無認可事業者には秩序ある撤退を要求

EUの暗号資産(仮想通貨)規制「MiCA」が、7月1日から本格的な執行段階に入る。欧州証券市場監督局(ESMA)は4月17日の声明で、移行期間終了後にMiCAライセンスを持たずEU顧客へサービスを提供する事業者はEU法違反になると説明している。

無認可事業者には秩序ある撤退を要求

ESMAはこれまで、MiCAをめぐる監督上の収れんや移行措置に関する声明を通じて、適時の認可取得や秩序ある移行、顧客保護の重要性を強調してきた。4月の声明においても、各国当局や暗号資産サービスプロバイダー(CASP)に対する監督上の期待を示している。

同局は7月1日までに認可を取得できないCASPに対して、秩序ある撤退計画の実行を求めている。認可済みCASPには既存EU顧客の受け入れを促す一方、EU域外事業者には原則としてEU投資家へのMiCA対象サービス提供や勧誘を認めないとしている。

フランスAMF、未認可事業者への執行リスクも警告

フランス金融市場庁(AMF)も2月、同国で登録または認可を受けていたデジタル資産サービスプロバイダー(DASP)に対し、7月1日までにMiCA上の認可取得が必要だと注意喚起を行っていた。同庁は審査に最大4カ月かかる可能性があり、初回提出書類は不完全なことが多いとも説明している。

ロイターの報道によれば、AMFのマリーアンヌ・バルバラヤニ長官は5月にも、無認可の暗号資産企業に対して、「6月末までの認可取得が非常に差し迫っている」と記者団に対して発言していたという。MiCA移行期間の終了が迫る中、事業者に準備を急ぐよう求めた格好だ。

大手法律事務所、MiCAによる市場再編の可能性を指摘

一方、大手法律事務所ホーガン・ロヴェルズは5月の分析で、「MiCAはEU市場のルールを調和させるだけでなく、市場アクセスを選別する仕組みとして機能している」と指摘した。同分析では、5月時点の認可済みCASPが194件にとどまり、移行前のVASPの約75%が登録ステータスを失う可能性があるとの見方も示されている。

同事務所は、MiCAによってコンプライアンス水準が引き上げられ、要件を満たせない事業者が市場から退出する一方、体制の整った大手事業者には有利に働く可能性があると分析。規制によって市場の透明性や秩序は高まるものの、小規模事業者にとっては対応コストが参入障壁になり得るとしている。

7月以降は、無認可事業者への執行対応とあわせて、欧州の暗号資産市場にどのような変化が出るかが焦点となる。認可取得の負担や小規模事業者の退出が指摘されるなか、市場再編の行方にも注目が集まりそうだ。

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