コアはS&P500とQQQで6割。まりーさん流コア・サテライト戦略

トウシル:前編ではまりーさんの激しすぎる半生に圧倒されてしまいましたが(笑)、後編ではいよいよ気になる投資のお話について伺いたいと思います。現在のまりーさんは、個人資産としてはどのようなポートフォリオを組まれているのですか。

まりーさん:私は基本的に「コア・サテライト戦略」で考えています。コアとなる部分には、S&P500種指数に連動するインデックスファンドやQQQを置き、全体の6割くらいを占めています。

トウシル:米国も激しいインフレのさなかにあると聞いています。投資する余裕はどうやってつくっているのでしょう?

まりーさん:私は今もヘッジファンドで働いている兼業投資家ですし、夫婦ともに十分な収入がある状態を維持できています。毎月の生活費は、投資以外の収入で十分賄えるので、余った余剰資金はどんどん投資可能な現金として証券口座に回しています。だから、新しく魅力的な個別株を買いたいなと思ったときにも、手持ちの何かを売却しなくてもいい状態なんです。

 投資の一番の成功の鍵は銘柄選びよりまず入金力、とよく聞くと思いますが、当たり前のようで大事なことです。余裕がない状態の株投資はそれだけで非常に不利です。投資で収入を得ようとするより、自分の経験を生かし、キャリアを伸ばして収入を上げることに専念した方が資産はより早く育ちます。投資は長期指数積み立てだけで十分と私が思う、もう一つの理由です。

トウシル:ポートフォリオ残りの4割を占める「サテライト」の個別株では、具体的にどのような銘柄を保有されているのですか?

まりーさん:サテライトの個別株ポートフォリオの中で、現在最も大きなウエートを占めている主力銘柄はエヌビディア(NVDA)です。その次に大きなポジションを持っているのが、ロビンフッド・マーケッツ(HOOD)、テスラ(TSLA)とパランティア・テクノロジーズ(PLTR)の3銘柄で、これらが日によってランクが入れ替わるくらい、ほぼ同じ規模で並んでいます。

トウシル:個別株を選ぶ際、まりーさんならではの基準や軸はどこにあるのですか。

まりーさん:私は、時代のトレンドに乗っていることももちろんですが「長期にわたって圧倒的に成長できる明確なストーリーがある会社」が大好きなんです。そしてもう一つの重要なこだわりが「雇われ社長ではなく、創業者が自らトップとして率いている会社」であるという点です。

 イーロン・マスクは厳密にはテスラの創業者ではないですが、今のテスラをつくり上げたのは彼ですし、よって大株主なので該当します。テスラのように、創業者に個性があって、面白くて目が離せないような企業が大好き。パランティアもロビンフッドも創業者が熱量を持って引っ張っている企業だからこそ魅力を感じます。

 私が長期で保有したい銘柄として命名した『HODLER5(ホドラーファイブ)』というリストがあります。2年ほど前に命名した当初はエヌビディア、テスラ、メタ・プラットフォームズ(META)、パランティア・テクノロジーズ、ロビンフッド・マーケッツの五つでした。その後そこに暗号資産のビットコインを加えて『HODLER6』にアップデートしたのですが、最近はそこに新しくアマゾン・ドット・コム(AMZN)を組み入れて、代わりにメタをリストから外そうかなと検討しています。

トウシル:メタを外してアマゾンに入れ替える理由が気になります!

