軍事・地政学ナナメ読み
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深川 孝行
ジャーナリスト
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2026.6.29(月)
オマーン沖のホルムズ海峡(写真:ロイター=共同通信社)
「イラン戦争」は全面戦争への拡大こそひとまず回避されているものの、米国とイランの攻撃・外交応酬はなお収まっていない。凍結資産の扱いや核査察、そしてホルムズ海峡の将来的な管理を巡り、両国の「第2ラウンド」はすでに始まっている。
舞台は、世界屈指の原油・天然ガス産出地帯であるペルシャ湾と、外洋のオマーン湾、さらにインド洋を結ぶエネルギー海上輸送の大動脈、ホルムズ海峡である。その主導権を巡る争いだ。
イランが狙うホルムズ海峡「有料化」と国連海洋法の壁
沿岸国であるイランは、開戦直後から海峡の全面封鎖を断続的に行い、原油やLNG(液化天然ガス)の供給を遮断することで世界経済を混乱させ、アメリカを揺さぶる作戦に出た。
海峡を実質的な管理下に置いたうえで、次の段階として、海峡の航行を求める一部船舶から通航料、のちに「サービス料」と改称された料金を徴収する「ホルムズ有料化」である。この行為は今後、「イランが海峡を管理した」ことを示す有力な根拠にもなり得る。
イランは通航料徴収を常態化させ、これによって得た資金を戦後復興に充てる目算だ。
「海の憲法」と呼ばれる国連海洋法条約(UNCLOS/1982年採択・署名開放、1994年発効)や、その土台となる慣習国際法では、国際的な航行に使われる海峡について一定の考え方が示されている。
具体的には、公海、あるいはEEZ(排他的経済水域)を含む公海的な水域の一部と、別の公海的水域を結ぶ海峡は、概して「国際海峡」と位置付けられる。
国際海峡では一部の例外を除き、すべての船舶・航空機に、継続的かつ迅速な通過を目的とする「通過通航権」が認められる。沿岸国はこれを妨げてはならず、通過通航を停止させることもできない。
通過通航権には航行だけでなく上空飛行も含まれ、潜水艦についても通常の航行形態での通過が認められると解されている。ただし、船舶・航空機は、沿岸国に対する武力による威嚇・武力行使を慎み、継続的かつ迅速な通過に必要な範囲を超える活動を行ってはならない。
