2026年度 都道府県別最低賃金額と適用日一覧 47都道府県まとめ

2026年度(令和8年度)の山梨県の最低賃金は、時間額1,113円に引き上げられます。現行の1,052円から61円(5.80%)の引き上げで、国の目安額(56円)を5円上回る答申となりました。目安超えは2年連続です。2026年(令和8年)11月1日から県内のすべての事業所に適用される見通しです。

📌 この記事の情報は公式発表・報道に基づいています

本記事の金額・発効日は、山梨地方最低賃金審議会の答申について報道各社が確認した内容です。ご自身でも下記の出典から直接ご確認いただけます。

報道:朝日新聞(Yahoo!ニュース)・日本経済新聞

📋 このページの内容

2026年度(令和8年度)山梨県最低賃金 改定の概要

項目
内容

答申額
時間額 1,113円

現行の金額(2025年度)
1,052円

引き上げ額・引き上げ率
61円(5.80%)

中央最低賃金審議会の目安との差
目安(56円)を5円上回る上乗せ答申(目安超えは2年連続)

答申日
2026年(令和8年)8月28日

発効予定日
2026年(令和8年)11月1日

適用対象
山梨県内の事業所で働くすべての労働者(パート・アルバイト・正社員を含む)

2026年度 全国加重平均の目安
1,176円(+55円・4.9%) ※目安どおりの場合の試算

今回の答申は、山梨地方最低賃金審議会(会長:後藤光利弁護士)が2026年8月28日、山梨労働局長(岩崎充氏)に対して行ったものです。山梨県の現行の最低賃金は、隣接5都県(東京・神奈川・埼玉・長野・静岡、1,061〜1,226円)と比べて9〜174円低い水準でしたが、これら5都県の引き上げ幅(東京・神奈川54円、埼玉55円、長野56円、静岡57円)をいずれも上回る61円の答申となり、答申どおり実施されれば格差が縮まる見通しです。
参考:Yahoo!ニュース(朝日新聞)「県内の最低賃金61円引き上げ1113円に 目安額5円上回る答申」 / 日本経済新聞「山梨県の最低賃金、61円上げの1113円を答申 目安5円上回る」

⚠ この金額はまだ「答申」段階で、正式決定ではありません

今回発表された1,113円は、山梨地方最低賃金審議会が山梨労働局長に答申した金額です。この後、異議申し立て期間を経て、正式に決定されます。正式決定・発効までは現行の1,052円が適用されています。

異例の審議経過 - 知事自らが審議会に乗り込む

山梨県の今回の審議は、他県と比べても極めて異例の経過をたどりました。7月1日の第1回審議会に長崎幸太郎知事自らが出席し、大幅な賃上げの必要性を訴えました。8月3日の第2回審議会でも県の担当課長が出席し、知事と同様の主張を繰り返しています。

5日の専門部会では、労働者側が145円、使用者側が34円の引き上げ額をそれぞれ提示し、100円以上の隔たりがある状態からスタート。歩み寄りに時間がかかり、答申案のもとになる専門部会報告をまとめるまでに7回の会合を要しました。これは2020年度以降で最多の回数です。8月28日午前の専門部会でようやく61円の引き上げで部会報告がまとまり、同日午後の第3回審議会では使用者側委員の一部が答申案に反対する場面もありましたが、最終的に賛成多数で承認されました。

審議会後、委員の一人からは「知事や県の担当課長の出席を『圧』と感じた委員もいたのではないか」として、所管する厚生労働省にこうした経緯を伝えるよう求める意見も出されています。一方で後藤会長は「労働者側、使用者側の双方に、賃上げは必要だという共通認識があった」とし、答申を受けた長崎知事も「審議会が踏み込んだ判断をしたもので、オール山梨で取り組んだ成果」と評価するコメントを発表しました。

