そこにカメラ機能は要るんか
Image:Meta
スマートグラスを着用した男が女性を盗撮し、その動画をSNSに投稿して、削除する代わりに金銭を要求する事案が発生したと英BBCが報じている。
盗撮された女性は、動画を投稿した男に「屈辱的な思いをした」と苦情のメッセージを送信し削除を求めた。だが男からの返信は、「有料サービス」でのみ削除できると述べるものだったという。
BBCによれば、こうした被害は英国で多発している模様だ。今回の事例の女性は、ロンドンのショッピングセンターで声をかけて来た男が自分を「口説こうとしている」と思い、丁寧に拒否したがしつこく付き纏われたとのことだ。そして後日、そのときの様子をスマートグラスで撮影した動画がSNSに投稿されたという。
このことに気づいた女性はBBCに対し「ただただショックだった」とし、そのときの男が「携帯電話を持っていなかったし、私の顔にカメラを向けていたわけでもなかった」と述べたが、動画は約4万回も再生されてしまったとのことだ。
女性は金銭の要求を拒否し、警察に通報した。だが、ロンドン警視庁は捜査を開始したものの「初期段階で情報が限られていたため捜査を進められなかった」とBBCに述べた。
警察が早々に捜査を諦めたにもかかわらず、BBCは動画を撮影した男に連絡を取ることができた。そして男に金銭を請求しようとしたことについて尋ねた。
すると男は「自分は嫌がらせ行為に関与したり、故意に誰かを不快にさせようとしたりすることはない」と主張したという。また、女性からの動画削除の要請に応じなかったことについてはのらりくらりと言い訳じみた回答を並べた。さらに「有料サービスとしての削除」という表現については「その表現が様々な解釈を生んだ可能性があることは理解しており、もっと明確に表現できなかったことを後悔している」とのたまった。
結果的には、女性を盗撮した動画はSNSプラットフォームの利用規約における、嫌がらせおよびいじめ行為に関するルールに違反したとして通報された。そして、動画を含む投稿は削除され、男のアカウントも凍結された。男はその後さらに別のSNSに動画を投稿したが、それらも現在はすべて削除されているとのことだ。
今回の件と似た、スマートグラスのカメラ機能でことわりなく女性を盗撮した動画は、最近SNSによく投稿されているという。それらの多くは女性に名前やどこから来たか尋ね、連絡先を教えて欲しいなどと話しかける、いわゆるナンパに近い内容のものとなっている。しかし女性には、撮影していることも動画を投稿することも明かしていない。
どうやらそのような動画は再生数が伸びやすく、投稿するアカウントはそれをSNSのクリエイタープログラムによって収益化している。中にはYouTube、Instagram、Threadsといった利用者の多いプラットフォームにこのような動画を大量に投稿する、同一人物とみられる複数のアカウントも見つかっているという。
スマートグラスが将来性を感じさせるデバイスであることは間違いないが、そのフレームに搭載されるカメラは、だれもが盗撮目的での使用をすぐに思いつくだろう。メーカーは、録画中にはフレーム内蔵のLEDが光るようにしているが、撮影されている人が気づかないことも考えられる。今回の被害女性も録画されていたとは気づかなかった。
記事執筆時点では、Metaをはじめとするスマートグラスメーカーが、搭載するカメラ機能による盗撮行為を防止する解決策を検討あるいはすでに用意しているかについての情報は出てきていない。被害が増えるようであれば今後、SNSプラットフォームによる削除を待つだけでなく、法的な対策も必要かもしれない。英国の政府報道官は、「女性と少女は安全であることを感じる権利がある」とし、「彼女たちの同意なしに撮影し、オンラインでコンテンツを共有することは卑劣な行為であり、容認できない」と述べている。
ちなみに、Metaはまだ日本ではスマートグラスを販売していないが、同社は3月31日のブログ記事で「今後数か月以内に」日本を含む数か国に販売地域を拡大するとしている。Amazonでは、カメラ付きスマートグラスを謳う無名メーカーの製品が販売されている。
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