2026年05月08日 21時00分
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少子化の影響でドイツが間もなく危機的状況に陥ると、チャンネル登録者数2520万人超のサイエンス系YouTubeチャンネルであるKurzgesagtが解説しています。

GERMANY IS OVER – YouTube


工業化をいち早く進めたドイツは、20世紀初頭には出生率が低下し始めました。


その後、55年間にわたってドイツの出生率は人口置換水準を下回っており、2025年には出生率が「1.4人」となる見込みです。


韓国の出生率は「0.8人」なので、これと比べると驚くほど低いようには思えないかもしれません。しかし、この数値が続けば人口崩壊が起こります。


出生率が「1.4人」のままの場合、ドイツ人は100人当たり70人の子どもを産むことになります。この70人の子どもが成長すると、大人になって49人の子どもを産み、この子どもは大人になると34人の子どもを産み、その子どもは24人の子どもを産みます。


つまり、出生率が「1.4人」のままの場合、ドイツの各世代の人口は4世代で76%も減少するわけです。


そもそも人間の数が多すぎるのだから対した問題ではないと考える人もいるかもしれません。しかし、同時に人間の寿命も長くなっているため、高齢者が圧倒的に多く、若い世代が圧倒的に少ないという致命的な組み合わせが出来上がりつつあります。これにより、ドイツのミレニアル世代、Z世代、それより若い世代が経験することとなる真の危機は、「人口構成の大幅な変化」とそれに伴う「移行期間」にあるとKurzgesagtは指摘しました。


2026年時点でドイツはすでに世界で最も高齢化が進む国のひとつとなっており、平均年齢は45歳超です。なお、ドイツ以上に高齢化が進んでいるのが日本と韓国。


ドイツ人のほぼ5人に2人が50歳以上、ほぼ4人に1人が65歳以上です。これに対して、14歳未満の子どもは8人に1人しかいません。


工業生産の減少、息苦しい官僚主義、わずかな経済成長にもかかわらず、ドイツのシステムは依然として機能しており、同国は世界で最も裕福な国のひとつであり続けています。ドイツは依然として人口が多く、労働力も豊富で、手厚い社会保障制度と年金支給制度を備えています。


「しかし、間もなく人口動態の変化とベビーブーマー世代の経済不振という現実が、貨物列車のようにドイツを襲うだろう」とKurzgesagtは言及しました。


人口減少は社会や文化が単に人を失う以上のものを失うことを意味します。人類が築き上げてきたシステムや国家は、単に規模を縮小するだけでは機能しなくなるためです。


2036年までに、ドイツのベビーブーマー世代である1300万人(赤色部分)が退職することとなります。しかし、ベビーブーマー世代が十分な数の子どもを産まなかったため、彼らに取って代わる若い世代の数ははるかに少なくなってしまいました。


2030年時点で、何百万もの仕事が人手不足に陥る可能性があります。働く人が減れば税収が減り、政府の財源も減ります。


するとサービスの質は低下し、空港の手荷物受取から病院の予約まで、あらゆることの待ち時間が長くなってしまう可能性があります。


そして、より喫緊の課題となるのが「退職者問題」です。ドイツは賦課方式の年金制度を採用しています。これは国民の給与の約20%が年金受給者に直接支払われることを意味します。これは1960年代にはある程度うまく機能していました。理由は単純で、1960年代当時は退職者1人に対し、働くドイツ人が5人いたためです。


しかし、2024年には退職者1人に対して労働者の数は2.5人にまで減少しています。さらに、2030年代には退職者1人に対して労働者は2人にまで減少予定です。さらに、退職から約10年が経過すると、高齢者はより病気にかかりやすくなり、医療費の大部分を占めるようになり、これも将来的により多くの税金を占めるようになるはずです。


このような状況に対処するため、1970年代にはドイツ政府は税収で年金基金に補助金を出し始めており、それ以降ほぼすべての政権が同じように補助金を出すという形で問題を先送りにしてきました。その結果、ドイツ政府は2025年時点で年金制度の欠陥を補うために、年間税収のおよそ4分の1を補助金として支出しています。つまり、ドイツの税金の4分の1が年金の支払いに充てられているわけです。


これは教育・研究・インフラ・国防といった国にとって重要な分野への支出を超える額です。つまり、ドイツの富は若者や労働者から、高齢者や退職者へと再分配されているわけ。


そして、ベビーブーマー世代が退職するにつれ、この状況はさらに悪化することとなります。国の財源が減ることで、若者や労働者階級の人々を支援するために使える資金が減ることとなります。これは、家族を持つことへのインセンティブ、減税、無料の保育サービス、住宅購入のための低金利ローン、教育、インフラ、クリーンエネルギーなどへの投資を失うことを意味します。加えて、Kurzgesagtは「ミレニアル世代とZ世代が現在と同額の年金を受け取ることができる可能性は低いでしょう」と語りました。


