愛知県のホテル市場は、県全体の平均値を見ているだけでは輪郭がつかめない。メトロエンジンリサーチのデータで市町村別の推定成約ADRを直近12か月(2025年8月〜2026年7月の確定月)で集計すると、最も高い南知多町が約¥16,900、最も低い刈谷市が約¥6,100と、同一県内で2.8倍の開きがあった。しかもこの差は「都心が高く郊外が安い」という一般的な構図とは逆で、県全体の客室ストックの約半分を抱える名古屋都心(中村区・中区)は約¥10,100と、湾岸の観光帯より4割ほど低い水準にある。本稿では愛知県23市町村の通年ADRを4つの層に整理し、客室ストック・季節性・供給パイプラインと重ねて市場構造を読み解く。

本記事における指標の定義

ADR(平均客室単価)=各施設がOTA等で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。
掲載価格=OTA等に掲載されている全プランの平均(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)。本記事ではADRとは区別して表記します。
確定月/推定月=2026年7月までは確定した実績ベース、2026年8月以降は調査時点の掲載水準にもとづく推定です。前年同月比の集計は確定月のみを用いています。
データ出典:メトロエンジンリサーチ

Key Takeaways

— 2.8倍 愛知県内の12か月平均 推定成約ADR は南知多町 ¥16,943 と刈谷市 ¥6,130 の間で2.8倍の開き。県平均 ¥8,818 は主要6府県で最低水準。
— 順位が反転 客室ストックの48.1%を抱える名古屋都心は ¥10,057 で、県内室シェア5.7%の観光・湾岸帯 ¥13,881 を4割下回る。「都心が高い」の逆。
— 5市町村 ¥10,000〜¥15,000 のアッパーミドル帯に入るのは23市町村中5市町村のみ。¥8,000未満が11市町村と最大の塊。
— 1.7% 2026年の新規開業は18施設・672室で、ビジネス+シティ 39,986室に対し1.7%。供給圧力は限定的。
— 純増1件 確認申請ベースの将来パイプライン2件のうち中区錦170室は開業済みのコンラッド名古屋と同一建物。純増は西区100室の1件のみ。

県平均だけを見ると愛知は主要県で最も低い

まず県全体の位置づけを確認する。愛知県の推定成約ADRは直近12か月(2025年8月〜2026年7月)の平均で約¥8,800、前年同期の約¥8,300から+6.7%だった。集計対象はN=507施設(2026年7月時点)である。

同じ期間・同じ算出方法で主要県を並べると、京都府が約¥16,600、東京都が約¥14,600、静岡県が約¥13,600、福岡県が約¥11,800、大阪府が約¥10,700。愛知県はこの中で最も低い水準に位置する。ただしこれは「愛知が安い県」という話ではなく、県全体の客室ストックの構成が他県と大きく異なることの反映である。次節以降で見るように、愛知県内には京都府の平均を上回る単価帯も、それとは別の論理で動く業務需要の単価帯も、同時に存在している。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2025年8月〜2026年7月の12か月平均、愛知県はN=507施設/2026年7月時点)

23市町村を並べると価格の順位は「都心 → 湾岸」で反転する

市町村別に直近12か月の推定成約ADRを集計し、集計対象施設数の中央値が5施設以上ある23市町村を抜き出した。名古屋市は政令指定都市のため区単位で行が返るので、区の数値を県全体の集計に二重計上しないよう分けて扱っている。また、集計対象施設数がその市町村の中央値の6割を下回る薄い月は平均から除外した。この処理をしないと、観測施設が一時的に減った月の高い値が平均を押し上げ、誤った前年同月比が出る。

結果は明快だった。上位は南知多町(約¥16,900)、蒲郡市(約¥15,400)、新城市(約¥14,500)、美浜町(約¥13,900)と、いずれも三河湾・知多半島の沿岸部と奥三河の山間部に並ぶ。名古屋都心の中村区(約¥10,400)と中区(約¥9,700)はそれより一段下、そして三河の業務都市が最も低い帯を形づくる。刈谷市の約¥6,100、一宮市の約¥6,200、半田市の約¥6,400、岡崎市の約¥6,500といった水準だ。県庁所在地や業務都市が県内で最も安い層に落ちるという並びは愛知に限った現象ではなく、鹿児島のホテル単価は県都が最安でも同じ逆転が12ヶ月続いていることを確認している。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(対象:集計施設数の中央値5施設以上の23市町村)

