豪ブリスベン(CNN) オーストラリアで16歳未満のSNS利用を禁止する世界初の法律が施行された10日、14歳のチアリーダー、ルーシー・ブルックスさんは、スナップチャットで一時的に友人を失った。

ところが、24時間以内に友人たちは戻ってきた。多くは新しいアカウントを作成しており、中には親や年上の友人の顔を借りている人もいた。そうした年長者は年齢確認技術の回避に喜んで力を貸してくれた。

オーストラリアが今回の禁止措置に踏み切った際、批評家たちは禁止された10のプラットフォームに代わるツールがすぐに現れると予測した。法律では若者に人気のスナップチャット、ティックトック、インスタグラムなどが禁止対象になった。

しかし10代の若者が同じプラットフォームに舞い戻るのがどれほど容易か、批評家たちは想定していなかったのかもしれない。そこで見られるのは、7月に英国政府がオンライン安全法を施行した際に10代の若者たちが使った手口だ。

ルーシーさんによると多くは親の了承を得てアクセスしているが、AIが生成した人物写真や動画を使う人もいる。例えばAIに40歳の人物を作らせるなどして、禁止措置を回避するという。ルーシーさんはインスタグラムのアクセスは失ったものの、スナップチャットとティックトックはまだ利用している。

年齢認証に携わる企業は、たとえアカウントの所有者が年齢認証をパスしていたとしても、自社の技術で実際のユーザーを大まかに特定できるとしている。従って、法律による禁止対象の若者が作成したこれらのアカウントは、最終的に削除される可能性もある。

しかし今のところは、16歳未満の若者であっても禁止されたサイトにアクセスしようと思えばできてしまうのが実情だ。特に親がアクセスに反対していない場合には。

「電話番号をもらうのが面倒」

10日のSNS利用禁止法導入を記念し、アルバニージー首相はシドニーの公邸の芝生でいかにもオーストラリアらしいバーベキューを催した。

出席者には、ネットいじめに耐えかねて自殺した子どもたちの親や活動家らが名を連ねた。これらの活動家はネット上の虐待や性的搾取の脅威に縛られない子ども時代の復活に取り組んできた。

シドニーのハーバーブリッジは愛国心を象徴する緑と金色にライトアップされた。橋の支柱には法律導入キャンペーンのスローガン「Let Them Be Kids(子どもを子どもらしく)」の文字が浮かび上がった。

10日、ライトアップされたシドニーのハーバーブリッジ。支柱には「Let Them Be Kids(子どもを子どもらしく)」の文字が/Brendon Thorne/Getty Images
10日、ライトアップされたシドニーのハーバーブリッジ。支柱には「Let Them Be Kids(子どもを子どもらしく)」の文字が/Brendon Thorne/Getty Images

CNN取材班は橋の下の公園で、自転車に乗った15歳の少年4人に禁止法についての話を聞いた。全員アカ​​ウントを所持したままだという。

「最初に登録した時に生年月日を2000年と入力したからだと思う」と少年の一人が言い、友人たちは頷(うなず)いた。「そうする方が簡単だ」

別の少年は「ティックトックがなくなっても構わないけど、スナップチャットは失いたくない」と話す。電話番号を交換しなくても友達とメッセージをやり取りできる、便利なプラットフォームだからだという。

ワッツアップやアップルのiメッセージで十分ではないかと問われた少年は「実際の電話番号をもらうのが面倒だ」と答えた。別の少年は、ニュースはすべてインスタグラムで入手しており、従来のメディアにはほとんど触れていないと語った。時々国内の無料放送局のフィードが流れるのだという。

インタビューの終わりに、1人の少年が時々新聞を読むと示唆したところ、他の少年たちは「それはない」と笑った。

「効果はない」の声

オンラインニュースチャンネル「6 News」の創設者、レオ・プグリシ氏(18)は、今回の禁止措置には反対の立場だが、その目的が達成されるとは考えていない。

「若者がソーシャルメディアに向かうのを止められないのは分かっている。私の弟は16歳未満だが、今もソーシャルメディアを使っているから」と、プグリシ氏は11日、CNNの取材に答えた。「弟は規制を回避しようとさえしなかった。この禁止措置に効果がないのはほぼ間違いないだろう」

プグリシ氏は11歳でニュースチャンネルを開設し、現在は就学年齢のジャーナリスト9人からなる小規模チームを率いる。彼らは学校の宿題と速報ニュースの取材を両立させている。プグリシ氏は、自分が6 Newsを始めた頃にこの禁止措置が実施されていたら、チャンネルは存在しなかっただろうと語る。

「この議論で忘れてはならないのは、ソーシャルメディアの利用を禁止されるのが15歳だということ。5歳児ではない。アルバイトができる15歳なら、ユーチューブにだってログインできるべきだと私は思う」(プグリシ氏)

オーストラリアの裁判所には、今回の禁止法に対して2件の訴訟が起こされている。そのうちの1件は、人気オンラインフォーラムのレディットが12日に提起した。レディットは禁止法が「インターネット上のすべての人にとって深刻なプライバシー及び政治的表現の問題」を引き起こすと主張する。ただ自社では当面、法律を遵守しているとも強調した。

不安と苛立ち

冒頭のルーシーさんとその友人たちは、ソーシャルメディアをいつまで続けられるのか分からないことに不安と苛(いら)立ちを感じている。万が一アカウントを切断された場合に備えて、友人たちは禁止措置の前に電話番号を交換していたが、まだその番号を使う事態にはなっていない。とりあえず今のところは。

チアリーディングに打ち込むオーストラリアの14歳、ルーシー・ブルックスさん/Emma Brooks
チアリーディングに打ち込むオーストラリアの14歳、ルーシー・ブルックスさん/Emma Brooks

チアリーダーのルーシーさんは、今後もインスタグラムを使いたいと考えている。自分の写真がチアリーディングのアカウントに投稿される際、どこでどのように使われているのかを把握したいからだ。また他のチアリーディンググループをフォローして、その演目をチェックし、自身の上達に生かしたいという思いもある。

他の多くの子どもたちと同様、ルーシーさんはソーシャルメディア上の問題のあるコンテンツへの対処は必要だと認める。しかし禁止することが最善の対策だとは思っていない。

禁止法について「本当はうまくいってほしい。子どもはそんなにソーシャルメディアを使うべきじゃないと思うから」とルーシーさんは話す。だがすぐに「でも、うまくいく気がしない」と言い添えた。

ルーシーさんによれば、時間制限を設けることの方が対策としてはより効果的だという。「1時間から2時間くらいが妥当だと思う」