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2026年8月、千葉を襲った豪雨で、大量の車が水に沈んだ。なかでもネット上で注目されたのが、残クレのイメージがすっかり定着したアルファードだ。車が全損になったら、残っているローンはどうなるのか。車両保険に入っていれば、どこまで補償されるのか。月々の支払いだけを見ていると分かりにくい、もう一つの車の値段がある。

アルファード=残クレ は恥ずかしい?現金一括でも”残クレ乙”と揶揄される不思議

アルファードを語ると、なぜか”残クレ”という言葉がついて回る。

“アルファードに乗っている=残価設定ローン”とでも言いたげなネット上の風潮だが、もちろん、すべてのオーナーが残クレを利用しているわけではない。実際、Yahoo!知恵袋には「アルファードを現金で買ったのに周りから残クレ乙と小馬鹿にされます」という投稿もある。一方で、残価設定ローンを手元の現金を残すために利用した」という趣旨の声もあり、利用する理由は人それぞれだ。そもそも、外からアルファードを眺めただけで、その購入方法まで分かるわけがない。それでもネットでは、車種だけで支払い方法まで勝手に判定される。J-CASTが日本自動車工業会の調査として報じた数字では、直近の新車購入者の15%が残価・据置型ローンを利用。30代男性では23%、30代女性では20%だったという。つまり、残クレは少なくとも珍奇な買い方ではない。問題は、残クレを使ったことが恥ずかしいかどうかではない。その車が水に沈んだとき、ローンまで一緒に消えてくれるのか。

千葉市で約2500台が被災 水没してもローンは水に流れない

 

8月の豪雨では、千葉市の道路上に約2500台の被災車両が滞留し、このうち約500台が通行の支障になった。市は8月22日までに、市が管理する道路上から384台を撤去している。水没した車を見れば、”車が壊れた”で話が終わったように感じる。ところが、ローンはそうはいかない。トヨタファイナンスは、契約中の車が事故で全損になった場合や盗難に遭った場合について、”一括返済していただく必要”があると案内している。返済には保険金を充てることもできるが、保険だけで足りなければ契約者自身が精算することになる。

ここで月々数万円といった残クレの数字だけを思い浮かべると、話が少し違って見えてくる。残クレは月々の支払いを抑える仕組みであって、残りの支払いまで消してくれる仕組みではない。普段は便利な仕組みでも、車が全損になった瞬間、それまで見えにくかった残債が一気に現実になる。車はなくなったのに、契約だけは残る。このギャップが、水害によって一気に表面化する。

保険に入っていれば安心とも限らない

そこで気になるのが車両保険だ。車両保険は自動車保険に必ず付いてくるものではなく、契約時に選ぶ補償。日本損害保険協会によると、一般的な車両保険と、補償範囲を限定して保険料を抑えたタイプがあり、いずれも商品によっては台風・洪水・高潮による損害が補償対象となる。つまり、水没したから保険金が出ると一言で片付けるのも危険だ。では、仮に残クレの残債が300万円あり、車両保険から250万円が支払われたとする。単純計算なら、50万円が足りない。保険金をそのまま残債の返済に充てても、残りの50万円まで消えるわけではない。逆に保険金額が残債を上回るケースもあるため、実際の負担は車両保険金額、事故時点の残債、契約内容によって変わってくる。月々いくら払うか?は分かっていても、もし今日車が全損になったらいくら残るかまで即答できる人はどれだけいるだろうか。、残クレの怖さというより、ここはローンを組んで車を買う人すべてが一度は確認しておきたいところだ。

身の丈に合わないの大合唱 水没した車までネットで品評される

今回の水没車をめぐっては、SNS上で「残クレだから大変なのでは」といった自己責任論が飛び交う一方、「手元の現金を残すために残クレを使う人もいる」といった反論も見られる。残価設定ローンそのものは、単なる金融商品の一つだ。数年後の乗り換えを前提にする人もいれば、手元資金を残したい人もいる。それなのに、水没したアルファードを見た途端、残クレだからと決めつける。現金一括で買ったオーナーまで残クレ乙と言われるのだから、ネット上のアルファード判定はなかなか乱暴である。ただ、ここで考えるべきなのは残クレは恥ずかしいのかという話ではない。水没という予想外の事態が起きたとき、自分の契約がどうなるのかを知っているか。結局、問題になるのはそこだ。

 

対岸の火事ではない 水没車の増加が保険料に影響する可能性も

では、水没したアルファードを「自分には関係ない」と笑って終われるのか。

自動車保険の参考純率は、事故の発生状況や社会環境の変化などを踏まえて毎年度検証され、必要があれば改定される。2026年にも自動車保険参考純率について金融庁への届出が行われている。もっとも、参考純率は保険会社に使用が義務付けられた数字ではなく、実際の契約者が支払う保険料そのものでもない。今回の千葉豪雨だけで、全国の保険料が跳ね上がるという話でもない。ただし、自然災害による車両被害が繰り返され、その損害が積み重なれば、将来的な保険料率の検証に影響する可能性はある。つまり、他人のアルファードが水没しただけと笑っていたら、巡り巡って自分の保険料にも関係してくるかもしれない、ということだ。明日は我が身、というより、明日の保険料かもしれない。

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