この並びは、価格が「立地の中心性」ではなく「1泊あたりに提供している中身」で決まっていることを示している。湾岸の宿は2食付きを標準とする旅館・民宿が中心で、1泊の商品単位そのものが都市型ホテルの素泊まりとは異なる。愛知県の業態別に見ても、旅館の推定成約ADRは12か月平均で約¥14,700(N=138施設)、リゾートホテルが約¥13,100(N=10施設)、シティホテルが約¥12,800(N=30施設)、ビジネスホテルが約¥7,800(N=325施設)だった。県全体の平均が¥8,800に落ち着くのは、施設数で圧倒的多数を占めるビジネスホテルの水準が県平均を規定しているためである。

愛知県 業態別の12か月平均 推定成約ADR と前年同期比(2025年8月〜2026年7月)

業態
12か月平均ADR
前年同期比
集計施設数(中央値)

旅館¥14,714+2.9%138
リゾートホテル¥13,134−1.0%10
シティホテル¥12,787+12.2%30
ビジネスホテル¥7,844+5.8%325

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2025年8月〜2026年7月の確定月平均)

客室ストックは都心に48%、単価の高い湾岸帯はわずか5.7%

価格の順位と客室ストックの分布は、ほぼ逆向きに並んでいる。愛知県内の施設マスターに登録された1,326施設・77,857室を4つの層に切り分けると、次のようになった。

愛知県4層別の施設数・客室数・県内室シェアと12か月平均 推定成約ADR


施設数
客室数
県内室シェア
平均客室数
12か月平均ADR

名古屋都心(中村区・中区)29337,41948.1%127.7室¥10,057
三河・業務帯(豊田・岡崎・刈谷・豊橋)1799,52512.2%53.2室¥6,952
観光・湾岸帯(南知多・蒲郡・犬山)2534,4685.7%17.7室¥13,881
空港周辺(常滑)264,2245.4%162.5室¥8,195
愛知県計1,32677,857100%58.7室¥8,818

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。施設数・客室数は施設マスター登録ベースで、OTA上で稼働が確認できる施設に限った集計とは母集団が異なる。層のADRは構成市町村の12か月平均の単純平均。

観光・湾岸帯は253施設と三河・業務帯(179施設)より施設数が多いにもかかわらず、客室数では4,468室と県内の5.7%にとどまる。1施設あたり平均17.7室という小規模宿の集積で成り立っているためだ。とくに南知多町は188施設で1,894室、平均10.1室である。反対に常滑市は26施設で4,224室、平均162.5室と、中部国際空港に対応した大型施設が少数で並ぶ構造になっている。

平均客室規模と推定成約ADRを1枚に置くと、この関係がそのまま右下がりの並びになる。小規模で食事を組み込んだ宿ほど単価が高く、大型で素泊まりを主軸に置く施設ほど単価が低い。愛知県の価格構造は、立地の地図ではなく商品設計の地図で説明できる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(円の大きさ=施設数。対象:集計施設数の中央値5施設以上の23市町村、N=507施設/2026年7月時点)

季節性の「指紋」は層ごとにまったく違う形をしている

4つの層について、直近12か月の推定成約ADRを月別指数(12か月平均=100)に直すと、それぞれ異なる形が現れた。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2025年8月〜2026年7月、各層の構成市町村の単純平均を指数化。対象:集計施設数の中央値5施設以上の23市町村、N=507施設/2026年7月時点)

名古屋都心は3月(117.1)と11月(114.4)に二つの山を持ち、6月(87.5)が谷になる。年度末の異動・出張需要と秋の学会・展示会需要が単価を押し上げ、梅雨期に緩む都市型の典型的な形だ。上下の振れ幅は29.6ポイントある。

