米スタンフォード大学に「HAI(Human-Centered AI)」という研究機関がある。その名の通り“人間中心”のAIを考える組織で、人間社会をより豊かに向上させるためのAIの開発や社会実装、政策提言の推進を目的に設立された。
HAIは毎年、「Artificial Intelligence Index Report」を発表している。AIの現状について、最新の論文、AIサービスの利用状況や価格などの定量的なファクト、各国の法規制や最新の活用事例などを分析する包括的なリポートだ。通称「AI Index」と呼ばれ、今年も4月に「Artificial Intelligence Index Report 2025」を公開した。
2025年版では、12のトップテイクアウト(重要な気づき)を取り上げている。たとえば、AIが組み込まれた医療機器をFDA(米食品医薬品局)が23年に223件(15年はわずかに6件)承認するなど、日常生活へのAIの組み込みの増加や、モデルの性能の向上などが取り上げられた。一方で、最近の米国と中国のAI開発に関わる競争や摩擦に関連するトピックにも言及していた。
◇モデルの量は米国が中国を圧倒
HAIでは、国ごとのAIの競争力の指標の一つに「Notable AI Models(注目のAIモデル)」の数を用いる。Notable AI Modelsとは、英政府機関と共同リポートの作成で実績のある調査機関「EPOCH AI」による定義で、①主要なベンチマークにおける最高性能を更新したAIモデル、②論文での引用数が1000件以上のAIモデル、③AIの歴史上、特に重要なAIモデル--などである。オープンAIやアンソロピックが開発する商用モデル、メタなどの開発するオープンモデル、テンセントやDeepSeekの中国製のモデルまで、4月時点で900以上のモデルがNotable AI Modelsに登録されている。
