンダーブロックが採用された。

さらに、ターボチャージャーも耐久性を重視し、標準のセラミック製からメタル製タービンホイールを持つ大型のN1タービンへと変更されている。ピストンやコンロッドの重量合わせなど、手作業による高精度なバランス取りも施されており、当時の自主規制値である280PSを大きく超えるパフォーマンスを発揮していたと言われている。

富士スピードウェイの麓で育まれたワンオーナーの履歴を持つ

V-Spec II Nürの総生産台数はわずか718台であるが、今回出品された個体はその529台目にあたる。さらに、全生産台数のうちわずか156台しか存在しない専用色「ミレニアムジェイド」を纏っている点も、その価値を圧倒的に高めている。

何よりもバイヤーを惹きつけたのは、その完璧なヒストリーである。2002年の新車登録から約19年間、静岡県に住む同一オーナー(ワンオーナー)によって大切に所有されていた。日本のモータースポーツの聖地である富士スピードウェイのすぐ近くで、定期的なメンテナンスを受けながら素晴らしいコンディションを維持し続けていたのだ。

米国の25年ルール解禁を前にJDM相場が実効性を示す

走行距離はわずか2万9708kmを示しており、追加装備としてNISMO製のチタンストラットタワーバーが装着されているのみで新車当時の姿を美しく保っている。

今回のオークションにおいて、この個体には事前のエスティメート(予想落札価格)として37万5000ユーロから45万ユーロ(約6940万円〜8330万円)という非常に強気な価格が設定されていた。結果として20万7000ユーロ(約3830万円)での落札となったが、これは車両の価値が否定されたわけではない。

とくに2002年式のR34型GT-Rは、アメリカにおける「25年ルール(製造から25年が経過した右ハンドル車の輸入制限解除)」の対象となる2027年を目前に控えており、北米バイヤーを含めた世界中の投資家が水面下で確保に動いている重要な時期である。そうした過熱必至の状況下にあって、欧州のコレクターや投資家たちが実勢価格を冷静に見極めた今回の結果は、青天井で高騰を続けてきたJDM(日本車)市場が、より現実的で適正な価値へと着地しつつある最新の動向を示す指標といえる。時代がどれほど移り変わろうとも、R34型スカイラインGT-Rの伝説は色褪せることなく、世界中のエンスージアストの心を打ち続けていくはずだ。

※為替レートは1ユーロ=185円(2026年7月26日時点)で換算

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