ブラジル対モロッコの1-1の引き分けは、個人技は優れるがチームワークに欠けるブラジルと、組織力は高いが実力で劣るモロッコの対戦だった。

ブラジルは4-2-3-1を採用。GKアリソン、DFイバニェス、マルキーニョス、ガブリエル、サントス。中盤はカゼミーロとギマランエス、2列目にパケタ、ラフィーニャ、ヴィニシウス、最前線にチアゴ。

モロッコも4-2-3-1で、GKボノ、DFマズラウィ、リアド、ディオプ、ハキミ。中盤はアイナウィ、ブアディ、ウナヒ、前線はエル・カンヌース、サイバリ、ディアス。

試合開始から30分間、モロッコが試合を支配し、ブラジルを動揺させた。

試合前、ブラジルは優勝候補、モロッコは下馬評だった。しかし序盤、モロッコは素早いトランジションとコンパクトな中盤で主導権を握り、先制した。

特に若手のブアディは攻守に活発に動き、中盤を支配して試合の主役となった。

守備時は4-4-2のミッドブロックに切り替わり、中盤とDFラインの距離を縮めてスペースを消した。

BRA MORSubstack

前線では無理にプレスせず中央を固め、パスコースを限定。バックパスには素早く圧力をかけ、サイドへ誘導した。

この戦術が奏功し、左サイドに誘導したブラジルのビルドアップをインターセプト。素早くディアスへ展開し、ディアスはマルキーニョスとガブリエルの間を突くスルーパスをサイバリへ。サイバリがゴールへ抜け出し、モロッコが先制した。

ボール奪取から数秒で後方から前線へ素早く切り替えた、当然の先制点だった。

ブラジルはミスが目立ち、ボールを保持しても試合を支配できなかった。

問題はボール保持ではなく、そこから攻撃へ移行する過程にあった。中盤の連係が不足し、前線へ運ぶのに苦慮した。

ブラジルは3-2の布陣でビルドアップを試みた。サントス、ガブリエル、マルキーニョスが最終ラインを構成し、イバニェスは2列目で高い位置を取る役目だった。陣形自体より、中盤と前線の間が空きすぎたことが問題だった。

BRA MORSubstack

ボール保持時はカゼミーロとギマランイスが中盤の軸となったが、後方からのビルドアップで前線へスムーズに移行できず、ボールを喪失。相手のラインを突破できず、序盤から苦戦した。

ボールを失った後の守備も混乱し、モロッコの流動的なポゼッションに守備陣が引き裂かれた。中盤は空回りし、中央も横もカバーしきれず、戦術と選手起用の両面で課題が露呈した。

特にカゼミーロの衰えは顕著で、後半開始早々にファビーニョと交代した。アンチェロッティ監督は前半の途中交代で、中盤とサイドバックの層の薄さをすでに把握していた。その両エリアはモロッコが集中的に狙った場所だった。

ヴィニシウスの個人技が最終ラインの苦戦を覆い隠した。

最終ラインには攻撃を組み立てる「ファシリテーター」が欠けており、多くの攻撃は脅威になる前に崩れ去った。

ここで言う「ゲームメーカー」とは、中盤と前線を結び、プレッシャー下でもボールを受け、味方と連携し、欧州屈指の突破力を持つヴィニシウスやラフィーニャのワイドな動きを生かせる選手だ。その役目を果たす選手がいないため、攻撃は何度も崩れた。

イゴール・チアゴは長身でポストプレーに優れるが、この役割には合わない。最終ラインでボールを待つ典型的なターゲットマンであり、攻撃の起点となるタイプではない。

クニャは攻撃のバランスを取れるフォワードなので、イゴール・チアゴではなく彼を起用しなかったのは意外だった。イゴール・チアゴはリードを追う後半に投入し、エリア内に人数を揃えるタイプの選手だからだ。

結論

ブラジルは個人技で優っても、大会前から指摘される課題が露呈した。ビルドアップは精度不足でコンパクトなブロックを崩せず、ボールを失った後の守備も脆弱だ。強豪相手には、この欠点が命取りになるかもしれない。

モロッコは組織的な守備とカウンターで世界屈指のタレントを擁するブラジルと互角に戦い、戦術的に高い評価を受けるチームであることを再証明した。

Share.