AI関連株へ集中しながら、債券、ビットコイン、金も確保

トウシル:米国株で順調に資産を増やしてこられたPANさんですが、現在のポートフォリオを教えてください。

PANさん:現金を除いた投資資産の8割ほどが米国関連です。株式の中心はAI関連株ですね。今の相場をけん引しているテーマなので、ここに投資しないと十分なパフォーマンスを得にくいと考えています。ただし、AI相場がいつ崩れるかは分かりません。伸びると考えて投資しながらも、常にリスクは意識しています。

トウシル:AI関連株へ積極的に投資しつつ、暴落への備えもしていると。

PANさん:はい。債券と現金の合算は、資産全体の3分の1ほどになります。米国債券には利回りが4%を超えるものもあるので、金利を受け取りながら、相場が大きく下がったときに追加投資できる余力を確保している形です。

トウシル:AI関連株へ集中する一方で、相場が下がったときの余力もしっかり残しているんですね。

PANさん:性格上、常にリスクを意識しているんですよ。2020年のコロナショックのときには、下落が始まってから2日間で保有株のほぼ全てを売りました。その後、株価が早く回復したため、今でも「あれは狼狽(ろうばい)売りだった」と批判されることがあります。

 しかし当時は、さらに下がるのか、すぐ戻るのかは誰にも分かりません。結果を知っている「未来人の目」で、過去の判断を評価してはいけないと思っています。キャッシュにすれば、その時点でリスクを止められます。暴落時は「Cash is king」です。

トウシル:現在はAI関連株と債券、現金以外にも投資しているんですか?

PANさん:ソフトウエアやサイバーセキュリティの銘柄に加えて、欧州、韓国、台湾、日本にも投資しています。日本株を買ったのは約20年ぶりで、個別株ではなく上場投資信託(ETF)を選びました。さらに金やビットコインも保有しています。

 僕はこれを「攻めの分散投資」と呼んでいます。値動きの違う資産を持ってリスクを抑えるだけではなく、これから伸びそうな対象を複数選び、その中から上がるものを狙う考え方です。常に全てが思い通りに動くわけではなく、今の時点では、金やビットコインのように、期待したほどのパフォーマンスが出ていないものもあります。

将棋の3手先を読む。身近な変化から見つける次の成長テーマ

トウシル:PANさんが主戦力としているAI関連株の次に伸びそうな分野が気になります! AIの次に伸びそうな投資テーマは、どのように探しているのでしょうか。

PANさん:世の中で何かが起きたとき、その影響で次にどこが伸びるのかは常に考えていますね。「風が吹けば桶屋がもうかる」という発想です。将棋の3手先を読むように「こうなったら、その次に何が起こるだろう」と連想します。

 コロナ禍のときには、SaaSやクラウド、eコマースが伸びると考えました。外出できなくなり、あらゆる活動がインターネットへ移るだろうから、という考え方ですね。

トウシル:前編に登場したズーム以外にも、投資した銘柄はありましたか?

PANさん:代表的な銘柄の一つが、ハンドメイド作品を売買できるエッツィー(ETSY)です。米国でサービスを知り、大きく注目される前から投資していました。コロナ禍では、外出できない人が自宅で作品を作り、買う側もオンラインで商品を探す流れがさらに広がりました。

 米国で知人の家を訪れたとき、緯度と経度の数字が入ったユニークなクッションを見かけたんですが、それもエッツィーで購入したものでしたね。

トウシル:身近な出来事から、投資先を見つけたんですね。

PANさん:ただ、連想が必ず当たるわけではありません。中東情勢によってヘリウムが不足するのではないかと考え、米国のヘリウム関連企業に投資したこともありますが、これは思うように上がらず損切りしました。

 重要なのは、全てを当てることではありません。ニュースを見て、自分なりに次の動きを考えて、想定と違えば見直す。その繰り返しです。

企業の将来性、過去8回の決算、経営陣の声。銘柄を選ぶ三つのステップ

トウシル:気になる銘柄を見つけた後は、どのような手順で投資するか決めるのでしょうか?

