ワイヤーハーネスメーカーの信邦電子(3023.TW)は22日、第3四半期決算を公表した。単独四半期の純利益は9.11億台湾ドル(約44億円)で、前四半期比0.8%増、前年同期比24.41%増となった。1株当たり利益(EPS)は3.79台湾ドルで、直近6四半期で最高の水準を記録した。1〜9月期累計の純利益は26.79億台湾ドル(約130億円)で前年同期比10.92%増、EPSは11.16台湾ドルとなり、既に資本金の1倍を超える利益を稼いだ形だ。

単独四半期の数字を見ると、第3四半期の連結売上高は96.96億台湾ドル(約470億円)で前四半期比7.51%増、前年同期比28.40%増となり、成長の勢いは会社側の当初予想を上回った。売上総利益率は23.77%で前四半期比0.77ポイント低下したものの、前年同期比では0.75ポイント上昇した。営業利益は9.45億台湾ドル(約46億円)で前四半期比0.60%増、前年同期比49.99%増。営業利益率は9.74%で前四半期比0.67ポイント低下、前年同期比1.40ポイント上昇した。

1〜9月期累計の連結売上高は270.08億台湾ドル(約1,300億円)で前年同期比15.19%増。売上総利益率は24.26%で前年同期比0.16ポイント上昇。営業利益は28.40億台湾ドル(約140億円)で前年同期比10.76%増。営業利益率は10.51%で前年同期比0.43ポイント低下した。

第3四半期の売上総利益率が前四半期を下回ったことについて、信邦電子は、ラック組立業務の構成比が高まったこと、自動車産業向けの低採算製品の出荷が増えたこと、さらに消費財産業の売上高構成比が前四半期より上昇したことを挙げ、製品構成が変化したと説明した。費用面では、第3四半期の連結営業費用が前四半期比0.86億台湾ドル(約4.1億円)増加した。主な要因は新製品の試作サンプル提供や出荷に伴う運送費だが、売上規模の拡大に支えられ、単独四半期の費用率は前四半期比でむしろ0.10ポイント低下した。

前年同期との比較では、信邦電子は、高採算の中核事業である産業用アプリケーションと医療・ヘルスケアがそれぞれ38.90%増、28.37%増と成長したことが、第3四半期および1〜9月期の売上総利益率をそれぞれ前年同期比0.75ポイント、0.16ポイント押し上げた鍵だと指摘した。同社は今年、市場の先機を捉えるため戦略的投資を強化しており、組織の拡充、市場開拓、新製品の試作サンプル提供や出荷に伴う運送費などを含め、第3四半期の営業費用は前年同期比2.52億台湾ドル(約12億円)増加した。ただ売上規模が大幅に拡大したことで、単独四半期の費用率は前年同期比0.65ポイント低下した。

営業外の成績は為替の影響を受けた。信邦電子によると、新台湾ドルが前年同期より升值したため、第3四半期の営業外利益は前年同期比1.13億台湾ドル(約5.4億円)減少し、1〜9月期累計の営業外利益も前年同期比0.74億台湾ドル(約3.6億円)減少した。

信邦電子の主な財務データは以下の表の通り。

項目2026年第3四半期前四半期比前年同期比2026年1〜9月期前年同期比連結売上高96.96億台湾ドル+7.51%+28.40%270.08億台湾ドル+15.19%売上総利益率23.77%-0.77ポイント+0.75ポイント24.26%+0.16ポイント営業利益9.45億台湾ドル+0.60%+49.99%28.40億台湾ドル+10.76%純利益9.11億台湾ドル+0.80%+24.41%26.79億台湾ドル+10.92%1株当たり利益3.79台湾ドル約+0.80%約+24.26%11.16台湾ドル約+10.93%

注:前四半期比・前年同期比の比率は会社公表数値に基づき整理。EPSの変動率は概算値。

信邦電子の今年の業績推移を振り返ると、第2四半期の売上総利益率は24.54%の高水準だったが、第3四半期は製品構成がラック組立や自動車、消費財向けにシフトしたことで低下した。ただ売上の拡大が利益率構造への圧力を相殺し、さらに高採算の産業用・医療事業が同時に拡大したことで、単独四半期の営業利益は前年同期比で5割近い増益となり、売上成長率を明確に上回った。

アナリストは、信邦電子が近年、最終用途の分散を積極的に進め、産業用や医療・ヘルスケアの比率を高めていることが、消費財エレクトロニクスの景気循環の影響を和らげるのに寄与していると分析する。ただラック組立は組立主導の業務で採算性が相対的に低く、出荷構成比の上昇に伴い短期的には売上総利益率が23〜24%のレンジで推移する可能性があるとし、今後は高採算製品ラインが持続的に拡大できるかが注目されるとした。

今後の見通しについて、信邦電子は、為替変動や製品構成の調整が引き続き外部の課題となるものの、多角的なグローバル展開と技術的な参入障壁を背景に、単独四半期と1〜9月期の純利益はいずれも2桁成長を達成したと説明。各戦略的投資の効果が順次発現し、売上が持続的に成長するにつれ、全体の事業運営は健全な発展のペースを維持できる見込みだとしている。

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