長野えびす講煙火大会(11/23)の需要反応 — 連休最終夜の推定OCCが中日を上回る長野市のブッキングカーブ

長野市の秋を締めくくる第120回長野えびす講煙火大会は、2026年11月23日(月・祝)18:00から長野大橋西側・犀川第2緑地で約1万発が打ち上げられる。今年の開催日は勤労感謝の日で、11月21日(土)から3連休の最終日にあたる。ホテルバンク編集部が長野市の宿泊施設(全業態 N=45〜48施設・2,380〜2,441室、主要予約サイト掲載ベース)のブッキングカーブを10月25日時点で確認したところ、花火当夜11月23日の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)は宿泊日の45日前で80.9%、30日前で87.4%に達し、連休中日の11月22日(日)の83.3%(30日前)を上回っていた。連休の最終夜は多くのエリアで初日・中日より低く出るのが通例であり、同じ30日前の断面で愛知県のビジネスホテルが58.6%、宮城県が51.3%にとどまるのとは対照的である。本稿では価格ではなく推定OCCと完売施設率の進捗に絞り、花火当夜の需要がいつ・どの業態で積み上がり、残る4週間で何を見るべきかを読み解く。

対象: 長野市(市区町村単位)の宿泊施設 全業態 N=45〜48施設・2,380〜2,441室、うちビジネスホテル N=13施設・1,602室、旅館 N=15〜17施設・145〜191室(宿泊日ごとの固定コホートのため日によって施設数が異なる)。本記事の価格指標は推定成約ADR(OTA等の販売データから推定される成約価格水準・税抜相当・月次)、稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値。いずれも定義は記事末尾。データ時点: 2026年10月25日(最新観測日は10月24日)。

本記事のデータについて
• ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。
• エリア(都道府県・市区町村)単位のADRは、対象施設の推定成約単価の中央値(エリアの標準的な施設の水準)です。
• 掲載価格に言及する箇所は、2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。
• 出典:メトロエンジンリサーチ(国内約168,000施設のOTA公開価格を継続追跡、うち稼働確認済み約27,000施設)

Key Takeaways

— 花火当夜11/23は30日前(2026年10月24日観測)で推定OCC87.4%(長野市全業態・N=46施設)。連休中日22日の83.3%を上回り、45日前の80.9%から既に中日より高かった。
— 最終夜÷中日は長野市ビジネス1.11・全業態1.05。長野県ビジネス0.89・愛知県0.79・宮城県0.63はいずれも最終夜が落ち込む。
— ビジネスは当夜90.3%でも完売は13施設中1施設。完売施設率は45日前15.4%→7.7%と下がり、残室は各館に分散している。
— 旅館の当夜は65.8%にとどまる(N=16施設・158室)。花火需要は市街地のホテルに寄り、温泉滞在型には同じ強さで届いていない。
— 長野県ビジネスの推定成約ADRは確定9月¥8,622・前年比+11.6%。残り4週間は残室を値下げで埋めるより単価を守る判断が効きやすい。

花火当夜11月23日 — 45日前80.9%から30日前87.4%へ、連休中日を上回って推移

まずは長野市の全業態で、えびす講の週末4泊のブッキングカーブを並べてみる。宿泊日の45日前の時点で、連休初日の11月21日(土)が86.1%、中日の22日(日)が75.0%、花火当夜の23日(月・祝)が80.9%、翌24日(火)が62.4%だった。土曜が最も高いのは長野市の平常の週末と同じ形だが、注目すべきは最終夜の23日が中日の22日を5.9pt上回っている点である。45日前から直近までの上積みは21日が+7.4pt(直近28日前で93.5%)、22日が+9.0pt(29日前で84.0%)、23日が+6.5pt(30日前で87.4%)、24日が+5.8pt(31日前で68.2%)と、いずれも週に3〜4pt前後のペースで積み上がっており、花火当夜だけが突出して速いわけではない。つまり当夜の高さは「45日前の時点で既に厚く入っていた」ことに由来し、直近4週間の駆け込みで逆転したものではないと読める。イベント日の需要が観測窓に入る前に固まる型は、イベント需要は45日前に決着していた — 宮城県・定禅寺ジャズフェス2026で確認した宮城の事例とも重なる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

