
桑原理事長(右)から松岡良明賞を贈呈される河原氏(中西弘之撮影)
がん征圧月間(9月)に合わせ、がん撲滅に功績のあった個人、団体を顕彰する山陽新聞社会事業団の「松岡良明賞」贈呈式が11日、岡山市北区柳町の山陽新聞社で行われ、岡山大実践地域内視鏡学講座教授の河原祥朗氏(61)をたたえた。
事業団の桑原功理事長が表彰状と賞金100万円を手渡した。内視鏡の先端からメスを出して胃がんなどを切除する「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」の先駆者の一人で、がん患者の治療に当たってきた河原氏は「長年の成果が認められ、うれしく思う。ESDは患者の体への負担が少ない。世界中で標準的な治療となるよう今後も広く普及させていきたい」と述べた。
河原氏のESDによる治療実績は3千例以上で5年生存率は95%に上る。2001年に胃がんから始め、食道、大腸、咽頭に応用。臓器を温存し患者のQOL(生活の質)向上に取り組んできた。
中学2年の時に末期の胃がんで父親を亡くしたのをきっかけに医師を目指し、1990年に岡山大医学部を卒業。安全性向上を図るESD用の電気メスや、腫瘍を見つけやすくする染色液を開発して全国に広めた。今年4月には地元企業と連携して作り上げた胃がんの深達度(深さ)を診断するAIシステムが販売開始になるなど、さまざまなアイデアを編み出してきた。
松岡良明賞は山陽新聞社の元社長、故松岡良明氏の遺族から寄託された基金をもとに創設。その後、同社最高顧問の佐々木勝美氏、相談役の越宗孝昌氏が各1千万円を寄託し、増額された。(立田さくら)
