「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングはこのほど、2026年の年間業績予想を上方修正し、売上収益の見通しを前年比約17%増の3兆9700億円に引き上げた。これが実現すれば、同社はスウェーデンのH&M(ヘネス・アンド・マウリッツ)を抜き、「ZARA」を展開するINDITEX(インディテックス)に次ぐ世界第2位のアパレル企業となる。
ファーストリテイリングのこの高い目標を支えるのが、直近で発表された予想を上回る決算だ。2025年9月~2026年5月の累計売上収益は前年同期比17.1%増の3兆700億円、事業利益は同33.6%増の5927億円となり、いずれも過去最高を更新した。なかでもグレーターチャイナ(中国大陸・香港・台湾)の売上収益が約10%増の5608億円となり、営業利益も2桁の伸びを達成、中国大陸の既存店の売上高もプラスに転じた。
これは1年前とは対照的な状況だ。2025年には、グレーターチャイナ事業の売上収益が前期比4%減、営業利益も12.5%減と大幅に落ち込んだ。ファーストリテイリングの海外事業で唯一のマイナスとなり、グループ全体の売上高に占める割合も初めて20%を割り込んだ。
それから1年足らずで回復に転じたが、多くの消費者の肌感覚は違っているようだ。街中でユニクロの店舗が増えたようにはみえない。その答えは「スクラップアンドビルド」という戦略に隠されている。
オンラインで補填、大規模店舗で効率改善
過去20年間にわたり、中国はユニクロの海外事業にとって最も重要な市場となってきた。2002年に上海市に初進出してからハイペースの出店を続け、23年に中国大陸の店舗数は一時926店に達した。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は以前、中国市場には将来的に3000店展開できると語っていた。
しかし消費市場が成熟期に入り、アパレル市場も飽和状態に近づくなか、ユニクロは出店数拡大に頼る従来の成長モデルからの転換を図るようになった。
この数年は、経営効率の悪い小・中規模店舗の閉店を進める一方で、大型旗艦店や大型店舗の出店を強化している。2026年5月末時点で中国大陸の店舗は875店となり、前年同期比で42店減少した。北京市や上海市、山東省済南市などでは長年営業してきた店舗が相次いで閉店し、済南恒隆広場店など各都市の1号店も営業を終了している。
店舗数は減少したものの全体の売上高には影響せず、むしろ経営効率の向上につながった。
ファーストリテイリングの岡崎健CFOによると、一部の店舗は移転・リニューアルによって売上収益が約1.5倍に増加したという。またオンラインと実店舗の運営一体化を推進し、直営システムにより在庫を共有、オンラインで受けた注文を近隣の店舗から発送できるようにしたことで、在庫の回転率が上がりコスト削減を実現した。
今回の戦略見直しではEC事業も重要な柱となっている。同社は、オンライン売上高の割合を約25%から30%に引き上げることを目指し、デジタルチャネルを活用することで店舗網の見直しによる空白をカバーしたい考えだ。
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商品戦略にも変化が見られる。
この数年、多くの消費者はユニクロの値引きセールが明らかに縮小したと感じている。実際に、店舗網の見直しや在庫管理の改善、経営効率の向上に伴い、大がかりな値下げで販売数を伸ばす必要性は減っており、定番商品や通年商品に力を入れて安定した利益率を維持している。これも今回、営業利益の伸びが売上高の伸びを上回った重要な要因のひとつだ。
中国の消費市場がより堅実な成長局面へとシフトするなか、ユニクロの業績回復は海外アパレルブランドの中国戦略が変化しつつあることを映し出している。店舗数の拡大から質の向上へ、規模拡大から効率向上へと、中国市場はまさにファーストリテイリングが世界で成長するための重要な実験場となっている。この改革の効果がようやく見え始めたと言えるのかもしれない。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