参考として前週の同じ曜日を見ると、11月14日(土)は45日前で92.4%、直近21日前で95.7%とほぼ満室圏にあり、15日(日)は73.5%から77.9%、16日(月)は68.4%から78.5%へ推移している。前週の日曜(15日)と連休中日(22日)が45日前でほぼ同水準(73.5%と75.0%)なのに対し、平日の月曜である16日が68.4%、連休最終日の23日が80.9%と12.5ptの差がある。この差分が、花火と祝日が重なったことで生まれた上乗せ分の目安になる。

表1 長野市 全業態の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)定点比較 — 2026年10月25日時点宿泊日N(施設・室)45日前30日前直近(LT)上積み完売施設率 45日前→直近11/14(土)前週48・2,44192.4%93.6%95.7%(21日前)+3.3pt56.2%→68.8%11/15(日)前週48・2,44173.5%75.0%77.9%(22日前)+4.4pt23.4%→27.1%11/16(月)前週47・2,42868.4%72.9%78.5%(23日前)+10.1pt28.3%→29.8%11/20(金)48・2,44172.0%80.6%82.0%(27日前)+10.0pt22.9%→27.1%11/21(土)連休初日48・2,44186.1%92.8%93.5%(28日前)+7.4pt39.6%→58.3%11/22(日)連休中日48・2,44175.0%83.3%84.0%(29日前)+9.0pt35.4%→35.4%11/23(月・祝)花火当夜46・2,39380.9%87.4%87.4%(30日前)+6.5pt28.3%→28.3%11/24(火)45・2,38062.4%—68.2%(31日前)+5.8pt31.1%→31.1%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

完売施設率(OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合・推定)に目を移すと、別の構図が見えてくる。連休初日の21日は45日前の39.6%から直近58.3%へと完売施設が着実に増えているのに対し、花火当夜の23日は45日前も直近も28.3%で変わっていない。推定OCCが6.5pt上がったのに完売施設が増えていないということは、当夜の予約は特定の施設に集中して売り切るのではなく、まだ在庫を持つ7割強の施設に薄く広く入ったことを意味する。初日は「売り切れる施設が増える局面」、当夜は「全体が埋まるが売り切れはまだ広がらない局面」と、同じ連休でも消化の型が違う。

ここで平常時の曜日形状を押さえておきたい。長野市全業態の経過月実績では、10月1〜25日の推定OCC平均が96.4%(N=41〜47施設・2,387〜2,468室)と高水準で、曜日別では日曜92.1%・月曜92.9%に対し火〜土曜が96.9〜99.5%と、日・月が週の谷になる。9月も平均92.5%(N=36〜46施設・2,312〜2,428室)で日曜88.9%が最も低い。平常の月曜が谷であることを踏まえると、月曜である11月23日が30日前の時点で中日の日曜を上回っていること自体が、花火による需要の持ち上げを示す材料といえる。

ビジネスホテル — 当夜90.3%で中日を9.0pt上回るが、完売は広がっていない

次に業態を分けて見る。長野市のビジネスホテル(N=13施設・1,602室)は全業態の客室数の3分の2を占め、カーブの形を左右する存在である。45日前の推定OCCは21日(土)83.6%、22日(日)69.7%、23日(月・祝)82.3%、24日(火)57.6%で、当夜が中日を12.6pt上回っていた。30日前にはそれぞれ92.4%、81.3%、90.3%へと進み、中日の上積みが+11.6ptと最も大きかったため差は9.0ptまで縮んだものの、当夜が中日を上回る順位は変わっていない。全業態(30日前で87.4%)より当夜の水準が高いのは、花火を目的とする個人客が市街地のビジネスホテルを選びやすい立地条件と整合的である。

