インド科学技術省(MoST)は6月30日、インド宇宙物理学研究所(IIA)の研究者らが、太陽の大規模噴出である惑星間コロナ質量放出(ICME)の熱的進化と、地球の磁気環境を乱す力との関係を明らかにしたと発表した。研究成果は学術誌Monthly Notices of the Royal Astronomical Societyに掲載された。

図: (a)太陽活動周期(SC)23、第24周期、および第25周期上昇期における加熱状態と冷却状態の磁気噴出物(ME)の年間発生数。(b)ポリトロープ指数(ガンマ)および(c)Sym-H指数について、ICME到来前、シース領域、磁気噴出物(ME)、ICME通過後の各領域を対象に行った重ね合わせエポック解析(SEA)の中央値。茶色の曲線は地球への影響が大きいICME、水色の曲線は中程度の影響を持つICMEを示す。灰色の破線はシース領域の開始位置、黒色の破線は磁気噴出物(ME)領域の境界を示す。
(出典:PIB)
ICMEは、太陽の外層大気から放出される磁化プラズマの巨大な噴出で、地球方向に進むと地磁気嵐を起こし、衛星運用やGPS、無線通信、航空路、電力網に悪影響を及ぼす一方、オーロラも生じさせる。太陽活動は約11年周期で、ICMEは極大期に増え、現在の第25周期のピークは2025年だった。
IIAのソウミャランジャン・クンティア(Soumyaranjan Khuntia)博士課程学生とワギーシュ・ミシュラ(Wageesh Mishra)准教授は、1995~2024年の29年間にわたり公開された観測データを用い、太陽から1天文単位(AU)の地球近傍におけるICMEの熱的挙動を初めて長期統計解析した。対象は太陽活動周期第23、第24周期と第25周期の上昇期で、地球から太陽方向に約150万km離れたL1点の衛星観測による太陽風プラズマ測定、NASAのOMNIデータベースとCDAWebのデータを利用した。
研究チームは、各ICMEの磁気噴出物(ME)について、圧力や温度が密度に対してどう変化するかを示すポリトロープ指数を算出した。その結果、CMEは膨張に伴い冷えるという従来の仮定に反し、ICMEは熱力学的に活発で、MEの約45%が1AUで加熱の特徴を示した。特に太陽活動極大期付近で顕著で、移動中に加熱過程が働くことを示している。
解析では、第23周期では加熱に近い状態が多く、第24周期では冷却が支配的な状態へ移ったことも分かった。地球への影響度が最も高い嵐は、低いガンマ値を持つ加熱状態のICMEと関連し、強い磁場、低いプラズマベータ、圧縮されたシース領域、増大した膨張速度を伴った。同准教授は、今後はインドの太陽観測衛星アディティヤL1のコロナグラフや太陽風観測装置のデータも統合し、宇宙天気予報モデルの改良につなげるとした。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
