県高校総体 卓球男子 坊主頭に宿る王者の覚悟 明豊が24連覇達成 【大分県】

大分県高校総体 卓球
5月31日 べっぷアリーナ
男子団体決勝リーグ
明豊3―0別府溝部学園
明豊3―0杵築
明豊3―0中津南

 静かな圧力だった。0.5ミリに刈り上げた頭が並ぶたび、明豊の覚悟がコートににじんだ。県高校総体の卓球男子団体。明豊は決勝リーグで別府溝部学園、杵築、中津南をいずれも3―0で下し、24連覇を達成した。全5試合をストレート勝ち。危なげない戦いぶりで、全国への切符をつかみ取った。

 だが、その強さは単なる「伝統校の力」ではない。大会2日前、部員全員が体育館の端にある小部屋に集まり、互いにバリカンを入れ合った。頭を丸め、一体感と覚悟を共有したのである。「追われる立場になって、プレッシャーを感じる場面も増えた」。そう語ったのはエースの小野大翔(2年)だ。昨年も主力として優勝を経験。今年は完全に「軸」としてチームを背負う存在になった。

エースとして自覚が芽生えた小野

 団体戦は1複4単。先に3勝したチームが勝利となる。明豊はベンチ入りした8人全員を起用しながら、全試合を3―0で勝ち切った。絶対的なエースに依存するのではなく、誰が出ても勝てる層の厚さが際立った。「ベンチ入りした8人全員を使って勝てたのは大きかった。誰が出ても安定して戦ってくれた」。今年4月に母校へ赴任し、監督として初めて県高校総体を指揮した田原翔太監督は、冷静に振り返った。

 田原監督自身も、かつて明豊の絶対的エースだった。高校3年時には団体、シングルス、ダブルスの3冠を達成。筑波大を経て、今春から保健体育教員として母校へ戻ってきた。その指揮官が目指すのは、単なる県内無双ではない。「まだ九州や全国で安定して上位を狙えるチームではない。勢いだけでは勝てない世界なので、もっと実力をつけたい」

全国で上位を狙う明豊

 実際、田原監督は決勝リーグで九州大会、全国高校総体を見据えたオーダーを試した。「誰をどこで使っても勝てる」という感覚があったからこそできる采配だった。その中心にいるのが小野である。今大会、自身の出場は決勝リーグのみ。それでも存在感は際立った。安定したラリー戦、冷静な試合運び、そして一本への執念。派手なパワー型ではない。「自分はそこまで威力があるタイプじゃない。その分、頭を使って、相手より一本多く返すのが強み」。卓球IQの高さこそ、小野最大の武器だ。

 田原監督が期待するのは試合に出る選手だけではない。「3年生にはチームをまとめてほしい。運営や雰囲気づくりで、いい方向へ導いてほしい」。24連覇。その数字だけ見れば圧倒的である。だが明豊は、そこに安住していない。坊主頭に込めた覚悟。追われる重圧。全国を見据えた危機感。県王者は今、ただ勝つだけの集団から「全国で勝ち続けるチーム」へ進化しようとしている。 (柚野真也)

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