これでもかとばかりに趣向が凝らされた、23回目のW杯。選手の応援に運営への非難に、世界中から声が上がった。39日間、全104試合の熱戦に刻まれた、初出場国の健闘、怪物の圧倒的な個の力、新星の台頭、勝利への執念――。最後に頂に立ったのは愚直にスタイルを貫いた国だった。

 ニュージャージーの青空の下で、スペイン代表の面々が金色の紙吹雪を浴びていた。大会最優秀選手に輝いたロドリがワールドカップを掲げる。最優秀若手選手となったパウ・クバルシは、カタルーニャ州旗を手にいつものはにかんだ笑顔を見せる。

 スペインが勝った時に流れる『SUPER ESTRELLA(スーパースター)』が夕刻のスタジアムを包んでいた。仲の良いラミン・ヤマルとニコ・ウィリアムスはリズムに乗り、踊りをやめない。

 帰路につく、落胆したアルゼンチンメディアの集団がいた。カルロス・テベスの姿もある。静かに、iPhoneで敗戦後の母国の反応を見ている。ひとりがつぶやいた。

「エスパーニャ、妥当な勝者だったな」

 120分間に及んだ決勝を制したのはスペインだった。

「マルカ」紙は第一報の中で、自国が見せた内容を誇り、こう記した。

『勝っただけではない。これはフットボールを救う勝利でもあった』

 決勝の朝、マンハッタンで目にしたのはアルゼンチンカラーの空色の光景だった。

 セントラルパークの緑のなか、昼夜問わず灯される七番街のネオンの下、空色のユニフォームはその存在を街に刻んでいた。

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