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稜線(りょうせん)に夕日がゆっくりと沈んでいく。湖面を揺らしていた風がやむと、濃紺の水面に木々が反射した。

秋田県仙北市の秋扇湖(しゅうせんこ)では、山の雪解けが進む毎年4月下旬ごろから水面が上昇し、新緑に輝く湖畔の樹木が水没する。雪解けが終わる6月上旬ごろには見られなくなる期間限定の絶景だ。

山奥に広がる幻想的な風景
仙北市観光課によると、SNSで話題となった7、8年前までは地元住民らも注目していなかったが、近年、観光客や写真愛好家が増加している。外国人観光客も多く、水没林の中を進むカヤックツアーなども組まれており、町おこしに一役買っている。

水没林の中を進みながら大自然を満喫できるカヤックツアーも人気

秋扇湖は、昭和32年に完成した鎧畑ダムによって形成された人造湖で、湖面は鮮やかなコバルトブルーをしている。これは上流域にある強酸性の玉川温泉に含まれるアルミニウムの粒子が、太陽光のうち、青い光を中心に反射するからだとされている。

この時期、水没林を横切る国道341号の橋梁(きょうりょう)は撮影スポットとして人気となる。路上駐車が列となるため、市では停車しないように呼びかけている。

エメラルドグリーンの秋扇湖の水没林。次の見ごろは令和14年5月ごろ

そんな水没林だが、来年からしばらく見られなくなるという。鎧畑ダムに付帯する鎧畑発電所で大規模な改良工事が予定されているためだ。秋田県玉川発電事務所によると、秋扇湖の水位はこの先6年間、通年で低く保たれる予定という。次回水位が上昇するのは、工事が順調に進めば令和14年5月になる見込みだ。

しばらく見納めとなるこの景観。夕闇が迫るなか、湖面に浮かび上がる光景は幻想的で、時を忘れさせるほどだった。

筆者:桐原正道(産経新聞写真報道局)

2026年6月14日産経ニュース【探訪~Scenes~】を転載しています

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