既存の年金制度がベビーブーマー世代にしか機能していないのは、親世代が「より多くの子どもを産み、若くして亡くなった」のに対して、ベビーブーマー世代は「子どもをあまり産んでおらず、長生きしている」ためです。ただし、これだけが理由というわけではなく、ドイツが好景気にわいていたため問題がゆっくりと深刻化したことも原因のひとつ。

こういった問題があるため、多くの人が老後のために貯金したいと考えるはずです。しかし、税金と社会保障費はドイツの平均的な労働者の給与の約40%、最高税率の所得層ではほぼ50%を占めます。これは世界的に見ても有数の高さで、「これにより生活費が高騰し、賃金の伸び悩みと相まって、特に若い世代や中年層のドイツ人にとって老後のための貯蓄を非常に難しくするでしょう」とKurzgesagtは指摘しました。


富を生み出す手段であり、安心と安全を得られる場所のひとつが「自分の家」です。しかし。新規開発を阻む近隣住民の反対運動や、建設コストの上昇、新しい規制の増加、過去数十年間でドイツに流入した数百万人の移民といった要因が複合的に作用し、住宅供給は需要に大きく追いついていません。若者が住みたいと思うような大都市圏では不動産の賃貸や購入費用が非常に高価になっており、共働きで安定した収入のある夫婦でさえ、それをねん出するのは困難な状況です。


つまり、ドイツの若者たちは上の世代が積み上げてきた巨額の借金を返済しなければいけない運命にあります。しかし、若者世代に投票によってこの状況を変える手だてはありません。なぜなら、ドイツの政党には若者を支援する動機が全くないためです。


ドイツでは高齢者が最大の有権者層であるため、政治家は彼らのために政治を行います。


そのため、ドイツの若者は富を築いたり、マイホームを手に入れたりすることが困難になり、望んでいても家族を持ったり子どもを産んだりすることにますます消極的になるでしょう。


ドイツは高齢者のための社会となってしまっており、そのために若者に依存する社会でもあります。これが若者を育成することが非常に困難になっている理由です。この状況を解決するために、ドイツでは何百万人もの高齢者が長く働かざるを得なくなると予想されており、定年年齢を70歳以上とする案が既に議論されています。一方、ドイツの年金受給者の約20%が貧困状態にあり、その割合は2030年代には大幅に増加することが確実視されています。


それでも高齢者とベビーブーマー世代はドイツの富の大部分を所有しています。


ドイツのような高税率国でさえ富の格差は大きいです。富裕層に課税して労働者の負担を軽減する機会は十分にありますが、これについては激しい議論が交わされているため、Kurzgesagtは「今回は触れないでおきます」と語りました。


年金だけでなく福祉制度や医療制度も2030年代には維持できなくなる可能性があります。医療費の大部分は高齢になってから発生します。人口動態の変化により、医療従事者の数が減少する一方で、患者の数は爆発的に増加することが予測されているだけでなく、既存の医療制度では専門医の診察を受けるまでの待ち時間が既に数カ月におよんでいます。


さらに問題となるのが「移民問題」です。Kurzgesagtは移民が人口減少の問題を解決できるかどうかにのみ焦点を当て、「ドイツではほとんどの移民の出生率が地元住民の出生率よりも高い」と指摘。新しい移民が子どもを多く産む場合、2世代以内に他の住民に順応する傾向があります。


この移民がここ数十年間で、ドイツの経済危機を遅らせてきました。今後、ドイツは深刻な労働力不足に直面し、これが特に医療や看護の分野で顕著なものになると予測されています。しかし、移民をゼロにするとこの労働力がなくなってしまうため、「移民をなくすことは賢明な判断でも現実的な判断でもない」とKurzgesagtは指摘しました。


現状の出生率のままでは、ドイツの人口は減り続けるのみです。これを補うには、常に新しい移民を補充していく必要があります。移民が高齢になり、自分たちの老後の生活費を賄うために新しい移民が必要になるまで、長く移民を受け入れる必要があります。ただし、「これが良い考えかどうかは置いておいて、実際には実現不可能です」とKurzgesagtは言及。

その理由は、出生率が世界的に急激に低下しており、いずれは世界的に若者が不足するためです。「移民は問題を少し遅らせ、その影響を緩和することはできるものの、それだけです」とKurzgesagtは語りました。


同じような危機的状況が、西側諸国全てを襲いつつあります。ドイツ、イタリア、フランス、ポーランドでは事態がエスカレートしつつありますが、同様の問題がアメリカ、アルゼンチン、カナダでも起こり得るとKurzgesagtは指摘。


人口崩壊を食い止めるには、すべての人々の犠牲を必要とします。しかし、人口崩壊を真に解決した国は存在しません。そして、高齢の有権者から非常に不評を買うような政策を実行する必要があります。

ドイツの場合、国家予算全体の25%を高齢者、特に富裕層に費やす代わりに、若い世代のために投資すべきです。住宅費や養育費を負担し、大家族を持つことが素晴らしいメリットとなるようにする必要があります。そして、何よりも最初に子どもや家族に対する若者の考えを変える必要があると、Kurzgesagtは語りました。

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