
2月27日、 米国株とドルは今年、トランプ大統領の政策により他の国々を上回るパフォーマンスを示すと年初には見込まれていた。写真はニューヨーク証券取引所で2020年2月撮影(2025年 ロイター/Lucas Jackson)
[ニューヨーク 27日 ロイター] – 米国株とドルは今年、トランプ大統領の政策により他の国々を上回るパフォーマンスを示すと年初には見込まれていた。しかし、その期待は徐々に疑問視されている。
トランプ政権による政府の改革や貿易政策などは、むしろ不確実性をもたらしている。その結果、消費者や企業の経済への懸念は高まっており、「米国例外主義」という物語が揺らいでいる状態だ。
ナティクシス・インベストメント・マネジャーズのポートフォリオストラテジスト、ギャレット・メルソン氏は、政策の不確実性により、「投資家や企業幹部、消費者が、やや抑制的になり始めている」と話した。「トランプ政権の政策や喧噪とは別に、米経済がすでに冷え込む軌道にあることが背景にある」と分析した。
数年にわたって株式市場上昇を主導してきたハイテク大手や新興企業は、バリュエーションへの懸念や中国の新興人工知能(AI)企業ディープシークの低価格AIモデルの登場などにより失速している。ハイテク大手7社「マグニフィセントセブン」の株価に連動するある上場投資信託(ETF)は 12月中旬の高値から10%以上下落した。
米国以外の40カ国以上の株式で構成されるMSCI指数が年初から約7%上昇しているのに対し、S&P総合500種株価指数(.SPX), opens new tabは1%強の上昇にとどまる。ドル指数は1月のピークから約3%下落している。
この状況は予想外に底堅い欧州の経済指標など、米国外での動向に起因する側面がある。しかし、トランプ政権による貿易政策や連邦政府職員の削減に関する発表が相次ぐ中、最近の弱い経済指標を受けて米成長に対する懸念が強まっていることも要因だ。また、根強いインフレにより、米金融政策の見通しに対する不透明感も高まっている。
米資産に比べて海外の資産は大幅に割安になっており、今後格差が縮小に向かう可能性がある。LSEGデータストリームによると、株価収益率(PER)で見ると、MSCIに対するS&P500種のプレミアムが2024年末終盤時点で過去20年超で最大となった。
過去1週間に発表された指標は米経済における懸念すべき兆候を示している。2月コンファレンス・ボード(CB)消費者信頼感指数は前月から7ポイント低下し、3年半ぶりの大幅な落ち込みとなった。2月の米ミシガン大学消費者信頼感指数の確報値は15カ月ぶりの低水準を記録した。さらに、2月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は2023年9月以来の低水準となった。 もっと見る
マーフィー&シルベスト・ウェルス・マネジメントのシニアアドバイザー兼市場ストラテジスト、ポール・ノルテ氏は、米経済は好調を維持すると予想されているとし、この前提が崩れれば割高な米資産価格は他国の水準に近づく可能性があるとの見方を示した。
Survey data shows rising uncertainties
野村のクロスアセット戦略担当マネジングディレクター、チャーリー・マクエリゴット氏はメモで、最近の弱い米指標を受けて、「成長懸念」が現実味を帯びてきているとの認識が広がっていると指摘した。
投資家はトランプ政権の政策が持つ意味を理解し、昨年の米大統領選後と比べてはるかに深刻な成長の足かせになると考え始めているようだと分析した。
BBHのストラテジストはメモで、「米経済指標がもう1、2カ月低調なら、米国例外主義のシナリオに打撃を与え」、ドルの下振れリスクとなるとの見解を示した。
一方、欧州株は年初からおおむね堅調でSTOXX600指数(.STOXX), opens new tabは10%上昇している。
エンジェルス・インベストメンツのマイケル・ローゼン最高投資責任者(CIO)は、最近の欧州企業の利益は市場の予想を大きく上回っており、米企業よりも好調だと指摘。また「非常に力強かった米経済がやや衰え始めていることを示す証拠が増えている」と述べた。
米経済は減速の兆しを見せているものの、多くの投資家はリセッション(景気後退)リスクは当面は引き続き低いとみている。トランプ氏の政策の効果が今後表れるとの見方もある。また、米経済が低迷すれば、ある時点で他の地域も波及する恐れがある。
マグニフィセントセブンには景気低迷を乗り切るビジネスモデルがあり、世界的な景気減速の中で米国市場を支える可能性があると多くの投資家は考えている。
オサイックのチーフ市場ストラテジスト、フィル・ブランカート氏は、「マグニフィセントセブンの株価は安くはないが、そのリーダーシップに疑問の余地はない」と語った。
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