表2 長野市 ビジネスホテル(N=13施設・1,602室)の推定OCC定点比較 — 2026年10月25日時点宿泊日45日前30日前直近(LT)上積み完売施設率 45日前→直近11/20(金)70.4%81.9%83.3%(27日前)+12.9pt0.0%→7.7%11/21(土)連休初日83.6%92.4%93.1%(28日前)+9.5pt23.1%→53.8%11/22(日)連休中日69.7%81.3%81.9%(29日前)+12.2pt7.7%→23.1%11/23(月・祝)花火当夜82.3%90.3%90.3%(30日前)+8.0pt15.4%→7.7%11/24(火)57.6%—66.1%(31日前)+8.5pt0.0%→0.0%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

完売施設率はN=13のため1施設の動きで7.7pt変わる点に留意が要るが、方向感ははっきりしている。初日の21日は45日前の23.1%から直近53.8%へと半数超の施設で掲載在庫が消え、中日の22日も7.7%から23.1%へ増えた。一方で花火当夜の23日は15.4%から7.7%へと、完売状態だった施設が販売を再開した動きが見られ、直近では13施設中1施設しか完売に至っていない。推定OCCが90%に達しながら完売が1施設という組み合わせは、残り1割弱の在庫がほぼ全ての施設に分散して残っていることを示す。当夜に向けた残室は「どこか1軒に固まっている」のではなく「各館に数室ずつ」という状態であり、各館のラストミニッツの売り方がそのまま市場全体の着地を決める局面にあるといえる。

補助的に旅館(N=15〜17施設・145〜191室)も確認しておくと、形はビジネスホテルと異なる。旅館は初日の21日が45日前86.4%・直近89.0%(28日前)、中日の22日が74.9%・81.2%(29日前)と連休前半は高いが、花火当夜の23日は61.4%から65.8%(30日前)にとどまり、翌24日の71.0%より低い。客室数が小さいため断定は避けるが、花火当夜の需要は「市街地で花火を見て翌朝帰る」行程に向いたホテルに寄り、温泉滞在型の旅館には同じ強さで届いていないと読める。

他エリアとの比較 — 連休最終夜が中日を上回るのは長野市だけ

長野市の形がどれほど特殊かを測るため、同じ11月21〜23日のビジネスホテルのカーブを長野県全体・愛知県・宮城県と並べる。30日前の断面で中日22日に対する最終夜23日の推定OCCは、長野市ビジネスが81.3%に対し90.3%(比1.11)、長野市全業態が83.3%に対し87.4%(比1.05)と最終夜が上回るのに対し、長野県ビジネス(N=80施設・7,560室)は78.1%に対し69.2%(比0.89)、愛知県ビジネス(N=173施設・26,232室)は73.8%に対し58.6%(比0.79)、宮城県ビジネス(N=61施設・8,976室)は81.5%に対し51.3%(比0.63)と、いずれも最終夜が明確に落ち込む。3連休の最終夜は帰宅日にあたるため、通常は中日より9〜30pt低く出るのが自然な形であり、長野市はその常識が当てはまらない例外になっている。長野県自身も10月のスポーツの日3連休では最終日が初日を大きく下回っており(長野の三連休、最終日の推定OCCは69.1%を参照)、今回の形は県の通常パターンとも異なる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

表3 連休3泊の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)— エリア比較、2026年10月25日時点エリア・業態(N)11/21(土)45日前→30日前11/22(日)45日前→30日前11/23(月・祝)45日前→30日前最終夜÷中日(30日前)長野市 全業態(46〜48施設・2,393〜2,441室)86.1%→92.8%75.0%→83.3%80.9%→87.4%1.05長野市 ビジネス(13施設・1,602室)83.6%→92.4%69.7%→81.3%82.3%→90.3%1.11長野県 ビジネス(80施設・7,560〜7,629室)81.5%→90.7%69.7%→78.1%63.3%→69.2%0.89愛知県 ビジネス(173施設・26,232〜26,233室)78.1%→88.0%65.2%→73.8%51.8%→58.6%0.79宮城県 ビジネス(61施設・8,976室)88.6%→92.4%70.7%→81.5%45.0%→51.3%0.63

