
28日の広島戦の7回、中野の勝ち越し打で生還した高寺(左)を迎える高橋
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阪神の高橋遥人投手(30)が28日の広島戦でキャリア初となる2桁勝利をマークした。2リーグ制以降では球団史上初となる開幕10連勝と無双が止まらない左腕。快挙を達成した敵地・マツダスタジアムは7年前に悔し涙を流した場所でもあった。
今でも忘れない。19年9月6日の広島戦は助っ人・ソラーテが「モチベーションが上がらない」と広島から鳴尾浜にUターンし1軍昇格を拒否した前代未聞の事態があった日。試合前から激震が走った中で先発した高橋は精彩を欠いた。1イニング5失点など自己最短の4回6失点でKO。大量失点した3回に一塁ベースカバーを怠り、その後4本の適時打を浴び、登板後に当時の矢野監督、福原投手コーチから厳しい言葉を浴びせられ涙をぬぐっていた。
甲子園での指名練習があった先週22日に高橋に“広島での涙”のことを聞く機会があった。先発した前日21日のDeNA戦の7回に左翼の福島が二塁へ悪送球し懲罰交代。後輩は試合後に涙を流していたこともあり「7年前のこともあるから福島にかけられる言葉はあったか」と聞くと高橋は「あの時僕はできることをやらなかったんで。あれは全然ダメ。僕なんかより福島のミスは種類が違うと思うので」と強く首を振った。
種類は違えど高橋も、そして福島も痛恨と言えるミスを糧にして前に進むしかない。実際、高橋はそれを体現している。ベースカバーを怠るようなことは無くなり、長いリハビリの日々で地道に走り込んだ足腰を土台にしたフィールディングは年々、向上。7年前「投げる以前のことができなかった」とうなだれた姿はもうない。前日の広島戦でも初回、2回と失点し4回には勝ち越されるなど快投とはいかない状況でも粘り強く腕を振った。
今年、背番号29はよく「助け合い」というフレーズを登板前後に口にする。本人は「全然意識していないですよ」と気にもとめていなかったが、あの広島での涙、助け合いという言葉からは“野球は一人でするものじゃない”という自戒がにじむ。降板後の7回に中野の勝ち越し打で転がり込んだ広島での10勝目に深みが増した。(総合コンテンツ部・遠藤 礼)