⚠ 知事の審議会出席という異例の経緯について

最低賃金審議会は本来、労働者側・使用者側・公益委員による三者構成で、行政のトップが直接出席して意見陳述することは一般的ではありません。今回、審議会の中立性をめぐって委員の一部から懸念の声が出ており、この経緯が厚生労働省に報告される可能性がある点は留意しておくとよいでしょう。

いつから?山梨県最低賃金の適用タイミング

山梨県最低賃金は、答申どおりに決定された場合2026年11月1日から適用される見通しです。適用の基準は支払日ではなく労働日(実際に働いた日)です。11月1日以降の労働分から1,113円以上の支払いが必要になります。

⚠ よくある誤解:「支払日が11月1日以降なら新賃金」は誤りです

最低賃金の適用は「支払日」ではなく「労働日」が基準です。10月分の給与を11月25日に支払う場合でも、10月中の労働には旧賃金(1,052円)が適用されます。11月1日以降に働いた分から1,113円以上の支払いが必要です。

締め日・支払日別の適用タイミング(発効日が11月1日の場合)

締め日
支払日
新賃金の適用開始
注意点

月末締め
翌月25日払い
11月分給与(12月25日払い)から
11月1〜30日分すべて新賃金

15日締め
当月末払い
11月1日〜15日分(11月末払い)から
11月1日から全日新賃金対象

20日締め
翌月5日払い
11月1日〜20日分(12月5日払い)から
11月1日から全日新賃金対象

日払い・週払い
都度払い
11月1日労働分から即日適用
10月31日までは旧賃金1,052円

月給者の最低賃金チェック方法

計算式

(月給額 ÷ 1か月の平均所定労働時間) ≧ 1,113円

計算例

月給182,000円・所定労働時間163.3時間の場合:

182,000円 ÷ 163.3時間 = 時給 約1,115円 → ✅ 1,113円をクリア(余裕はわずかなため要継続確認)

最低賃金の計算に含めない賃金

時間外労働手当(残業代)・休日労働手当・深夜労働手当
精皆勤手当・通勤手当・家族手当
臨時に支払われる賃金(見舞金・結婚祝い金など)
1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
固定残業代(みなし残業手当)

参考:厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」

特定最低賃金(産業別最低賃金)

山梨県には電子部品・デバイス・電子回路等製造業(1,100円・2026年2月15日発効)と自動車・同附属品製造業(1,089円・2026年3月1日発効)の2業種に特定最低賃金が設定されています。今回、地域別最低賃金が1,052円→1,113円へ引き上げられる答申が出たことで、2業種とも新しい地域別最低賃金を下回る「逆転」が生じる見込みです。

産業
特定最低賃金
新地域別(1,113円)との関係

電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業
1,100円(2026年2月15日発効)
逆転:地域別1,113円が優先

自動車・同附属品製造業
1,089円(2026年3月1日発効)
逆転:地域別1,113円が優先

⚠ 特定最低賃金2業種とも地域別に切り替わる見込み

特定最低賃金は地域別最低賃金を下回ることができません。今回の答申どおり地域別が1,113円に改定されると、電子部品等製造業(1,100円)・自動車同附属品製造業(1,089円)のいずれも特定最低賃金が地域別を下回るため、該当業種の事業者も地域別最低賃金(1,113円)以上の支払いが必要になります。

💡 特定最低賃金の「適用除外」に該当するケース

以下の労働者は特定最低賃金の適用除外となり、地域別最低賃金が適用されます。

18歳未満または65歳以上の者
雇入れ後一定期間未満で技能習得中の者
清掃・片付けなど軽易な業務に主として従事する者

⚠️ 技能実習生は「雇入れ後一定期間未満で技能習得中の者」には該当しないため適用除外になりません。

参考:山梨労働局ホームページ

賃上げを支援する助成金・県独自の緊急支援金

💡 山梨県独自の「緊急支援金」が新設される見込み

山梨県は答申と同日、企業の賃上げを後押しするため緊急支援金を用意すると発表しました。引き上げ後の賃金が1,113円以上などの条件を満たす県内の中小企業に対し、正規雇用者は1人あたり4万〜7万円程度、非正規雇用者は1人あたり2万〜5万円程度を支給する方針です。1事業者あたりの支給上限額は40万〜100万円程度とされ、県の2026年9月補正予算に計上される見通しです。他県にはない山梨県独自の制度のため、詳細が判明次第、県の発表を確認してください。