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

興味深いのは長野県全体との差である。長野市を含む県単位のビジネスホテルでも最終夜は中日を8.9pt下回っており、県内の他都市では「最終夜が落ちる」通常の形が保たれている。言い換えれば、花火による持ち上げは長野市の市街地に集中しており、県全体の数字に埋もれてしまう規模の局地的な需要である。市区町村単位でカーブを切り出して初めて見える反応であり、イベント需要を捉えるには県単位の指標では粗すぎることを示す事例でもある。同じ11月21〜23日の連休を県単位・業態別に5県で並べた10月9日断面は、紅葉3連休11/21〜23の予約進捗、京都の旅館は残室18%・長野32%で整理している。

価格の文脈 — 長野県ビジネスホテルの推定成約ADRは9月確定で前年比+11.6%

本稿は価格水準を主題にしないが、稼働の強さを読む背景として月次の推定成約ADRだけ確認しておく。長野県のビジネスホテル(N=168施設)の2026年9月の推定成約ADR(確定値)は¥8,600で、前年9月の¥7,700(N=162施設)に対し+11.6%だった。1〜9月を通してみると前年同月比は+2.9%(6月)から+11.6%(9月)の範囲で全月プラスを保っており、8月の¥9,500(前年比+3.3%)が年間のピーク、9月が2番目の高さになる。前年の11月は¥7,800(N=161施設・確定値)で、えびす講を含む月の水準として参照できる。花火当日の日次価格はここでは扱わないが、月次の単価が前年を上回り続ける中で花火当夜の稼働が平常の連休最終夜を大きく超えているという組み合わせは、長野市の11月後半が「単価と稼働の両方で前年を上回る余地のある時期」であることを示している。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

花火当夜の着地シナリオ — 残室の消化率と単価×稼働の感応度

ここまでの観測を、残る4週間の判断に置き換えておく。長野市のビジネスホテル(N=13施設・1,602室)は花火当夜の23日が30日前(2026年10月24日観測)で推定OCC90.3%で、市場全体の残室は約155室(1,602室×9.7%)にあたる。この残室が当日までにどれだけ消化されるかで、着地は3通りに分かれる。下表は客室100室の施設が市場と同じ稼働で着地すると仮置きし、単価を長野県ビジネスホテルの前年11月の推定成約ADR(¥7,824・確定値)に固定した場合の1泊あたり客室収入の目安である。花火当夜の実際の単価は月平均より高いはずだが、本稿は日次価格を扱わないため、ここでは月次の確定値を物差しとして使う。

表4 花火当夜11月23日 ビジネスホテルの着地シナリオ(2026年10月24日観測・推定OCC90.3%から)シナリオ前提市場で追加消化される残室着地の推定OCC100室あたり客室収入悲観との差悲観30日前以降の上積みなし(完売施設の販売再開が続く)0室90.3%¥706,507基準中位市場の残室の半分を当日までに消化78室95.2%¥744,845+¥38,338楽観市場の残室の4分の3を当日までに消化116室97.6%¥763,622+¥57,115

推定OCCはOTA掲載在庫ベースの推定値。客室収入=推定成約ADR ¥7,824(長野県ビジネスホテル・2025年11月確定値・税抜相当、N=161施設)×着地OCC×100室の試算で、実際の売上・会計数値とは異なる。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

