ダラクソンラシブの治験薬が入ったボトル(ロイター)
[ロイター]米レボリューション・メディシンズ(RevMed)が、膵がん治療薬「Rasonque」(一般名・ダラクソンラシブ)について欧州での大規模な商業展開に向けた準備を進めている。これは、現地の販売パートナーに頼ることなく、自社単独で市場投入できるという同社の自信を示す動きだ。
ダラクソンラシブは治療が極めて困難とされる膵がんに対して目覚ましい臨床データを示した。アナリストらは同薬のピーク時の年間世界売上高を115億ドル(約1兆8000億円)と予測している。同薬は8月に米国で迅速承認を取得した。
EMA(欧州医薬品庁)のヒト用医薬品委員会は10月15日、同薬の販売承認を支持する勧告を採択した。今後、欧州委員会が承認の可否を判断する。
世界規模で提供
RevMedのような小規模のバイオ医薬品企業は通常、政府と交渉を行うための人員や専門知識が不足している市場で地域的なライセンス契約を結ぶ場合が多い。場合によっては最終的に大手製薬企業に買収されることもある。
RevMedのマーク・ゴールドスミスCEO(最高経営責任者)は先月、ロイターとのインタビューで「この製品を可能な限り世界規模で提供できるよう、われわれはできる限りのことをすべて行っている」と強調。一方で「国ごとに状況は異なり、対応は複雑だ」とも語った。
RevMedの株価は今年に入って2倍以上上昇しており、時価総額は415億ドル(約6.6兆円)に達している。
同社は、米国での迅速承認プロセスで得た教訓を海外市場に応用しており、なかでも欧州は最も取り組みが進んでいる地域だ。ダラクソンラシブはRevMedにとって初の承認薬だが、ウォール街の3人のアナリストは同社が欧州での単独展開を成功できると見ている。
RevMedはロイターに対し、欧州の主要市場で強固なプレゼンスを築きつつあり、規制、医学、価格・市場アクセスへの対応と商業インフラの拡大を進めていると語った。同社は、市場に直接参入することで、薬剤に関する深い知見を医師により正確に伝えることができるとしている。
グローバル商業基盤構築に注力
ダラクソンラシブは米FDA(食品医薬品局)が主導する「Project Orbis」の対象になっている。Project Orbisは英国、カナダ、オーストラリアなどが参加する抗がん剤の承認審査に関する国際協力の枠組み。審査は各国が個別に行うが、規制データを共有できるため、承認までの期間短縮につながる可能性がある。
ゴールドスミスCEOは買収に関する憶測へのコメントを控えた。グローバル展開については、専門知識が必要な市場では外部パートナーと協力する可能性もあるとしつつ、後続の新製品の発売も見据えてグローバルな商業基盤を構築することに力を入れていると語った。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、レオニード・ティマシェフ氏は、RevMedの単独展開について「十分に実現可能と思われる」と指摘。「同社の採用活動の動きは、間違いなくそれを自社でやろうということを示している」と話す。
RevMedは2025年6月、米ロイヤリティ・ファーマと提携し、開発やマーケティングの資金として最大20億ドルを調達した。これにより、米国外で商業化パートナーを探す必要があるという投資家の見方はほぼ払拭されたとアナリストは話す。
米国外での採用強化
スティーフェルのアナリスト、ローラ・プレンダーガスト氏は、ダラクソンラシブの米国以外(主に欧州と日本)のピーク時売上高を32~33億ドルと予測している。同氏は、RevMedが過去1年間に行った主な採用は、グローバルインフラに重点を置いたものだと指摘する。
アンソニー・マンシーニ氏は昨年、デンマークのジェンマブから最高グローバル商業化責任者(CGCO)としてRevMedに参画した。同氏は国際市場で25年以上の経験を持ち、米ブリストル・マイヤーズスクイブにも20年以上在籍した。
LinkedInでの採用活動を見てみると、RevMedはこの1カ月で英国と欧州で少なくとも50件の求人を出している。求人には、ドイツ、イタリア、フランス、オランダといった国でコマーシャルや規制の専門知識を求めるポジションが含まれている。
プレンダーガスト氏は「RevMedにとって現在、ドイツは非常に重要な市場になっている」と指摘。「EMAでの承認取得後は、ドイツでの価格設定に注目が集まる。それが欧州全体の先例になる」と話している。
(取材:Sriparna Roy/Bhanvi Satija、編集:Caroline Humer/Bill Berkrot、翻訳:AnswersNews)
