日本の男性の育休取得率が5年で4倍になり50.9%となっている。拓殖大学教授の佐藤一磨さんは「育休取得率が上昇しただけでは喜べない。取得日数と取得中に何をしたか、取得による効果に注視していく必要がある」という――。

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男性の育休取得は増えたが…
日本では、男性が育児休業を取得することが、もはや珍しいことではなくなってきました。
男性の育児休業取得率は、2020年度の12.7%から2023年度には30.1%、そして2025年度には50.9%まで上昇しています(図表1)。わずか5年ほどで4倍近くに増えた計算です。男性の育児参加を促す政策が着実に広がっていると言えるでしょう。

しかし、ここで気になる数字があります。
2025年度に男性が取得した育児休業のうち、1カ月未満の取得が48.8%を占めているのです(厚生労働省「雇用均等基本調査」)。
つまり、男性の育休取得率が50%を超えたとはいっても、「男性が長期間にわたって育児を担う」というところまでは、まだ十分に進んでいない可能性があります。
もちろん、短期間の育休にも意味はあります。出産直後の母親を支えたり、出生直後の子どもの世話をしたりすることは、父親にとって重要な役割です。
しかし、育児休業の目的が、父親の育児時間を増やし、母親に偏りがちな家事・育児の負担を分担することにあるとすれば、「育休を取ったかどうか」だけでなく、「どれくらいの期間、そしてどのように育休を使ったのか」も重要になってきます。
では、男性がもっと長く育休を取れば、家庭内の男女格差は本当に縮まるのでしょうか。
その答えを考えるうえで、興味深い事例があります。
スペイン男性育休「4カ月取得」の結果
注目したいのがスペインです。
スペインでは2017年以降、男性の育児休業制度が段階的に拡充され、2021年には母親に譲渡できない「父親専用」の有給育休が16週間(約4カ月)まで延長されました(*)。
(*)2017年の4週間から毎年延長され、2020年に12週間、2021年に16週間となりました。なお、2024年には19週間まで拡大されています。
日本も制度上は子どもが原則1歳(最長2歳)になるまで育休を取得可能ですが、男性の実際の平均取得期間は2カ月程度にとどまります(マイナビ転職「育休取得と満足度に関する実態調査(2026)」)。
一方、スペインの父親たちの多くは制度上の上限である約4カ月間をほぼフルに取得する傾向にあります(*1)。
「それだけ長く父親が育休を取得できるなら、母親に偏りがちな家事・育児の負担も減るのではないか」
そう考えるのが自然でしょう。
ところが、最新の研究を詳しく分析すると、意外な結果が見えてきました。
父親の育児休業期間が大幅に長くなったにもかかわらず、出産後に生じる男女の所得格差は、縮小していなかったのです。
しかも、研究をさらに詳しく見ると、父親と母親では、同じ「16週間の育休」でも、その使い方が大きく違っていることが分かりました。
さらに驚くことに、父親の育休取得は、育児とはまったく関係のない「ある意外なイベント」の時期に増えていたのです。
今回は「スペインの男性育児休業取得の意外な実態」から見えてくる、男性育児休業の課題について考えていきたいと思います。