PANさん:僕は大きく三つのステップで銘柄を見ています。

【STEP1】は、企業の将来性を確認する作業です。他社に負けない製品やサービスがあるか、市場自体に成長する余地があるか、シェアが伸びているか、魅力的な新製品や技術が出ているかを調べます。

 企業によって注目すべき数字も違います。例えば、アップルならiPhoneの販売動向、テスラなら出荷台数など、その会社の成長を左右する重要な指標を見ます。

トウシル:最初から企業の資料を全部読むのは、少し大変そうです。

PANさん:まずはChatGPTなど複数の生成AIに聞いて、会社の概要や強み、弱みを大まかにつかめばいいと思います。

 ただ、AIには間違った情報もあります。回答をそのまま信じるのではなく、企業のIRページにある投資家向け資料やプレスリリースで確認します。公式YouTubeに製品デモがあれば、実際にどんなサービスなのかを見る材料にもなります。

トウシル:生成AIに最終判断を任せるのではなく、調査の入り口として使うんですね。次は何を見るのでしょう?

PANさん:【STEP2】は、過去2年分、合計8回の四半期決算です。「1株当たり利益(EPS)」「売上高」「ガイダンス(今後の業績見通し)」の3項目が、市場予想を上回っているかを確認します。

 今では過去の実績と市場予想を比較できるツールも充実しています。基本的には、3項目で安定して市場予想を上回っている企業を候補に残します。

 企業によっては1回の小幅な未達を許容する場合もありますが、大幅に予想を下回ったり、2回連続で未達になったりした企業は、投資対象から外しますし、すでに保有しているなら売却を検討します。

 大切なのは、決算が出てから慌てるのではなく、「この数字を下回ったら売る」と事前に基準を決めておくことだと思います。

トウシル:数字が出る前に、自分の判断基準を決めておくわけですね。三つ目は何ですか?

PANさん:【STEP3】は、直近の決算時カンファレンスコールを確認します。

 カンファレンスコールとは、企業が決算発表後に開く電話やオンライン形式の説明会です。経営陣が業績や今後の見通しを説明し、証券アナリストや投資家からの質問に答えます。決算の数字だけでなく、経営陣がどのようなトーンで話しているか、質問に正面から答えているか、何を懸念しているかを確認できます。

トウシル:英語で1時間近い説明を聞くのは、なかなか大変ですね。

PANさん:Seeking Alphaなどには文字起こしがあるので、それをChatGPTに読み込ませ、決算のハイライトや懸念点を整理してもらいます。日本語字幕付きで決算説明会を見られるようにしてある証券会社もありますよ。

 まずは生成AIで概要をつかんだ上で、気になる点があればさらに質問します。投資額が大きい銘柄については、AIの要約だけで終わらせず、僕自身も原文を読みます。

トウシル:カンファレンスコールで、特に気をつけている発言はありますか?

PANさん:自社株買いや新製品のロードマップなど、ポジティブな材料が次々に出てくるときほど警戒します。「ここまで好材料を並べるのは、ほかに隠したい問題があるのではないか」と考えるんです。

 経営陣の説明をうのみにせず、数字やほかの情報と照らし合わせます。分析は絶対に上がる銘柄を探すためではなく、なぜ投資するのか、どのような状況になったら売るのかを、自分で決めるために行うものだと思っています。

『PAN米国株投資ちゃんねる』 動画(再生回数順)

PANさんの米国株YouTubeチャンネル『PAN米国株投資ちゃんねる』は登録者数約10万人。主な配信時間は、火曜から土曜の早朝(朝7時ごろ)。米国株投資に重要な情報を毎日分かりやすく解説しており、米国の「今」が分かる内容になっている(画面は再生回数が多い順にソートしたもの)

Share.