英がウクライナ支援を加速 ドローン15万機と防空ミサイルを供与へ

イギリス政府が、ウクライナの防空態勢強化に向けた大規模な支援パッケージを打ち出しました。年末までにウクライナ製ドローン約15万機を供与する計画で、総額は7億5200万ポンド(約1600億円)規模となっています。

供与されるのはドローンに加え、350発以上の防空ミサイルやレーダーなどです。ロシア軍によるミサイル・無人機攻撃が続くなか、ウクライナの防空態勢を底上げする狙いがあります。

今回の支援の特徴は、財源にロシアの凍結資産から生じる収益を活用する新たなスキームが用いられている点です。G7は「ERA(Extraordinary Revenue Acceleration)」と呼ばれる枠組みのもと、各国が凍結しているロシア中央銀行資産から生じる利子などの特別収益を将来の融資返済の原資に充てる形です。

ERAに基づき、G7各国とEUはウクライナに総額500億ドル(約7兆6000億円)規模の融資を行うことで合意しました。イギリスのパッケージはその一環です。EUも凍結資産の収益をウクライナ向け軍事支援や予算支援に充てる方針を示しており、ロシア資産を巡る国際的な枠組みが実際の軍事支援に結びつき始めました。

ウクライナ支援国の会合では、防空能力の強化が継続的な焦点となっており、イギリスやドイツが主導する形で、地対空システムの追加供与や防空網の強化策が協議されてきました。

イギリスはこれまでも砲弾や戦車などの軍事支援を続けてきましたが、ここ数年でドローン分野への関与を急速に強めています。ドローン技術の輸出やAI活用で連携する枠組みも打ち出しており、今回の15万機という数字はこうした流れを一段と押し上げるものです。

ドイツや他の欧州諸国も、AI搭載ドローンの共同生産や最新防空システムの供与など、無人機と防空を軸とした支援拡大に動いています。一方でロシア側は凍結資産活用の動きに強く反発。ロシア外務省は本枠組みを不法行為と位置づけ、報復措置をとると明言しており、対立は長期化・先鋭化の様相を強めています。

凍結資産活用が本格化、持久戦を支える枠組みの行方

ERAの枠組みでは、凍結資産そのものを没収するのではなく、資産凍結で生じる運用益を担保として、融資を実行します。国際法や各国の国内法との整合性を図りつつ、ウクライナ支援の原資を確保する仕組みです。EUは収益の大半をウクライナへの軍事支援に振り向け、残りを復興支援などに充てる方針です。軍事と経済の双方を支える持久戦型の枠組みといえます。

ドローンや防空システムはロシアの攻撃に対抗するうえで欠かせない装備である一方、消耗のペースも速く、継続的な補給と技術更新が不可欠です。凍結資産の収益活用が本格化することで、長期戦に耐える枠組みを維持できるかが問われています。一連の支援策がウクライナの防衛力をどこまで底上げできるのか、注目が集まっています。

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