韓国の尹錫悦大統領による「非常戒厳」の宣布を巡り内乱容疑などの捜査を行う高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)の捜査員らは15日午前、大統領公邸の敷地内で、尹大統領に対する逮捕令状を執行し、身柄を確保した。非常戒厳について直接の取り調べが開始された。
尹大統領が出頭要請に繰り返し応じなかったため、逮捕令状の請求が行われた。1月3日には公捜庁の捜査員らが大統領公邸の敷地内に入ったが、大統領警護庁の抵抗で最初の逮捕状執行を断念していた。
公捜庁が尹氏の逮捕を確認した。現職大統領が逮捕されるのは、韓国史上初めて。捜査当局は、非常戒厳の宣布が内乱を首謀する行為に当たるか検証しているが、尹氏は大統領権限の範囲内で宣布したとしている。
尹氏は逮捕前に収録したビデオで談話を発表。流血の事態を避けるため公捜庁への出頭に応じたとしながらも、同庁による捜査の正当性を認めることを意味しないと主張した。「残念ながら、この国では法の支配が崩壊している。捜査権限を持たない機関に令状が発付されたことは、全く嘆かわしい」と同氏はコメントした。

尹大統領の逮捕に冠するリポート
Source: Bloomberg
捜査官は大統領を48時間拘束することが可能で、ソウル近郊の果川市にある捜査当局の施設で取り調べが行われている。48時間を経てさらに最長20日間継続するには、新たな令状を請求する必要がある。尹氏は15日の取り調べ後、ソウルに近い義王市の留置施設に移送される見通し。
14日には憲法裁判所で、国会での尹大統領の弾劾訴追案可決を受け、弾劾審判の初弁論が開かれた。
林芳正官房長官は15日午前の記者会見で、韓国の尹大統領が逮捕されたことを受け、「特段かつ重大な関心を持って注視をしている」と発言。他国の内政へのコメントは差し控えるとしながらも、韓国は重要な隣国であり、日韓関係の重要性は変わらないと述べた。
尹大統領の逮捕を受けて、韓国ウォンは対ドルで一時0.2%上昇した後、ほぼ横ばいに戻している。一方、韓国の3年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.67%、10年債利回りも2bp上昇し、2.86%となった。
逮捕に至るまでの主な経緯は次の通り。
任意出頭で協議
逮捕に先立ち、大統領の弁護団は公捜庁の捜査員らと任意出頭に向け協議していた。
聯合ニュースによれば、公捜庁は任意出頭の選択肢を検討せず、尹氏の逮捕を目指し、令状を執行するために公邸敷地内で弁護団と協議を続けた。同庁によると、最初の令状執行の試みとは異なり、今回は大統領警護庁の警備員らが執行を積極的に阻止してはいなかった。

車両で封鎖された大統領公邸入り口の様子(1月15日)
Photographer: Anthony Wallace/AFP/Getty Images
大統領公邸に捜査員入る
聯合ニュースによると、公捜庁の捜査員らは現地時間午前4時20分(日本時間同)にソウル中心部にある大統領公邸に到着した。
YTNテレビの報道によれば、韓国警察ははしごを使って車両の壁を乗り越え、大統領公邸の敷地内に入った。聯合ニュースによると、大統領警護庁が設置した第3防衛線を公捜庁の捜査員や警官らが越えた。
緊張高まる
大統領公邸の付近はバスや有刺鉄線で封鎖され、大統領警護庁の武装要員によって警備されており、政府機関同士の衝突の可能性を巡って緊張が高まっている。聯合ニュースによると、警官約3000人が令状執行のために動員された一方、尹氏を支持するデモに推定6500人が集まった。

大統領公邸付近に集まった尹氏の支持者ら(1月15日)
Photographer: Jean Chung/Bloomberg
現場の映像では、大統領公邸近くに抗議者が集まる中、尹大統領の弁護士が進入を阻止しようと捜査当局者と見られる人物に書類を提示している様子が映された。尹氏の代理人らは、逮捕の試みは違法だして憲法裁判所に差し止め命令を求めている。
衝突回避を
崔相穆大統領代行は声明で、令状執行の過程で法執行当局間のぶつかり合いがあってはならないと述べ、「不幸な事態が発生した場合は、私は大統領代行として責任を負うべき者には厳正に対処する」と表明した。
原題:South Korean President Yoon Arrested Over Martial Law Fiasco (2)、 S. Korea Yoon Says He Agrees to Appear at CIO to Avoid Bloodshed、South Korean Investigators Move in Second Bid to Arrest Yoon (抜粋)
(取り調べ開始の部分を追加して更新します)
