2026年7月11日 午前7時30分
【論説】関西電力が福井県内3原発全ての敷地内で計画する使用済み核燃料の乾式貯蔵施設の設置を巡り、石田嵩人知事は県の事前了解について「十分検討し、適切な時期に判断する」との考えを示している。原発内にたまり続ける使用済み核燃料の最終的な搬出先となる再処理工場(青森県六ケ所村)は、本年度内の完成目標が遅れる可能性が出ている。拙速に判断せず、少なくとも再処理工場の工程を確認し、操業開始や県外搬出が確実に果たされるか見極めるべきだ。
使用済み核燃料の県外搬出に向けた関電のロードマップ(工程表)は、2028年度から再処理工場に搬出する計画となっている。工場の事業主体の日本原燃は当初、昨年11月までに審査で耐震設計などの説明を終えるとしていたが、一通りの説明終了は6月となり半年以上遅れた。補正申請の準備に数カ月かかるとされ、保安規定の審査や使用前検査、訓練なども残る。本年度内に完成に至るスケジュールに余裕はない。
県は乾式貯蔵施設の事前了解判断で、再処理工場の説明終了を一つのめどにしていたが、状況は変わっている。原燃社長は6月末に工場の完成時期について「変わる可能性はある。議論中で不確定な部分がある」と遅れる可能性に言及した。過去にトラブルが相次いだ高レベル放射性廃液の処理工程の確認時期などを検討しているとみられ、工場の完成や操業後の安定稼働は見通せない。
乾式貯蔵施設そのものの意義もはっきりしない。関電は30年ごろに県外で操業開始を目指す中間貯蔵施設に円滑に搬出するための準備施設と位置付けているが、いまだ計画地点すら示されていない。
運用でも、原発内の貯蔵プールから使用済み核燃料を乾式貯蔵施設に移送してもプールの空いたスペースは原則使わず、原発構内の貯蔵容量は増やさないとしている。自然災害などで例外的に使用する可能性も示唆しているが、原則通り運用するなら、中間貯蔵施設や再処理工場への搬出が滞れば、貯蔵が切迫し原発の運転に支障が出かねない状況に変わりはなく、急ぎ判断する必然性は薄い。
乾式貯蔵施設を巡り、保管のなし崩し的な長期化や容量増大に対する懸念は根強い。関電は再処理工場の完成に向け「オールジャパン体制で支援する」とし、中間貯蔵施設でも「最大限取り組む」と繰り返す。こうした精神論の“空手形”ではなく、使用済み核燃料を巡る状況を全体的に俯瞰(ふかん)し、県外搬出の客観的な担保を得るべきだ。