① 業務改善助成金

項目
内容

助成上限額
最大450万円(特例事業者は最大600万円)

助成率
対象経費の4分の3(※山梨県の新地域別最低賃金は1,113円のため、答申どおりの改定後も助成率は4分の3です)

対象
中小企業・小規模事業者(事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円以内)

注意点
交付決定前の設備投資は対象外。必ず事前申請を行うこと

参考:厚生労働省「令和8年度 業務改善助成金のご案内」

② キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)

引き上げ率
助成額(1人あたり・中小企業)

3%以上4%未満
4万円

4%以上5%未満
5万円

5%以上6%未満
6.5万円

6%以上
7万円(最大)

参考:厚生労働省「令和8年度 キャリアアップ助成金パンフレット」

③ キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)

項目
内容

助成額(1年目・1人あたり)
最大50万円(小規模企業)/最大40万円(中小企業)

対象
週の所定労働時間を5時間以上延長し、社会保険に新たに加入させた事業主

💡 2026年10月施行:労働条件明示ルールの変更に注意

2026年(令和8年)10月1日より、パート・有期雇用労働者を雇い入れる際(契約更新時を含む)の労働条件明示事項に、「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨」の追加が義務化されます。違反した場合は10万円以下の過料となります。山梨県の地域別最低賃金の発効予定日(11月1日)とも近接するため、あわせて対応してください。

よくある質問(FAQ)
Q1. 2026年度の山梨県最低賃金はいくらですか?いつから適用されますか?

2026年度(令和8年度)の山梨県最低賃金は、地方最低賃金審議会の答申額で1,113円です(現行1,052円から61円・5.80%引き上げ)。答申どおり決定された場合、2026年(令和8年)11月1日から適用される見通しです。ただし2026年8月時点ではまだ答申段階であり、異議申し立て期間を経て正式決定されます。

Q2. なぜ山梨県の審議は「異例」と言われているのですか?

山梨県では長崎幸太郎知事が第1回審議会に自ら出席して大幅な賃上げを訴えるなど、行政トップが審議に直接関与する異例の展開となりました。専門部会では労働者側145円・使用者側34円という100円以上の隔たりから始まり、部会報告をまとめるまでに2020年度以降で最多となる7回の会合を要しています。8月28日の採決でも使用者側委員の一部が反対する場面がありましたが、賛成多数で答申がまとまりました。

Q3. 「答申」と「決定」は何が違いますか?

「答申」は地方最低賃金審議会が労働局長に提出する意見です。この後、異議申し立て期間を経て正式に決定されます。正式決定・公示までは現行額(1,052円)が法的に有効です。

Q4. 山梨県最低賃金(1,113円)に自社の賃金が対応しているか確認する方法は?

月給制の場合は「月給額÷月平均所定労働時間≧1,113円」で確認します。通勤手当・時間外手当・固定残業代・賞与等は比較対象外です。最低賃金を下回る賃金の支払いは最低賃金法違反(50万円以下の罰金)となります。

【罰則の違い】地域別と特定最低賃金で罰則が異なります

・地域別最低賃金を下回った場合:最低賃金法違反→50万円以下の罰金
・特定最低賃金を下回った場合(地域別は上回っている):労働基準法違反→30万円以下の罰金

Q5. 山梨県の特定(産業別)最低賃金はどの業種に適用されますか?

山梨県には電子部品・デバイス・電子回路等製造業(1,100円)・自動車同附属品製造業(1,089円)の2業種に特定最低賃金が設定されていますが、今回の答申どおり地域別が1,113円へ改定されると、いずれも特定最低賃金が地域別を下回るため、両業種とも地域別最低賃金(1,113円)が優先適用されます。

Q6. 山梨県独自の緊急支援金とはどのような制度ですか?

