岐阜県現代陶芸美術館(岐阜県多治見市)で、「セラミックス・ジャパン 戦後日本の陶磁デザイン」が10月24日から開催されます。
戦後日本の陶磁器産業は、戦前から培われてきた技術革新やデザイン研究を基盤に、復興期を経て、1950~60年代に大きく発展しました。本展では、戦後直後に始まった実験的な試みを起点に、社会や生活文化の変化とともに展開した、戦後日本の陶磁デザインの流れに焦点が当てられます。
各地の試験場では、素材や成形技術の研究に加え、新しい生活に対応した製品やデザインの開発が進められました。また、海外のデザインや、来日した外国人専門家からの刺激も加わり、戦後の暮らしに寄り添う多様な陶磁デザインが生み出されていきます。高度経済成長期には、住まいの洋風化やLDK型の住居の普及など、暮らしのあり方が大きく変化しました。それにともない、陶磁器にも新たな需要が生まれ、さまざまなデザインの提案が試みられます。
主要産地やメーカーにおけるデザインや技術革新の動向、さらに1990年代以降に広がった手仕事やクラフトへの関心など、時代ごとの潮流にも目を向けながら、現在へと続く日本の多様な陶磁デザインの展開が紹介されます。
食器セット「若杉」|ノリタケ|1959|個人蔵
セラミックス・ジャパン 戦後日本の陶磁デザイン
会場:岐阜県現代陶芸美術館 ギャラリー1
(岐阜県多治見市東町4-2-5 セラミックパークMINO内)
会期:2026年10月24日(土)~2027年1月17日(日)
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日(ただし、11/23[月・祝]、1/11[月・祝]は開館)、11/24[火]、1/12[火]、年末年始(12/28[月]~1/4[月])
観覧料:一般1,000円、大学生800円、高校生以下および18歳未満は無料
※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳、特定医療費(指定難病)受給者証・登録者証をお持ちの方および付き添いの方1名まで無料
アクセス:
JR多治見駅より路線バスまたはタクシーで約10分
中央自動車道多治見インターから車で約10分
詳細は、岐阜県現代陶芸美術館公式サイトまで。
展覧会の見どころ
戦後81年、日本の陶磁デザインの歩みをたどる
私たちの身近にある陶磁デザインは、さまざまな社会的要因に影響されながら、多様に展開してきました。本展では、これまでまとまった形で紹介されることの少なかった、日本の産業・実用陶磁器のデザインに焦点が当てられます。芸術としての「陶芸」だけではない、陶磁デザインの多様な展開に注目することができます。
G型しょうゆさし|白山陶器|森正洋|1958|岐阜県現代陶芸美術館蔵
SPセット|セーエー・クラフト|加達達美|個人蔵
柳宗理、剣持勇ら、デザイナーによる陶磁の世界
陶芸家のみならず、デザイナーや建築家、美術家たちが陶磁という素材とどのように向き合ったのかに注目します。柳宗理や剣持勇といった日本を代表するデザイナー、そして岡本太郎やイサム・ノグチといった芸術家らによる作品は、陶磁がいかにモダンデザインや建築と結びつき、展開していたのかを伝えてくれます。
急須・湯呑|葵産業|剣持勇デザイン研究所|1958|剣持デザイン研究所蔵
スツール|東京クラフト/信楽窯|芳武茂介|1968|山形県南陽市宮内公民館蔵
メーカー、試験場、産地が支えた暮らしのデザインにふれる
戦後の陶磁器産業を支えた公設試験場や研究機関、メーカー、商社、産地の取り組みにも光が当てられます。たとえば海外市場を見据えた製品開発や海外デザインの受容、地域的な技術を活かしたデザイン、また変化するライフスタイルへ応じた提案など、それぞれの立場から生み出された、創意工夫あふれる多彩な陶磁デザインが紹介されます。
ぎやまん陶|カネコ小兵製陶所
日々の食卓やリビングで何気なく手に取っている器の数々には、時代ごとの生活様式の変化や作り手たちの飽くなき探求の軌跡が息づいています。本展は、名だたるデザイナーと職人たちが挑んだ創意工夫に触れ、暮らしを彩ってきた実用陶磁器の美しさと機能美を再発見できる絶好の機会です。ぜひ会場へ足を運び、現在へと受け継がれる豊かな日本の陶磁デザインの魅力を体感してみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)