一方、三河・業務帯の振れ幅は16.2ポイントと4層で最も小さい。最高が11月の108.1、最低が7月の91.9で、年間を通じてほぼ平坦である。とりわけ刈谷市は12か月の変動係数が2.9%と極端に小さく、月次の値がほとんど動かない。製造業の出張需要が曜日・月を問わず一定量で入り続ける市場では、単価が季節ではなく契約と稼働の底で決まる。この安定性は、需要の読みやすさという意味では強みである。

観光・湾岸帯は12月(117.4)と8月(113.1)に山を持ち、6月(80.9)に深い谷を作る。振れ幅36.5ポイントは名古屋都心を上回る。冬の味覚と夏の海水浴という二つの季節商品で単価が動く、食事主導型の形である。常滑市は9月(114.3)と10月(123.8)に山があり、振れ幅は40.2ポイントと最も大きかった。

2026年9〜10月は通年構造から切り離して読む必要がある

ここで断っておきたいのは、2026年9月と10月の数値を通年の構造分析にそのまま混ぜてはいけないという点である。2026年9月19日から10月4日まで第20回アジア競技大会(愛知・名古屋2026)が開催され、閉幕2週間後の10月18日から24日には第5回アジアパラ競技大会が続く。この2つの大会は、愛知県の秋を通常年とは異なる需要局面に置く。

調査時点の掲載水準にもとづく推定では、2026年9月の県全体ADRは約¥13,900で前年同月(約¥8,500)の+64.0%、10月は約¥12,900で+48.0%となる。市町村別に見ると、上昇幅は名古屋都心よりむしろ周辺都市で大きい。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年9・10月は調査時点の掲載水準にもとづく推定。愛知県 N=507施設/2026年7月確定月時点)

刈谷市が9月+104.6%、岡崎市が+99.6%、豊橋市が+93.2%と、三河の業務都市が名古屋都心(中村区+89.8%、中区+69.3%)を上回る。一方、観光・湾岸帯の南知多町は−3.9%、蒲郡市は−12.1%と、大会需要の影響がほとんど見られない。競技会場へのアクセス圏と、季節商品で動く宿泊市場は、そもそも別の需要曲線で動いているということだ。

大会期間そのものの需給については、既に複数の記事で扱っている。本稿はあくまで通年の市場構造を主題とするため、詳細はそれぞれの記事に譲る。大会の宿泊需給の全体像は2026年アジア競技大会・愛知の宿泊需給、名古屋圏の外側への需要波及はアジア大会2026、宿泊需要は名古屋の外へ、10月のパラ大会週の動きはアジアパラ競技大会が動かす愛知の10月、業態別の単月ブレの読み方は愛知の推定成約ADR確定18ヶ月にまとめてある。

2026年の新規供給は672室、既存ストック比1.7%

供給側の動きも確認しておく。メトロエンジンリサーチがOTA掲載で確認した2026年の愛知県内の新規開業は18施設・合計672室で、うち客室数20室以上の施設は6件(657室)だった。前年(2025年)の560室からは微増である。愛知県のビジネスホテル287施設・34,695室とシティホテル33施設・5,291室を合わせた39,986室に対して、2026年の新規672室は1.7%にあたる。

愛知県 業態別の12か月平均 推定成約ADR と前年同期比(2025年8月〜2026年7月)

開業
施設名
客室数
業態

2026-07コンラッド名古屋170シティホテル名古屋都心
2026-06SONO Moon Nagoya130ビジネスホテル名古屋都心
2026-06セトレ キャナル 名古屋24リゾートホテル名古屋市内
2026-07マンガアートホテル名古屋丸の内25ホステル名古屋都心
2026-09ホテルルートイン愛知東郷196ビジネスホテル名古屋東部
2026-11たびのホテルlit豊川112シティホテル東三河

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(OTA掲載確認ベース、N=18施設)。掲載は開業の数ヶ月前から出るため、直近以降の月は今後の掲載で増加する可能性がある。

興味深いのは開業地の分布である。2026年の主要6件のうち、名古屋都心に立地するのは3件。残りは名古屋東部の東郷町、東三河の豊川市と、都心の外側に散っている。2025年も犬山市に134室、名古屋錦に188室、伏見駅前に110室、名古屋城周辺に100室と、都心一極ではない形で供給が入った。