山梨県は答申と同日、賃上げ後の時給が1,113円以上などの条件を満たす県内の中小企業に対し、正規雇用者1人あたり4万〜7万円程度、非正規雇用者1人あたり2万〜5万円程度を支給する緊急支援金の創設を発表しました。1事業者あたりの支給上限は40万〜100万円程度で、2026年9月補正予算に計上される見通しです。国の業務改善助成金とあわせて活用できる可能性があるため、県の詳細発表を確認してください。

Q7. 最低賃金引き上げへの対応として活用できる助成金はありますか?

主な制度は①業務改善助成金(特例事業者の場合最大600万円・一般事業者は最大450万円・助成率4分の3)、②キャリアアップ助成金・賃金規定等改定コース(1人あたり4万円〜7万円)、③短時間労働者労働時間延長支援コース(最大50万円)です。山梨県では独自の緊急支援金もあわせて活用できる見込みです。業務改善助成金は交付決定前の設備投資は対象外となるため、事前申請が最重要です。

Q8. 試用期間中・外国人労働者にも最低賃金は適用されますか?

はい、試用期間中・外国人労働者・技能実習生を含む全ての労働者に最低賃金は適用されます。「試用期間だから最低賃金以下でよい」という考えは誤りであり、違反した場合は罰則の対象となります。

Q9. 適用開始日をまたぐ給与計算はどうすればよいですか?

答申どおり2026年11月1日が発効日となった場合、10月31日までの労働分は旧賃金(1,052円)、11月1日以降の労働分は新賃金(1,113円)を適用します。なお計算の手間を省くため、月の最初から最後まで新しい最低賃金で計算して支給しても問題ありません。

お問い合わせ先

■ 監修者情報

寺田 慎也(てらだ しんや)
寺田税理士・社会保険労務士事務所 所長 / 社労士法人フォーグッド 代表社員 /
株式会社フォーグッドコンサルティング 代表

【保有資格】税理士、特定社会保険労務士
【専門分野】税務顧問、確定申告、税務調査対応、社会保険手続き、給与計算、労務相談、助成金・補助金申請支援、人事評価制度構築、デューデリジェンス(DD)、経営コンサルティング
【組織体制】1950年創業。スタッフ22名、税理士有資格者4名・社労士6名(うち特定社労士2名)・給与計算実務能力検定有資格者4名が在籍し、大阪(本町)・東京(日本橋)の2拠点で全国450社以上の企業をサポート。

【代表者の実績・メディア掲載】
・テレビ朝日系列「羽鳥慎一モーニングショー」専門家として複数回出演(生出演:2024年5月22日・6月4日、資料使用:2025年6月9日)
・PRONIアイミツ「税理士と社労士が在籍するおすすめ事務所」実績部門 4年連続全国1位(2023〜2026年)
・中央経済社『税務弘報』にて連載執筆中
・著書:『多様化する雇用形態への税務対応Q&A』(ぎょうせい、2026年6月)
・著書:『中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい』(幻冬舎、2018年)
・著書:『雇用関係助成金申請・手続マニュアル』(日本法令、2020年)

事務所公式サイト:https://taxlabor.com/

※本記事は2026年8月28日時点の情報に基づいて作成しています。2026年度の山梨県最低賃金(1,113円・11月1日発効予定)は答申段階であり、異議申し立て期間を経て正式決定されます。県独自の緊急支援金は2026年9月補正予算での計上見通しであり、詳細は今後の県の発表次第で変更される可能性があります。法改正等により内容が変わる場合があります。実際の実務判断は顧問税理士・社会保険労務士にご相談ください。

・Yahoo!ニュース(朝日新聞)「県内の最低賃金61円引き上げ1113円に 目安額5円上回る答申」(2026年8月29日)
・日本経済新聞「山梨県の最低賃金、61円上げの1113円を答申 目安5円上回る」(2026年8月28日)


Post Views: 15,027

LINE友達に追加

Share.