「私はフロリダ出身ですが、アメリカでもリベラルな教育に対する攻撃が目立っています。ロシアで起こっているプロパガンダは、世界が懸念する問題になりつつあるのです。人間社会において、急進的勢力が愛国心を打ち出すことで大きな成果を生み出す傾向がありました。たとえば進歩主義(革新主義)と呼ばれた1920〜30年代のアメリカでは、国旗を掲げて愛国心を主張したのは右派ではなく左派でした。つまり本来の愛国心は、中立的な力になりうると私は考えます。もちろん20世紀の歴史を振り返れば、愛国心は軍国主義や右翼思想、さらに大量虐殺の戦争に結びついた側面もあり、私たちが警戒するのも無理はありません。しかし、愛国心の本質は、社会の公益を推進し、人々を大切にする原動力になるはずで、それこそが本作でパーシャが訴えていることなのです」

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そしてプロパガンダという点では、芸術がその役割を担うことも可能である。突き詰めれば、一本の映画が観た人の考え方を変えてしまうメリット、あるいはリスクも備えている。だから『プーチンの愛国教室』のような作品は、ロシアでは上映が禁止されている。ボレンスタイン監督は、そんな「映画の役割」をどのように捉えているのだろうか。
「映画の役割に関して、私は2人の思想家に影響を受けています。まずベルトルト・ブレヒト。彼の伝記を読み、物語がいかに新たな視点を切り拓き、社会変革の原動力となりうるかを知りました。もう1人は、ドキュメンタリーという言葉を生み出したとされるジョン・グリアソン。彼はドキュメンタリーを“民主主義のプロパガンダ”だと定義しました。実際、私の作品を観た人たちが、劇場を出てくるなり活発な議論を交わし合う姿や、観る前と違う視点で世界を捉え、何か行動を起こそうというエネルギーに満ちあふれている姿を目にすると、映画が何かを変えることは決して不可能ではないと実感します。インターネットで1億人に届く情報や、TikTokで数千万回再生される動画もあるでしょう。でも、もしかしたら、たとえ数百人であっても、映画が観た人に与えうる影響という意味では、より強いものがあるかもしれない。映画は、ソーシャル動画とはまた何か違った意味を持つはずで、そこに私は大きな可能性を信じているのです」
