史上最も広範な「バリカタン26」が映し出す、第一列島線防衛の実戦態勢

樋口 譲次

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2026.8.7(金)

米国、フィリピン、日本の3か国による海上協同活動(Maritime Cooperative Activity: MCA)に参加した米海軍の沿海域戦闘艦「サンタバーバラ」(手前から2隻目)と、海上自衛隊のむらさめ型護衛艦「ゆうだち」(その奥)。7月24日撮影(米海軍のサイトより)

「中台紛争で中立を保つことはできない」

 フィリピンのギルベルト・テオドロ・ジュニア国防長官は、同国メディアOne News PHとのインタビューで、フィリピンは台湾海峡を巡る中国との紛争において中立を保つことはできないと発言した。7月27日付台湾ニュース(Taiwan News)が伝えた。

 テオドロ長官はその理由として、まず台湾にいるフィリピン国民を脱出させる必要がある点を挙げた。その上で、バシー海峡におけるフィリピンの権益や影響力が脅かされ、紛争に巻き込まれる可能性を指摘した。

 また、テオドロ長官は、中国による台湾への軍事行動がルソン海峡や周辺の海上交通に波及し、フィリピンを含む地域諸国に影響を及ぼすとの認識も示した。

 これは、中国の「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略の脅威について言及したものとみられる。

 さらに、同長官は、中国によるインド太平洋地域(南シナ海を含む)における軍事行動やグレーゾーンの戦いを「一方的で不合理だ」と非難し、その現実的な脅威に対し国民に警戒を呼びかけた。

 この発言の裏には、見逃せない経緯(いきさつ)がある。

 フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領は訪日前の5月18日、日本のメディアに対し、フィリピンは台湾紛争に巻き込まれる可能性が高いと述べた。

 その際、同大統領は、「一つの中国」政策を支持し、中国の内政問題には干渉しない方針であると同時に、平和的解決を呼びかけた。これは、中国の攻撃的行動や経済制裁などによる緊張の激化を恐れた抑制的発言とみられた。

 しかし、7月20日には、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあるセカンド・トーマス礁付近で、中国海警局(CCG)の要員がフィリピン海軍要員を負傷させる事態が発生した。

 今回のテオドロ国防長官の発言は、中国との緊張が高まる中、フィリピン政府の「台湾問題」に対する立場を改めて公にし、あえて明確に表明したものとして、極めて重要な意味を持つ。

 フィリピンは国家安全保障政策(National Security Policy 2023–2028)を踏まえ、近年は「包括的群島防衛構想」を掲げ、軍と沿岸警備隊の能力強化、米国との同盟、日本などとの安全保障協力を進めている。

 フィリピンの安全保障政策が最も端的に表れているのが、米国と共催する多国間共同訓練「バリカタン演習」である。

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