3つのシナリオの幅は、100室あたり最大でも¥57,115程度にとどまる。稼働がすでに9割を超えている夜では、残室を全部売り切っても上積みできる客室数そのものが小さいためである。単価と稼働を2軸で並べると、この関係がよりはっきりする。下表の網掛けは前年11月の単価・稼働90%の基準セルで、単価を10%引き上げて稼働90%で着地した場合(¥7,745)は、単価を据え置いて稼働96%まで売り切った場合(¥7,511)を上回る。完売施設が13施設中1施設にとどまり、残室が各館に数室ずつ分散している今回の局面では、最後の数室を値下げで埋めにいくより、残室の単価を守るほうが収入面で合理的になりやすい。

表5 単価×稼働の感応度(販売可能な1室・1泊あたりの目安、基準:¥7,824・稼働90%)単価(前年11月確定比)\ 着地稼働(想定)88%90%92%94%96%±0%(¥7,824)¥6,885¥7,042¥7,198¥7,355¥7,511+5%(¥8,215)¥7,229¥7,394¥7,558¥7,722¥7,886+10%(¥8,606)¥7,573¥7,745¥7,918¥8,090¥8,262+15%(¥8,998)¥7,918¥8,098¥8,278¥8,458¥8,638+20%(¥9,389)¥8,262¥8,450¥8,638¥8,826¥9,013

単価×稼働=推定成約ADR(税抜相当)×推定OCC(OTA掲載在庫ベース・着地の想定値)。RevPARの目安として用いる試算値で、実際の客室収入とは異なる。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

長野市のビジネス・シティホテルを運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン

運営目線のインサイト

1. 当夜の高さは「早く入った」結果であり、駆け込みはこれから。 11月23日の推定OCCは45日前で既に80.9%(全業態)・82.3%(ビジネス)と連休中日を上回り、その後の上積みは週3pt前後と他の日と変わらない。自館の23日の予約ペースが45日前時点で市場より明らかに薄かった場合は、花火需要を取り込めていない可能性を疑い、残り4週間の露出と販売条件を点検したい。

2. 完売が広がっていないことが最大の論点。 ビジネスホテルの23日は推定OCC90.3%(2026年10月24日観測・30日前)に対し完売施設は13施設中1施設で、残り在庫は各館に分散している。市場全体として売り止めの施設が少ないため、最後の数室の売り方は競合の動きに左右されやすい。自館が完売に近いなら残室の価値を守り、まだ余裕があるなら中日22日との差(市場では9.0pt)を自館でも確認し、どちらの夜に重点を置くかを決める判断材料になる。

3. 連休中日22日と翌24日が相対的な弱点。 22日(日)は30日前で81.3%(ビジネス)と当夜より低く、24日(火)は66.1%(31日前)にとどまる。花火当夜の需要が強いほど、前泊・後泊を組み合わせた連泊の提案が効きやすい。23日単泊で埋まりきる前に、22〜23日や23〜24日の2泊を選びやすい条件を用意しておく余地がある。

4. 旅館との棲み分けを意識する。 旅館の23日は30日前で65.8%と低く、花火当夜の需要は市街地のホテルに寄っている。ホテル側は花火観覧に便利な立地そのものが価値であり、会場までの動線や終演後の帰館のしやすさを販売面で伝えることが、価格以外の差別化になると考えられる。

表6 アクションプラン(長野市のビジネス・シティホテル向け)時間軸打ち手判断トリガー(本記事の数値に基づく)狙い今日〜今週(30日前)自館の11/21〜24の予約率を市場の30日前断面と照合するビジネスの市場値は21日92.4%・22日81.3%・23日90.3%。自館の23日がこの水準を大きく下回るなら露出と販売条件を見直す花火需要の取りこぼしを早期に発見する今日〜今週23日の残室を「売り切る数」と「直前まで残す数」に分ける市場では23日の完売施設が13施設中1施設にとどまり、在庫が各館に分散している最後の数室の価値を競合任せにしない2週間以内(15日前前後)22〜23日・23〜24日の2泊を選びやすい条件を整える22日は30日前で81.3%、24日は31日前で66.1%と当夜より9〜24pt低い当夜の強さを前後泊に波及させる2週間以内前週11/14〜16の着地と比べて、23日の上積みペースが鈍っていないかを確認する前週の月曜16日は直近23日前で78.5%、連休最終夜の23日は30日前で87.4%。差が縮むなら駆け込みが弱い45日前の貯金に頼らず直前期を管理する直前(7日前〜当日)完売施設率の変化を週1回追い、自館の売り止めタイミングを決める初日21日は完売施設率が39.6%から58.3%へ拡大、当夜23日は28.3%で横ばい。当夜の完売が広がり始めたら残室の販売条件を引き締める判断に使える市場の締まり具合に合わせて残室を売る直前荒天時の対応方針を事前に決めておく大会は雨天決行、自然災害時は中止と案内されている(開催条件は主催者の最新公表で確認したい)。当夜の予約は45日前から厚く入っているため、中止時のキャンセル集中に備える想定外の当日キャンセルを最小化する

