佐川美術館(滋賀県守山市)で、「千住博 水の調べ、水の響き」が7月1日から開催されます。
日本のアートシーンを牽引し、世界的にも高い評価を得ている日本画家・千住博。1995年のヴェネツィア・ビエンナーレにおいて東洋人初の名誉賞受賞をはじめ、数多くの美術賞を受賞し、ワールドワイドな活躍を続けています。
同館では、リニューアルオープン記念の展覧会として「千住博 水の調べ、水の響き」を開催。本展では、千住博の代名詞ともいえる 《ウォーターフォール》作品を中心に、同作の前段ともいえる《フラットウォーター》をはじめ、コロナ禍において世界中の色彩が失われたと語る千住が創出した《ウォーターフォール・オン・カラーズ》などの最新作が披露されます。また、貴重な古裂を使用して表装された掛軸作品も併せて展示され、千住博が挑戦し続ける伝統と革新の世界が紹介されます。
千住博 水の調べ、水の響き
会場:佐川美術館 (滋賀県守山市水保町北川2891)
会期:2026年7月1日(水)~9月6日(日)
開館時間:9:30~17:00(最終入館16:30)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、7/21
観覧料:一般1,600円、高校・大学生800円、中学生以下無料
※WEB予約推奨(予約時にネット決済による入館チケットを購入)
※WEB予約で上記料金より各100円引き
※小学生以下は要保護者同伴
※専門学校・専修学校は大学に準じる
※障がい者手帳をお持ちの方(要手帳提示)、付添(1名のみ)無料
アクセス:
JR琵琶湖線 守山駅から路線バス「佐川美術館」下車(約35分)
JR湖西線 堅田駅から路線バス「佐川美術館」下車(約15分)
名神高速道路 瀬田西ICから湖周道路経由(約30分)
名神高速道路 栗東ICから守山栗東線経由(約30分)
名神高速道路 京都東ICから湖西道路(真野IC)・琵琶湖大橋経由(約40分)
詳細は、佐川美術館公式サイトまで。
展示構成
フラットウォーター
《フラットウォーター #9》 1993年 軽井沢千住博美術館蔵
千住の代表作である 《ウォーターフォール》シリーズの先駆けといえる《フラットウォーター》シリーズ。描かれているのは、世界遺産で現在も噴火活動が続くハワイ島のキラウエア火山から流れ出た溶岩が固まった情景です。画家に「この景色を描くために画家になった」と思わせた、エネルギーと生命力あふれる作品群が展観されます。
ウォーターフォール・オン・カラーズ
千住の滝との出会いは偶然でした。千住はハワイ島で見た滝のリアリティを表現することに悩んだ末、画面に絵具を流してみると理想的な滝が浮かび上がったと語ります。それを機に千住の描く滝は多方面から評価を受け、画家を象徴するモチーフとなりました。2020年からのコロナウイルスのパンデミックにより、世界から色彩が失われていると危機感を覚えた千住、滝の背景に彩色を始めます。本章で紹介するカラフルな作品群には、画家の世界の静穏と復興の思いが込められています。
BLACK LIGHT ROOM
「身の回りのものに対してこれはすごいと再発見をして、様々な挑戦をするのが芸術家だ」と語る千住は、現代的な素材である蛍光塗料にも興味を示し、自身の作品に使用します。千住は蛍光塗料とブラックライトに、怪しげで神秘的な夜の雰囲気と人間の繊細な心情表現を託しました。本展では蛍光塗料で描かれた《龍神I・II》を、ブラックライトを使用した空間で鑑賞できます。
伝統と革新
千住は日本画という伝統的芸術分野の中で、絶えず自らと日本画の枠組みを広げるべく挑戦を続けてきました。筆を介さずに、絵具を流すという自然(=重力)に表現を委ねる技法はまさに「新たな日本画」と言えます。近年は、古裂を使用した軸装の作品を発表しており、伝統的な軸装と前衛的な日本画である 《ウォーターフォール》の融合は、時代を超えた美の共演です。最終章では伝統と革新が溶け合う、千住芸術の最新到達点が堪能できます。
《ウォーターフォール (夏)》 2023年 佐川美術館蔵
本展の見どころ
滝の表現に託したもの
滝つぼの内側から外をのぞくような視点で描かれた《ウォーターフォール・オン・カラーズ》は、流れ落ちる滝の合間にカラフルな外の世界が広がり、水幕の向こう側を意識する視点が生まれて作品に立体感が出ています。多彩な外の世界を流れる滝は全て同じ滝つぼに落ちていき、滝つぼの色は世界を彩る全ての絵具を混ぜ合わせたものです。この表現は人々の多様性と創造性、そしてそれらの調和と共生を暗喩しています。
新たに拡張した展示室を使用
約9か月に及ぶ改修工事を経て、この度北館展示室が装いを新たにしました。本展を開催する北館は開館当初は、彫刻作品を展示することを想定して設計されましたが、収蔵品の拡充や多様化する作品の展示に対応するべく、旧収蔵庫部分を既存の展示室と接続。天井高を1メートル引き上げたことで開放感のある新展示室へと生まれ変わりました。
本展では広大な展示空間を活かし、《フラットウォーター・オン・カラーズ》をはじめとする、縦2メートル、横3メートルを超える大型の作品群が展示されます。滝の迫力と没入感に身を委ねたり、ベンチに座って静かに鑑賞したり、様々な過ごし方が楽しめます。新たな展示空間でさまざまな鑑賞方法を発見してみてはいかがでしょうか。
《ウォーターフォール・オン・カラーズ》 2022年 佐川美術館
リニューアルオープンを経て、さらに美しく開放的な空間へと生まれ変わった佐川美術館の北館展示室。その広大な展示空間を舞台に、現代日本画の最前線を走り続ける千住博の圧倒的な芸術世界が展開されます。ハワイの溶岩から生命のエネルギーを放つ初期の傑作から、暗闇の中で神秘的に輝く蛍光塗料の作品、そして困難な時代を乗り越えて世界の静穏と調和を願う最新のカラフルな大作までが一堂に会します。周囲の自然や美しい水庭と響き合う、千住芸術ならではの静謐でダイナミックな「水の調べ、水の響き」を心ゆくまで満喫してみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)