より先の供給については、国土交通省「建築物動態統計調査」の確認申請ベースで愛知県内に2件(名古屋市中区錦の複合再開発におけるホテル170室・地上41階、名古屋市西区のホテル100室)が把握できている。ただしこのうち中区錦の170室・地上41階は、2026年7月31日に開業したコンラッド名古屋(ザ・ランドマーク名古屋栄、名古屋市中区錦三丁目・地上41階・170室)と同一建物であり、上表の2026年新規開業に既に計上済みである。したがって今後の純増パイプラインとして残るのは名古屋市西区の100室1件のみであり、確認申請ベースの2件をそのまま将来供給として読むと二重計上になる。確認申請は通常、開業の1〜2年前に行われるため、この件数は現時点での確定パイプラインの下限値である。今後の申請追加により件数・客室数は増える見込みで、2027年以降の供給圧力をこの1件だけで判断することはできない。

¥10,000〜¥15,000帯は5市町村のみ — アッパーミドルの伸びしろ

23市町村の12か月平均ADRを価格帯別に数えると、愛知県の市場構造がもう一段はっきりする。

12か月平均 推定成約ADR の価格帯別 市町村分布(集計施設数中央値5施設以上の23市町村)

価格帯(12か月平均ADR)
該当市町村数
該当市町村

¥15,000以上2南知多町、蒲郡市
¥12,000〜¥15,0002新城市、美浜町
¥10,000〜¥12,0003西尾市、中村区、田原市
¥8,000〜¥10,0005中区、東区、犬山市、東海市、常滑市
¥8,000未満11小牧市、豊田市、豊橋市ほか

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2025年8月〜2026年7月の確定月平均)

¥10,000〜¥15,000のアッパーミドル帯に入るのは5市町村で、そのうち新城市・美浜町・西尾市・田原市の4つは湾岸・山間の食事主導型市場である。都市型の市場でこの帯に届いているのは中村区(約¥10,400)だけだ。つまり愛知県には、素泊まり主体の¥6,000〜¥8,000帯と、2食付きの¥15,000帯という2つの厚い層があり、その間をつなぐ都市型アッパーミドルの領域が広く開いている。

ここは伸びしろとして読める領域である。実際、すでに単価の階段をつくる動きは数字に表れている。愛知県のホテルで素泊まりプランと朝食付きプランの両方を販売している施設だけを取り出して比較すると(ペアード分析、2026年7月・N=176施設)、朝食を付けることで全体では+14.5%(約¥2,800)の上乗せが成立していた。ビジネスホテルに限れば+13.7%(約¥2,100、N=144施設)、シティホテルでは+11.6%(約¥4,200、N=24施設)である。1泊の商品に食事という要素を1つ加えるだけで、1割強の単価が積み上がる市場だということだ。この上乗せ幅が道府県によってどれだけ開くかは、ビジネスホテルの朝食プレミアム、京都22.0%・静岡5.0%の4.4倍差で同一ホテル内比較として整理している。

三河・業務帯の年間振れ幅16.2ポイントという安定性は、この上に単価の階段を載せるうえで有利な土台になる。需要の底が読みやすい市場では、季節に依存しない付加価値、たとえば朝食・ラウンジ・連泊向けの設えといった要素で通年の水準を引き上げる設計が組みやすい。西三河での具体的な採算ラインについては西三河のホテル投資、ADR6,800円で空白の価格帯で試算している。また、平日と週末の稼働差をどう均すかという論点は愛知のビジネスホテル、土90.5%・日80.4%で扱った。

湾岸帯の側から見れば、6月の指数80.9という谷が最大の伸びしろである。冬(12月117.4)と夏(8月113.1)の二つの山に挟まれた端境期に、食事以外の理由で選ばれる商品をどれだけ置けるか。単価そのものはすでに県内最高水準にあるため、必要なのは値上げではなく、閑散期の日数を埋める商品設計だと言える。

