洪水水のあふれた街を車で移動する人も。Mic Smith/APアメリカの東海岸や湾岸地域を含め、世界各地で都市が沈みつつある。こうした地盤沈下は、極端な洪水をさらに悪化させ、インフラに損害を与える可能性がある。ニューヨークからヒューストンまで、年々沈みゆくアメリカの13の都市を見ていこう。

アメリカでは都市が沈みつつある。毎年ごくわずかにというところもあれば、毎年6mmずつ沈んでいるところもある。

地盤沈下は「動きは遅いものの、広範に影響が及ぶ危険」だと話してくれたのは、バージニア工科大学の地球物理学者で、3月にNatureに掲載された研究論文 —— アメリカの32の沿岸都市で地盤沈下を計測した —— を共同執筆したマヌーチェフル・シルザエイ(Manoochehr Shirzaei)氏だ。

地盤沈下は、高層ビルやインフラ施設の重みや、地下水の過剰な汲み上げなどによって起こる。氷河期の名残ということもある。

気候危機の影響で海面が上昇する中、世界各地で多くの沿岸都市がすでに壊滅的な洪水に見舞われている。2019年の研究によれば、地盤沈下を考慮すれば、将来の沿岸部の洪水に対する世界の脆弱性は3倍になるという。

上海、北京、天津も… 中国、主要都市の約半数が地盤沈下している —— 最新研究 | Business Insider Japan

上海、北京、天津も… 中国、主要都市の約半数が地盤沈下している —— 最新研究 | Business Insider Japan

シルザエイ氏の計算では、アメリカでは海面上昇と地盤沈下が相まって、2050年までに1090億ドル(約16兆1000億円)相当の沿岸不動産が高潮による洪水にさらされる可能性があるという。

ただ、明るいニュースもある。Business Insiderの取材に応じたシルザエイ氏によると、地盤沈下には比較的安価な解決策があるという。

「覚えておいてもらいたいのは、わたしたちにはまだこの危険を管理するのに十分な時間があるということです」とシルザエイ氏は語った。

同氏の最新研究をもとに、地盤沈没が最も進んでいる大都市を東海岸北部から順に見ていこう。

マサチューセッツ州ボストンボストンマサチューセッツ州ボストン。AP Photo/Michael Dwyer

シルザエイ氏とその共同著者たちは、ボストン全域で地盤沈下に大きなばらつきがあることに気付いた。このようなばらつきがあると、インフラにさらなる負担がかかることもある。

例えば、ある地域では年に1mm程度沈んでいる一方で、年に4mm近く沈んでいる地域もある。後者は10年で約4cm沈下する計算だ。

ニューヨーク州ニューヨークニューヨークニューヨーク州ニューヨーク。AP Photo/J. David Ake, File

ニューヨークは毎年1.5mm程、沈下している。

シルザエイ氏が共同執筆した2024年の研究によると、ニューヨーク都市圏にある3つの空港も全て沈みつつある。ジョン・F・ケネディ国際空港は年に約1.7mm、ラガーディア空港は年に1.5mm、ニューアーク国際空港は年に1.4mm沈んでいる。

このうち、ラガーディア空港はすでにウォーターポンプ、防波堤、洪水壁、洪水ドアを設置している。以前の予測では、ラガーディア空港は2050年までに毎月洪水に見舞われるようになり、2100年までに完全に水没するとされていた。これは地盤沈下を考慮に入れていない。

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ハドソン川を挟んだあの都市も…

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