安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

三菱の名ブランドがシリーズで復活します。三菱は2026年5月29日、新型クロスカントリーSUV「パジェロ」を2026年秋に世界初公開すると発表、さらに将来に向けたシリーズ展開を図ることも発表となりました。

ダカールラリーで数々の輝かしい戦績を残し、世界中のユーザーから支持されたパジェロ。1990年代には国内向けに軽自動車の「パジェロミニ」や小型SUVの「パジェロジュニア」、さらに「パジェロイオ」といった派生モデルも投入され、多彩なラインアップを築いてきました。

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新型パジェロのティザー画像。縦型LEDライトなど、新世代デザインの一端が公開された

なかでも高い人気を集めたのがパジェロミニです。街乗りの扱いやすさと悪路走破性をバランスよく両立した軽SUVとして支持されましたが、今回新たなパジェロシリーズの展開が示されたことで、復活への期待も高まります。はたして、「パジェロミニ」の名が再びラインアップに加わることはあるのでしょうか。三菱が描くシリーズ戦略と、現在の軽SUV市場から、その可能性を考えてみます。

 

■新型パジェロだけでは終わらない!三菱が描くシリーズ構想

2026年5月29日、三菱自動車は新型「パジェロ」を2026年秋に世界初公開すると発表しました。日本では2019年に販売を終了しているため、年内に発売されれば約7年ぶりの復活となります。

新型パジェロは、ピックアップトラック「トライトン」のラダーフレームをベースに専用開発のキャビンやサスペンションを組み合わせることで、高い悪路走破性と快適な乗り心地を両立するクロスカントリーSUVとして登場する予定です。公開された新型パジェロのティザー画像では、縦型LEDシグネチャーライトや左右を貫く発光ラインが確認できます。車体の詳細は明らかになっていませんが、力強いフロントフェイスを予感させるデザインです。

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三菱は新型パジェロだけでなく、「パジェロシリーズ」としてブランド展開していく方針を明らかにした

さらに同日に公表された「2030年代に向けた新中長期ビジョン」では、パジェロをシリーズで投入する方針も示されました。公開された資料にはフラッグシップとなる新型パジェロに加え、中型モデル、小型モデルと思われるシルエットも描かれており、発表後の質疑応答でも、パジェロを頂点に、小型モデルやさらにコンパクトなモデルまで展開する考えを明らかにしています。

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ダカールラリーでも数々の栄光を築いた三菱「パジェロ」。写真は4代目

 

■街乗りにも使いやすかった「パジェロミニ」という存在

シリーズ化が示されたことで、期待が高まっているのが「パジェロミニ」の登場です。かつてのパジェロシリーズには、軽自動車の「パジェロミニ」、小型SUVの「パジェロジュニア」とその後継となる「パジェロイオ」が存在しましたが、なかでも知名度が高く、長く愛されたモデルがパジェロミニでした。

 

1994年に登場した初代パジェロミニは、本家パジェロをそのまま小さくしたようなデザインが大きな特徴。本格オフローダーを目指したのではなく、街乗りでの扱いやすさを重視した設計で、ボディはモノコック構造を採用し、フロントはストラット式、リアは5リンク式サスペンションを採用。インタークーラーターボエンジンや走行中でも切り替え可能な「イージーセレクト4WD」を組み合わせることで、舗装路での快適性と十分な悪路走破性を両立していました。

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街乗りの快適性と悪路走破性をバランスよく両立したことが、パジェロミニ最大の魅力だった。写真は初代パジェロミニ(1994年~1998年)

最大のライバルだったスズキ「ジムニー」は、ラダーフレームとリジッドアクスルを採用した本格クロスカントリー4WDである一方で、パジェロミニは毎日の使いやすさを優先しながら、アウトドアにも対応できる軽SUVという立ち位置。街乗りとアウトドア性能のバランスのよさが支持され、1994年から2012年まで、2世代にわたって販売されました。

現在でも中古車市場では状態のよい車両が100万円前後で取引されるなど、根強い人気を維持しています。

 

■いまだからこそ、パジェロミニが担える役割がある

近年は、アウトドアテイストを取り入れた軽自動車の人気が高まっています。スズキ「ハスラー」は、その代表的な存在。本格クロスカントリー4WDではありませんが、SUVらしいデザインや使い勝手のよさが支持され、軽自動車でも「SUVらしさ」を求めるユーザーが確実に存在することを示しました。

三菱も「デリカミニ」をヒットさせています。4WD車には専用サスペンションやグリップコントロールなどを採用し、雪道や悪路での安心感を高めていますが、ベースは日産「ルークス」と同じであり、基本的には日常使いを重視した軽スーパーハイトワゴンです。

ただ、「もうちょっとだけ本格派がいい」というユーザーは少なくないでしょう。デザインだけでなく、SUVとしての成り立ちにもこだわりたいユーザーは一定数いると思われますが、とはいえジムニーは小型ながらラダーフレームを採用した本格オフローダーの極みです。筆者も「ジムニーノマド」を所有していますが、運転する楽しさや唯一無二のデザインに魅力を感じる一方で、悪路重視の足回りによる高速走行時の横揺れや低速重視のパワートレインによる追い越し加速での力強さには物足りなさを感じる場面もあります。

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パジェロシリーズの小型モデルがどのような姿で登場するのか。2026年秋の新型パジェロ世界初公開にも注目が集まる

その点、かつてのパジェロミニは、本家パジェロを思わせるデザインや4WDシステムを採り入れながら、モノコックボディを採用したことで、日常での扱いやすさもしっかり確保されていました。ハスラーやデリカミニより一歩SUV寄り、それでいてジムニーほど尖らない絶妙な立ち位置だったのです。

また、新車価格が上昇を続けるなか、フラッグシップSUVである新型パジェロよりもより手の届きやすい価格帯でパジェロブランドに触れることができるパジェロミニがあれば、ブランド全体の裾野を広げる役割も期待できます。シリーズ展開を掲げる三菱にとって、ブランドを支える重要な一台になり得るでしょう。

2026年秋に予定される新型パジェロの世界初公開では、その先に続くシリーズ構想についても新たな情報が示されるかもしれません。パジェロミニの名前が再びラインアップに加わる日が来るのか、今後の展開に期待したいところです。

Text:吉川賢一

Photo: 三菱自動車

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