⚠ 将来日程のADRに関する注意:本記事のうち2026年8月以降の数値は、調査時点でOTA等に公開されている販売価格にもとづく推定であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。とくにアジア競技大会・アジアパラ競技大会の会期にあたる2026年9〜10月は、現時点で高く設定されている価格が今後の在庫追加や直前調整で動く可能性があります。前年同月比の集計は2026年7月までの確定月のみを用いています。

まとめ — 愛知は「1つの市場」ではない

愛知県の推定成約ADRを市町村単位で並べると、県平均の¥8,800という数字がいかに多くを覆い隠しているかが見えてくる。南知多町の約¥16,900と刈谷市の約¥6,100は同じ県内の数字でありながら、需要の源も、季節の形も、1泊の商品の中身も共有していない。

整理すると、愛知は少なくとも4つの独立した市場の集合体である。第一に、県内客室の48.1%を抱えながら単価は中位にとどまる名古屋都心。3月と11月に山を持ち、振れ幅29.6ポイントで動く。第二に、振れ幅16.2ポイントと最も平坦で、単価の底が固い三河・業務帯。第三に、施設数253に対し客室数4,468室という小規模宿の集積で県内最高単価を実現する観光・湾岸帯。第四に、26施設で4,224室という大型施設中心の空港周辺である。

2026年秋の2つの国際大会は、この構造に一時的な上書きをかける。ただし数字を見る限り、その上書きが及ぶのは名古屋都心と三河の業務都市であって、湾岸の観光帯には届いていない。大会が終わったあと愛知の宿泊市場に残るのは、本稿で見た4層構造そのものである。値付けの判断は、単月の大きな前年同月比ではなく、この通年の構造の上で組み立てたい。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

愛知県内の宿泊施設について、OTAに公開されている在庫・料金を日次で収集し、施設日次平均のエリア中央値を月次に集計したもの。市町村別ADRは集計施設数の中央値が5施設以上の23市町村(政令市の名古屋市は区単位、県全体の集計で区行を二重計上しない)を対象とし、確定月は2026年7月まで(N=507施設)。客室ストックは施設マスター(1,326施設・77,857室)、新規開業はOTA掲載確認ベース、将来パイプラインは国土交通省「建築物動態統計調査」の確認申請ベース。

■ 試算前提

ADRは推定成約ADR(settled)を正とし、掲載価格とは区別して表記。各施設の最安プラン水準(2名1室・1室あたり・税込)に業態別の補正係数を適用した推定成約単価(税抜相当)で、上場ホテルREITの物件別開示実績との照合(91施設・直近3か月)で誤差中央値は約7%。12か月平均は2025年8月〜2026年7月の確定月のみを単純平均し、集計施設数が中央値の半分を下回る薄い月は平均から除外している(除外しない素の平均は誤った前年同期比を生む)。層別ADRは構成市町村の単純平均であり、客室数加重ではない。

■ 限界・留意点

(1) ADRは推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なる。(2) 2026年8月以降は調査時点の掲載水準にもとづく推定月で、確定実績ではない。(3) 2026年9月19日〜10月4日のアジア競技大会および10月のアジアパラ競技大会は短期の需要イベントであり、9〜10月の数値は通年の市場構造とは切り離して読む必要がある。(4) 集計施設数が5施設未満の市町村は本稿の23市町村に含まれず、県内の全市町村を網羅したものではない。(5) 将来パイプラインは確認申請ベースの下限値であり、今後の申請追加で増加する。(6) 本稿は稼働率(OCC)を扱っておらず、ADRのみで収益性を論じることはできない。

■ 市場データ

メトロエンジンリサーチ — 愛知県23市町村の推定成約ADR月次系列(2024年8月〜2027年1月、確定月はN=507施設/2026年7月時点)、業態別ADR、施設マスター(1,326施設・77,857室)
メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(OTA掲載確認ベース)— 2026年愛知県新規開業18施設・672室、2025年560室
メトロエンジンリサーチ — 食事プレミアム(ペアード分析、2026年7月・N=176施設)

■ 政府統計・公的データ

■ 大会関連(公的情報)

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