米、パトリオットのウクライナ生産容認へ ロシアは反発も和平姿勢は評価

トランプ米大統領は7月8日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の開催地であるトルコの首都アンカラでゼレンスキー大統領と会談し、米国製防空システム「パトリオット」の迎撃ミサイルについて、ウクライナ国内でのライセンス生産の容認を表明しました。

トランプ氏は会談冒頭、米国が保有するパトリオットの数は多くないため直接供与できる数には限りがあると説明したうえで、ウクライナに製造権を与え、生産方法についても教える考えを示しています。これまでライセンス生産が認められていたのは同盟国の日本とドイツの2カ国のみで、ウクライナへの容認は同盟国以外では初めてとなる異例の措置です。

ロシアによる激しい空爆が続くなか、ウクライナは迎撃ミサイル不足という課題を抱えていました。ウクライナ軍事専門サイトによると、迎撃率は6月中旬の44%から7月上旬には17%まで低下し、7月の攻撃による死者は50人を超えました。こうした状況下での今回の容認は、ゼレンスキー氏にとって大きな外交的成果と受け止められています。

この動きに対し、ロシアのペスコフ大統領報道官は7月9日の記者会見で、和平を促進しようとしながら武器供給を継続する米国の姿勢には矛盾があると指摘。ウクライナへの武器・軍事技術の供給を楽観視していないとの認識を示しました。ただし同じ会見で、和平を促進しようとする米国の意思については誠実に見え、歓迎するとも発言しており、批判一辺倒ではない姿勢も見せました。

軍事支援の拡大と生産体制の課題

トランプ政権は、パトリオットのライセンス生産容認に加え、NATO加盟国が資金を拠出して米国製兵器を調達する既存の枠組み(PURL)も活用し、軍事支援の拡大姿勢を鮮明にしています。ルッテ事務総長は会議最終日、加盟国が500億ドル規模の防衛関連契約を締結したと発表しました。

トランプ氏は今回の会談で、ウクライナによるロシア国内への長距離攻撃について、終戦に向けた交渉の余地をつくることになるとの見方を示しており、軍事支援の拡大と和平への言及が同時に進む形となっています。

ウクライナ側は迎撃ミサイルの備蓄を持つ約40カ国に緊急支援を要請しており、生産体制が整うまでの期間をどう乗り切るかが当面の課題です。米国内の防衛企業への正式な通知はまだ行われておらず、実際の生産開始まで年単位の時間を要するとみられています。

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