メイブン・スマート・システムが示したAI指揮統制の実力、日本が学ぶべき教訓
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2026.6.30(火)
中東地域に展開している米空母「エイブラハム・リンカーン」に着艦しようとしている早期警戒機「E-2D」ホークアイ(6月10日撮影、米中央軍のサイトより)
米軍がイラン戦争で軍事用AI使用
メイブン・スマート・システムとは
米国防総省は、軍事用AI「メイブン・スマート・システム(MSS)」を正式採用し、イランに対する「エピック・フューリー作戦(Operation Epic Fury)」で驚異的な成果を挙げた。
MSSは、米データ分析企業であるパランティア・テクノロジーズ(Palantir Technologies)が開発を主導したもので、AIを活用した戦場指揮統制システムだ。
パランティア・テクノロジーズの公開資料によると、MSSは衛星、ドローン、レーダー、センサーなどの各種情報ソースから得られた膨大なデータをリアルタイムで統合・処理する。
そして、攻撃目標の特定を高速化し、これまで約半日(約12時間)要していた標的情報を統合・処理するワークフローに要する時間が「1分未満」に劇的に短縮できたという。
その結果、「エピック・フューリー作戦」の38日間で約1万3000の目標を攻撃するなど、戦場でより迅速に、より良い意思決定ができたと、防衛専門ニュースサイト「Breaking Defense」は、国防総省の最高デジタル・AI責任者(CDAO)、キャメロン・スタンレー氏の発言として伝えている。
本作戦を総指揮した米中央軍(USCENTCOM)司令官のブラッド・クーパー(Brad Cooper)提督は、戦争における膨大なデータを分析・処理するため「様々な高度なAIツールを使用している」と述べた。
これらのツールによって指揮官は「敵が反応するよりも速く、より賢明な意思決定を下すことができ、処理時間が数時間・数日から数秒に短縮された」と評価した。
また、「何を撃つか、何を撃たないか、いつ撃つかについての最終的な決定は常に人間が行う」とも述べた。
このように、軍事用AIシステムは多様な情報源からの情報を迅速に処理・分析でき、軍事組織内においてリアルタイムの情報を共有し、全般状況や戦場認識を飛躍的に向上してより的確な意思決定を可能にするツールと言えよう。
ただし、イラン戦争は軍事用AIシステムを導入した最初の戦争ではない。
ウクライナ戦争では、ロシア・ウクライナ双方ともデータ処理と情報分析・画像解析・ドローン運用支援にAIを使用している。
また、ニューヨーク・タイムズ (2025年4月25日付)は、イスラエルがガザ地区のハマスを標的とした空爆のため、潜在的なターゲットの識別プロセスの一部として「ラベンダー(Lavender)」や「ゴスペル(Gospel)」と呼ばれるAIを使用していると報じている。
このように、ウクライナ戦争における米軍の作戦支援やイラン戦争において軍事用AIが重要な役割を担っている。
特に、直近のイラン戦争は、AIツールが軍事作戦でますます使用され、同技術に「飽くなき要求」を示すようになっており、現代の情報化戦争・知能化戦争においてAIは標準的なツールとなりつつある。
他方、2月28日、イランのミナブにある小学校が空爆を受け、イラン発表で少なくとも168人が死亡した。AIを活用した標的設定を含む攻撃プロセスへの依存に対する懸念が改めて浮上した。
また、先端的なAIは、システム上の脆弱性を特定する能力が極めて高く、悪用されると軍事システムを混乱・不能に陥れる恐れが指摘されている。
そのため、米国は、先端的なAIモデルの利用を国家レベルで管理する新たな体制構築を検討し、先進7か国(G7)各国に参加を呼びかけている。
