新たなスタジアム整備では、数十億円規模の国の補助金を活用することが想定されています。
その補助金をめぐって国が改めて焦点を当てたのが、「市民利用」という視点です。
Jリーグのクラブが本拠地とするスタジアムは公共性のある施設なのか。
国がこれまで以上に慎重に見極め、補助金の交付を判断する可能性が出てきました。
国土交通省が先月下旬に公表した、来年度予算の概算要求に関する資料。
国全体の予算のとりまとめ役となる財務省に対し、国交省が、組織としてどう予算をやりくりするかや、新たに確保しようとする予算を提案するための資料です。
この中で国交省が言及したのは、スタジアム整備をめぐる補助金のあり方についてです。
「都市公園におけるスタジアム等の施設整備への支援における、市民利用の視点の明確化を図る」
秋田でのスタジアム整備は、国の補助金の一つ、「社会資本整備総合交付金」の活用が想定されています。
国交省は、この補助金の交付額を決めるにあたり、県民・市民も、施設を広く使えるのかどうかを、重要な判断基準にする考えです。
「Jリーグ本拠地等のスタジアムは、天然芝養生のため市民利用を制限するなど、補助金対象としての公共性を欠いている」
国は去年から、様々な事業への補助金のあり方を見直す議論を続けていて、この中で、Jリーグのクラブが本拠地とするスタジアムのあり方を疑問視する意見が紹介されていたことが、大きく影響しています。
Jリーグ・野々村芳和チェアマン(2024年9月)
「例えばスタジアムってことに関しても、『行政』、市と県とクラブと、みんなで協力して進んでいきましょうと」
Jリーグクラブライセンス事務局・大城亨太氏(2024年7月)
「(スタジアム)できるできないでいうと、できてほしいなというのが一番なんですけど」
整備には、行政との連携が欠かせないと考えるJリーグ。
リーグを運営するうえでも、行政による支援の重要性は認識しているようです。
県側
「秋春制移行の検討にあたり、スタジアム整備への支援の考えがあればお知らせ願いたい」
Jリーグ側
「活用できそうな各省庁の助成メニュー等に関する情報提供は必要に応じ行えると考える」
県への情報開示請求で入手したこの資料は、3年前2023年の9月に、Jリーグ関係者と、県の担当者が面会した際の議事録です。
Jリーグ側の出席者の氏名や発言の大半は「非開示」、いわゆる黒塗りですが、行政側の動向とスタジアム整備が密接に関わる前提での発言が目立ちました。
一方、この面会の2か月前には、秋田市をはじめ、県内各地で記録的な大雨による甚大な被害がありましたが…。
「大雨災害についてお見舞い申し上げる。スタジアム整備に関して、新金沢スタジアムが参考になると思われるので是非視察されたい」「8年度工事着手に向けた今後のスケジュール感について」
復旧作業がまだ続く中、Jリーグ側としてはスタジアム整備を予定通り進め、そのための協議や情報収集も停滞させないよう求める発言が確認できました。
防災に関する事業を進めることも国交省の大きな役割です。
スタジアム整備で県や市が想定する国の補助金を確保できるのか。
防災や、交通インフラの整備など、市民生活に欠かせない事業と同じような価値を持つ公共性を具体的にどう示していくかが、整備を進めるうえで1つの焦点となりそうです。
※9月9日午後6時15分のABS news every.でお伝えします