まとめ — 連休最終夜のイベント需要を測る3つの物差し

第一に「最終夜÷中日」の比率である。30日前の推定OCCで長野市ビジネスは1.11、全業態は1.05と1を超えたのに対し、長野県全体0.89・愛知県0.79・宮城県0.63はいずれも1を下回った。この比率が1を超える日は、曜日や連休の位置ではなくイベントそのものが需要を作っていると判断できる。第二に「45日前の水準と上積み幅の組み合わせ」である。23日は45日前で80.9%と高く、上積みは+6.5ptと他の日と同程度だった。早期に厚く入る型のイベント需要では、直前の駆け込みに期待するより45日前時点の立ち位置が結果を決める。第三に「推定OCCと完売施設率のずれ」である。推定OCCが90%に達しながら完売施設が1施設という状態は、在庫が分散して残っていることを意味し、各館の残室戦略が市場の着地を左右する。長野えびす講煙火大会の当夜は、この3つの物差しが揃って「強いが売り切れていない」局面を示しており、残る4週間は数字の高さに安心するのではなく、分散した残室をどう売るかが問われる期間になる。

よくある質問
Q. 長野えびす講煙火大会2026はいつ・どこで開催されるのか。

A. 第120回大会は2026年11月23日(月・祝)18:00から長野大橋西側・犀川第2緑地で開催され、約1万発が打ち上げられる。勤労感謝の日にあたり、11月21日(土)からの3連休の最終日になる。

Q. 花火当夜11月23日の長野市の宿泊需要はどの程度強いのか。

A. 2026年10月24日観測(宿泊日の30日前)で長野市全業態の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)は87.4%、ビジネスホテルは90.3%で、いずれも連休中日22日(83.3%・81.3%)を上回っている。3連休の最終夜は通常は中日より低く出るため、花火による上乗せと読める。

Q. 他のエリアでも連休最終夜が中日を上回っているのか。

A. 同じ30日前の断面でビジネスホテルの最終夜÷中日を比べると、長野県全体0.89・愛知県0.79・宮城県0.63といずれも1を下回り、1を超えたのは長野市(ビジネス1.11・全業態1.05)だけだった。

Q. 推定OCCが9割を超えているのに完売施設が少ないのはなぜか。

A. ビジネスホテルの23日は推定OCC90.3%(2026年10月24日観測)に対し完売施設は13施設中1施設で、残り1割弱の在庫がほぼ全ての施設に数室ずつ分散している。特定の施設が売り切れるのではなく、全体が薄く広く埋まっている状態である。

Q. 残り4週間でレベニューマネージャーは何を確認すべきか。

A. 自館の11月21〜24日の予約率を市場の30日前断面(ビジネス:21日92.4%・22日81.3%・23日90.3%)と照合し、23日が大きく下回るなら露出と販売条件を見直したい。完売施設率が当夜も広がり始めたら残室の販売条件を引き締め、22〜23日・23〜24日の2泊を選びやすい条件で前後泊に需要を波及させる余地がある。

