今シーズンからフィギュアスケートの国際大会に条件付きで復帰し、その存在感を示している「王国」の選手たち。知られざるロシアフィギュアスケート界の今を、現地からリポートする。〈全2回の後編/前編も公開中です〉

 結婚・出産を経て競技復帰したアレクサンドラ・イグナトワ(旧姓・トゥルソワ)は、古巣であるエテリ・トゥトベリーゼの元で再スタートした。2度目の“出戻り”が許されたのは騒動を経ても失われなかった師弟関係の証でもあるが、そこには別の事情もある。

 実は今シーズン、トゥトベリーゼの元に残っているシニア女子シングルの有力選手はアレクサンドラ・イグナトワしかいない。

 ドーピング問題により4年間の資格停止処分を受けたカミラ・ワリエワは、処分明けとなった昨年12月、タチアナ・ナフカが主宰するアカデミー「ナーシィ・ナデジディ(私たちの希望)」に移籍。現在はCSKAモスクワから移ったスベトラーナ・ソコロフスカヤの指導を受けている。

 トゥトベリーゼの元を去る際は、慣例に従い、花束をもっての円満な退団だったというが、のちにドキュメンタリー番組でタチアナ・ナフカが明かしたところによれば、ワリエワが「あそこには行きたくない。もう必要とされていないと感じる」と話していたという。

「これまで指導してきた選手たちには申し訳ないですが、カミラこそ最も才能ある選手です。カミラの苦しみは、私たちの苦しみでもある」

 かつてトゥトベリーゼにここまで言わしめたワリエワだったが、ドーピング問題は大きな影を落とし、師弟関係解消にまで発展することになったのだった。

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