まりーさん:アマゾンは創業者経営という私の好みからは少し外れますが、AIの波を複数のレイヤーで取り込める会社である点が魅力です。さらに自社AIチップのトレニアム(Trainium)も持っている。AIインフラや広告、物流効率化など、さまざまな領域で恩恵を受ける可能性がある魅力的な企業に見えますね。

 一方のメタは、開発しているオープンソースのAIモデル『ラマ(Llama)』が、最近中国勢のモデルに性能で負け始めてしまっているのが気になるんです。オープンソースの領域で絶対的なリーダーだったはずなのに、これは明らかに優秀なトップエンジニアを引きつけられていない証拠です。

 加えて、AI開発をめぐる人材マネジメントに不安を感じています。社員の業務データをAI学習に活用する取り組みが報じられ、社内外で反発を招いたこともありました。AI広告の収益力は依然として強いと思いますが、長期で見ると、優秀なエンジニアを引きつけ続けられるかどうかに不安があるため、アマゾンに、より魅力を感じ始めています。でも今はまだ考慮中で株は一切売っていません。

トウシル:もう一つの主力であるロビンフッドを高く評価する理由はなんでしょうか。

まりーさん:ロビンフッドは将来、従来の伝統的な銀行などを遥かに上回る「世界で最も巨大な金融テクノロジー企業」に変貌する可能性があるとみているからです。日本も米国も同様ですが、政府が赤字財政を埋めるために際限なくお金を刷り続ける政策は、いつまでたっても終わる気配がありません。

 そうなると世界的なインフレは今後もどんどん進みますから、一般の人々もただ銀行に現金を置いておくだけでは資産を守るのが難しくなり、投資を通じて資産を育てる必要性が高まっていくでしょう。

 これまで投資を遠ざけていた若い世代や一般大衆の意識は、これからガラリと変えざるを得なくなります。そのときに、投資への最も大きな入り口の役割を果たすのが、スマホアプリで、株式投資をゲームのような、使いやすい投資体験を提供しているロビンフッドだと考えています。

トウシル:投資の大衆化における玄関口になるとみているわけですね。

まりーさん:そういうことです。決算の財務3表の観点からも、驚くほど健全で非常にきれいな数値を維持していますので、長期で保有しやすい銘柄だと考えています。

米国株を選ぶ理由は「人口成長」×「ベンチャーキャピタルの土壌」

トウシル:新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)などの制度が始まり、日本の若い世代の間でも投資を始める人が急増していますが、「日本株が良いのか、それとも米国株にすべきなのか」という点で迷っている方もいます。まりーさんはなぜ日本株ではなく、米国株に集中されているのですか。

まりーさん:投資において一番大事なのは「その国全体の経済がどれだけ成長しているか」という絶対的なマクロの環境だと考えています。個別の会社が成長しようとしても、国全体の経済が収縮していたら勝率は著しく下がります。そう考えたときに、経済の成長率というのは究極的には『人口の成長率 + 生産効率の伸び率』というシンプルな方程式で決まるのです。

 人口が1%伸びていて、テクノロジーによって効率が1%良くなっていれば、それだけで経済は2%成長します。この前提に立ったとき、急速に人口減少が進んでいる日本という国は、最初から投資のマーケットとして圧倒的に不利な土俵に立たされていると思っています。

トウシル:人口の成長というエンジンの時点で、差がついているのですね。

まりーさん:はい。米国にもさまざまな問題はありますが、今も人口が成長し続けています。

 さらに、世界中から集まってくる優秀なエンジニアや起業家に対して、巨額の資金が投じられるベンチャーキャピタルの土壌が確立されている点が米国を非常に優位にしています。

 先日、スペースX (SpaceX:SPCX)が買収に入った『カーソル(Cursor)』というAIスタートアップの創業者は、4人全員がマサチューセッツ工科大学(MIT)のクラスメートで20代半ばです。その買収によって、彼らは若くしてそれぞれ数千億円のスペースXの株式を受け取ることになりました。

 20代の若者が2022年に創業した企業が、約4年で数千億円ものバリューをつくり出し、アメリカンドリームを実現させてしまう国なんて、世界どこを探しても他に存在しません。イーロン・マスクのように、彼一代で1トリリオンドル(約百数十兆円)もの途方もない企業価値をつくり出すことが可能となる国、それがアメリカです。そんな国に私は投資したいです。

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