2026年6月18日 午前7時30分
【論説】福井県の越前町越前地区の有志が、主に町外の病院に通う地元の住民を自家用車で送迎するボランティア団体を立ち上げ、運行を本格化させた。民間バスは路線廃止や減便が進む。住民同士が支え合う「共助方式」は県内の他の地域でも参考になるだろう。
越前町では2024年に福井鉄道と京福バスが運転手不足を理由にバスの路線廃止や減便を行い、海岸部の越前地区から町外への直通バスが大幅に減少。住民は多くの時間帯で乗り換えが必要となった。
この事態に公共交通の問題に関心を寄せていた有志がグループで活動を始めた。住民の通学、通院への対応を町に求める署名を集めるとともに早速、運転手のなり手を探し始めたという。
25年5月に越福ドリームライン運営協議会を発足させ、これまで運行したのは試行期間を含めて60件余り。福井市や鯖江市への通院や入院している家族の世話をする住民の足として現在、運転手3人が車を走らせている。
国土交通省のガイドラインに基づき、運行はタクシーやバス事業の妨げにならない範囲とする。活動資金は賛同者から募った協賛金を活用し、利用者からは燃料代などの実費に満たない程度のお金は受け取るものの、経費のほとんどを協賛金で賄う。
送迎の要望があっても、すぐに運行が決まるわけではない。運転手の都合をつけなければならず、運行時間のほか病院での待ち時間、普段の診察に要する時間を把握する必要がある。通院者らの家庭の事情や車の乗り降りに介助が必要かどうかも検討する。大変な手間がかかることは想像に難くない。
公共交通機関が不便となる中、町や町観光連盟も独自に対策を取っている。
町は朝1便、越前地区などの高校生を福井市内の各高校まで送る直通バスを昨年から走らせている。また、観光連盟は昨秋から職員らが住民らの予約を受けて運転する自家用有償旅客運送「公共ライドシェア」を本格運行し、町内の民宿旅館などと周辺市町の鉄道駅を結んでいる。
こうした中、任意団体である協議会は、継続的な運行に向け、資金や人手など組織基盤の強化が課題となろう。現状は車を走らせれば走らせるほど資金が減る仕組みだ。協議会では「利用者のいろいろなケースにどう対応できるか。地域で助け合いたい」とまずは実績を重ねる考えだ。
地区内外から関心を寄せ、協議会への支援のあり方も考えたい。
