陸上自衛隊飯塚駐屯地の「はなの舞」では、幹部から若手までの自衛官が交流を深める(4月、福岡県飯塚市で) 自衛隊の駐屯地や基地の中で、隊員同士が酒を酌み交わせる施設「隊員クラブ」が減少の一途をたどっている。若者の酒離れが主な要因となってこの30年で約4割が姿を消し、コロナ禍も苦境に拍車をかける。仕事を円滑に進めるための「飲みニケーション」は社会でも衰退しつつあるが、有事には互いに命を預け合う自衛官が抱く危機感は、より深刻だ。(池園昌隆)
迷彩服で恋愛話も 陸上自衛隊飯塚駐屯地(福岡県飯塚市)内の「はなの舞 飯塚駐屯地店」は、平日の午後6時を過ぎると迷彩服姿の隊員でにぎわう。鶏のから揚げといった定番の居酒屋メニューをつまみに、ビール片手の隊員たちが話に花を咲かせた。 同駐屯地には約1000人が所属し、独身の隊員は宿舎で暮らすが、訓令で部屋でさえ飲めない。外出には届け出が必要で、繁華街まではタクシーで20分ほど。後輩と訪れた第3高射特科群の3曹(24)は「職場でできない恋愛話などもできる。自室以外で唯一落ち着ける場所」と若者らしい一面をのぞかせる。 防衛省によると、厳しく管理される隊員に士気を高めてもらおうと、1963年度に北海道の駐屯地にクラブがつくられて以来、全国に広がった。「かつては地場の居酒屋などが営業し、安く飲めた」と振り返るのは、陸自OBで、元隊員らでつくる福岡県隊友会の坂口和也事務局長(65)だ。後払いの「掛け」ができるクラブもあり、多くの隊員に愛されてきたという。
飲み会避ける若者 ただ、陸海空自衛隊を合わせたクラブ数は91年の計125がピークで、経営困難などを理由に運営業者の撤退と閉鎖が続いた。同省共済組合が2012年度以降、大手居酒屋チェーン「はなの舞」を展開する企業に経営を委託するが、今年度に営業するのは79にとどまる。組合側は経営状況を明らかにしていないが、国からの助成はなく、隊員以外の新規客も見込めないため、坂口事務局長は「趣味や娯楽が多様化し、ストレス解消の手段も飲酒に限らなくなった。利用者減が一因だろう」と推測。陸自幹部も「上司と飲むより、『自分の時間を大切にしたい』と考える隊員が増えたところにコロナ禍が来た」とし、「10年ほど前と比べ、クラブでの宴会は半減した」と明かす。 1 2
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