GenXは、同社のAIソリューション「ナンデモンAI」を活用し、福井県あわら市で老舗旅館「あわら温泉 美松」を運営する「芦原国際ホテル美松」(以下、美松)で、外国人スタッフの業務習得期間を従来の3〜4週間から約2週間へと短縮したと発表した。

 この取り組みは、福井県のオープンイノベーション型支援事業「CO-FUKUI 未来技術活用プロジェクト」の一環として実施。現場で日々発生する業務データを、文脈を踏まえて多言語に翻訳する仕組みを構築し、多国籍チームの早期戦力化とサービス品質の向上を実現した。

人手不足の中で進む外国人材の活用と旅館文化を伝える難しさ

 コロナ禍以降に深刻化した人手不足を背景に、宿泊業界では特定技能・技人国(技術・人文知識・国際業務)の在留資格を持つ外国人スタッフの採用が進んでいる。福井県にある老舗旅館・美松でも、ネパール・台湾・中国・スリランカ・インドネシアなど多国籍のスタッフが活躍している。

 一方、日本古来の文化である旅館には、ホテルとは異なる独自の作法やニュアンスがあり、それを母国語の異なる外国人スタッフへ正確に伝えることが大きな課題であった。現場で一通りの業務を習得するまでに3〜4週間を要し、「わかりました」という返答の裏で内容を十分に理解していないケースも少なくなかった。

「マニュアルの多言語化」から「日々の業務データの翻訳」へ

 当初、美松からGenXへの相談は「マニュアルを多言語化したい」というものだった。しかしGenXは、ヒアリングを重ねることで、最も改善余地が大きいのはマニュアルそのものではなく「外国人スタッフが毎日扱う業務データ」だと感じ、マニュアルの単純翻訳ではなく、現場業務に直結する形での業務改善を提案した。

外国人スタッフが必要なタイミングで業務データを母国語化

 ナンデモンAIの導入により、過去の宿泊履歴や顧客の要望を自然言語で検索し、必要な情報を多言語化できるようになった。24時間稼働する旅館業の特性に合わせ、現場で使っている帳票やPMS(ホテル管理システム)のデータを必要なタイミングで出力し、その都度更新・翻訳していく運用を実現している。

業務習得期間の短縮と現場からの前向きな声

 導入当初は「本当に母国語で正しく翻訳されているのか」という懐疑的な見方もあったが、運用が進むにつれ外国人スタッフの業務理解度は向上。これまで3〜4週間かかっていた業務習得が、現在では約2週間に短縮された。

 また、日本人スタッフから「もっとこういう使い方ができないか」「ここを改善できないか」といった前向きな声が頻繁に上がるようになり、抽出したデータを日本人スタッフの日常業務にも活用する方向に進んでいる。

当初は『マニュアルを多言語化しなければ』と思い込んでいましたが、GenXさんから『日々の業務の中身を少し変えるだけで、マニュアルよりも効果的なものができる』とご提案いただき、目から鱗でした。現場の帳票やPMSのデータを、外国人スタッフが理解しやすい形で出力できるようになり、現代のAI技術の進歩をまざまざと見せつけられた思いです。実際に業務習得のスピードは明らかに上がり、日本人スタッフからも活用への前向きな声が増えています。観光・ホスピタリティ産業は外国人材の活用や通訳ニーズがますます高まっており、同じ課題を抱える企業にも役立つサービスだと感じました。

導入企業コメント:株式会社芦原国際ホテル美松 専務取締役 前田健吾氏

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