2026
7/15
欧州連合(EU)の電池規則では、電子機器に搭載されたバッテリーをユーザーが容易に取り外し、交換できるようにすることが原則として求められます。しかし、Apple Watchを含むスマートウォッチは、この規則の適用対象から除外される見通しであることが明らかになりました。
目次
スマートウォッチなどが対象外に
EUの電池規則では、EU域内で販売される製品に搭載された携帯型バッテリーについて、原則としてユーザーが取り外し、交換できる構造にすることが求められます。
一方、欧州委員会は、ユーザーによるバッテリー交換を可能にすることで、安全性や耐久性、防水性能などが損なわれる可能性がある製品について、新たな適用除外を設ける委任規則を採択しました。
対象となる製品カテゴリには、スマートウォッチやフィットネストラッカーなどのウェアラブルデバイスが含まれています。このため、Apple Watchもユーザーによるバッテリー交換を求める規則の対象外となる見通しです。
ただし、欧州委員会が採択した委任規則は、今後、欧州議会と欧州連合理事会による精査を受けます。いずれからも異議が出なかった場合、EU官報への掲載から20日後に発効します。
耐久性と修理しやすさのバランスを以前から指摘
2026年9月1日付でAppleの次期最高経営責任者(CEO)に就任する予定の、現ハードウェアエンジニアリング担当上級副社長のジョン・ターナス氏は、約2年前に人気YouTuberのマーケス・ブラウンリー氏からインタビューを受けた際、修理しやすさとデバイスの耐久性のバランスについて語っています。
ターナス氏は、修理しやすさだけを重視すると、デバイスの耐久性が損なわれる場合があると指摘しました。製品の耐久性を高めて長期間使用できるようにすることも、環境負荷の軽減につながるとの考えを示しています。
例えば、ユーザーが工具を使わずにiPhoneのバッテリーを取り外せる構造を採用した場合、設計によっては防水性能や耐久性との両立が難しくなることも考えられます。
Appleは近年のiPhoneで、耐久性や防水性能を維持しながら、接着剤の改良などによってバッテリーを以前より取り外しやすくしています。修理しやすさと耐久性の両立を目指す姿勢がうかがえます。
Apple Watchはサーフィン競技でも活用
Appleは先日、Apple Watchがサーフィン競技でどのように活用されているかを紹介する動画を公開しました。
World Surf League(WSL)の大会では、専用アプリをインストールしたApple Watchが競技前に選手へ貸し出されます。選手は手首を見るだけで、スコアや波の優先権、ヒートの残り時間などを確認できます。
海中で激しい動きにさらされる競技でも使用できるのは、Apple Watchの防水性能や耐久性があってこそと言えるでしょう。
Apple Watchなどのウェアラブルデバイスがバッテリー交換規則の対象から外れれば、メーカーは防水性能や耐久性を優先した設計を継続しやすくなります。一方で、バッテリーの劣化によって製品全体が買い替えられれば、電子廃棄物の増加につながるとの懸念も残ります。
EUの環境規制は、域内向け製品だけでなく、世界共通の製品設計にも影響を及ぼす場合があります。日本のApple Watchユーザーにとっても、今後の動向を注視する必要がありそうです。
セルフサービス修理にApple Watchは含まれず
日本では提供されていませんが、Appleは「セルフサービス修理プログラム」を展開しており、フランス、ドイツ、イギリスなどを含む32カ国で、純正部品の購入や専用ツールのレンタルが可能です。
しかし、Apple Watchは同プログラムの対象に含まれていません。そのため、ユーザーが自分でバッテリーを交換する場合は、iFixitなどが公開しているサードパーティーの修理手順を参考にして作業することになります。
日本におけるApple公式のApple Watchバッテリーサービス料金は、モデルを問わず一律15,800円です。バッテリー交換後の防水性能や安全性を考慮すれば、自分で作業するよりも、Apple公式のバッテリーサービスを利用したほうが安心かもしれません。
Photo: iFixit