データについて

・推定OCC(OTA掲載在庫ベース)の定義: OTA掲載在庫ベース稼働率 = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。対象は総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で構成した固定コホート(各宿泊日で同じ施設集合。本記事に併記した対象施設数がその施設数)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(掲載外の客室を消化済み側に数えるため高めに出る)。対象月は2026年11月(宿泊日11月14〜16日、20〜24日)、経過月実績は2026年9月・10月1〜25日。

・ブッキングカーブ: 宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。定点は45日前・30日前・直近(10月24日観測)。

・完売施設率: OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)。固定コホート内の施設数を分母とする。

・推定成約ADRの定義: OTA等の販売データ(最安プラン水準×業態別係数・複数チャネルのアンサンブル)から推定した成約価格水準(税抜相当)。過去月は確定値、現在・未来月は現時点の販売状況に基づく推定値。公表運営実績との照合で誤差中央値6.6%。本記事で引用した月はすべて確定値であり、長野県のビジネスホテルを対象とする月次値である。

・対象 N= の内訳: 長野市 全業態 45〜48施設・2,380〜2,441室(宿泊日により異なる)、ビジネスホテル 13施設・1,602室、旅館 15〜17施設・145〜191室。比較エリアのビジネスホテルは長野県 80施設・7,560〜7,629室、愛知県 173施設・26,232〜26,233室、宮城県 61施設・8,976室。推定成約ADRは長野県ビジネスホテル 2026年9月 N=168施設、2025年9月 N=162施設、2025年11月 N=161施設。いずれも主要予約サイト掲載ベース。

・データ時点: 2026年10月25日(最新観測日は10月24日)。販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は取得時点のスナップショットである。

参考資料・出典一覧

■ データソース

メトロエンジンリサーチの宿泊日別ブッキングカーブ(長野市 全業態・ビジネスホテル・旅館、宿泊日2026年11月14〜16日・20〜24日、45日前〜2026年10月24日観測)、同じ3連休の県単位ビジネスホテルのカーブ(長野県・愛知県・宮城県)、長野市の推定OCC日次集計(2026年9月・10月1〜25日)、長野県ビジネスホテルの推定成約ADR月次集計(2025年1月〜2026年9月の確定値、N=161〜173施設)。

■ 試算前提

最終夜÷中日は30日前の推定OCC同士の比。上積みは45日前から直近観測までの差。表4は30日前のビジネスホテル市場の残室(1,602室×9.7%≒155室)の消化率を0%・50%・75%と置いて着地OCCを求め、客室100室の施設が市場と同じ稼働で着地すると仮置きして、単価を長野県ビジネスホテルの2025年11月確定値¥7,824に固定した客室収入を比べた。表5は同じ単価を基準に+0〜20%、着地稼働を88〜96%の範囲で動かした単価×稼働の目安。

■ 限界・留意点

推定OCCはOTA掲載在庫ベースの推定値で、掲載外の客室を消化済み側に数えるため実客室稼働率より高めに出やすい。完売施設率はN=13のビジネスホテルでは1施設で7.7pt動く。旅館は客室数が小さく参考値。表4・表5の単価は月平均の確定値であり、花火当夜の実際の単価や各施設の売上とは異なる。数値は2026年10月25日時点のスナップショットで、宿泊日が近づくにつれて更新される。シティホテルは長野市のコホートにデータがなく、本稿では扱っていない。

・長野商工会議所「第120回長野えびす講煙火大会」開催概要(共同通信PRワイヤー、2026年8月31日配信): https://kyodonewsprwire.jp/release/202608314952

・第120回 長野えびす講煙火大会 開催情報(ウォーカープラス 花火特集): https://hanabi.walkerplus.com/detail/ar0420e01112/data.html(打ち上げ時間18:00〜19:30、「雨天決行。自然災害が発生した際は中止。」)

・長野えびす講煙火大会 公式サイト(2026年10月25日時点ではメンテナンス中のため、開催情報は上記2点で確認した): https://nagano-ebisukou.jp/

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