
大分県高校総体 サッカー
6月1日 大分スポーツ公園サッカー・ラグビー場(Bコート)
男子決勝
大分1―0中津東
県高校総体サッカー男子決勝。大分は中津東を1―0で下し、頂点に立った。試合終了の笛が鳴ると、選手たちは喜びを爆発させた。
この世代は、中学時代に全国3位を経験した実力世代である。「黄金世代」と呼ばれ、早くから期待を背負ってきた。しかし、高校年代では、あと一歩のところで届かない日々が続いた。県タイトルを逃し続けた悔しさを知るからこそ、この勝利には特別な意味があった。
5年ぶりの優勝となった大分
岡松克治監督にとっても感慨深い優勝だった。大分中時代から6年間、彼らの成長を見守り続けてきた。「才能だけでは勝てない」。その現実を、共に味わってきた教え子たちとの県制覇である。
決勝の相手は、堅守と組織力を武器にする中津東。試合は大分がボールを保持し、中津東が自陣を固めて耐える展開で始まった。大分は攻略の糸口を探るも、相手の組織的な守備は堅く決定機をつくり出せない時間が続いた。それでも選手たちは焦ることなく、相手の綻びが生まれる瞬間を辛抱強く待ち続けた。
均衡が破れたのは前半21分だった。右サイドからのクロスボールに複数の選手が飛び込む中、守備陣の背後へこぼれたボールを後藤暖翔(3年)が押し込んだ。誰よりも早くこぼれ球へ反応した後藤の一歩には、6年間積み重ねてきたチームの哲学が凝縮されていた。
決勝ゴールを決めた後藤
岡松監督が伝え続けてきた言葉がある。「サッカーでは、あと10センチが勝敗を分ける。日常の細部までこだわり続けることが、勝利へとつながる」。グラウンドでも校内でも、ゴミを見つければ拾う。靴をそろえる。荷物を整える。誰かが見ているからではない。細部をおろそかにしない習慣を、自分たちの基準にしてきた。
その小さな積み重ねが、勝負どころの一歩につながった。試合後、後藤は笑顔でこう振り返った。「今朝もゴミをちゃんと拾ったので、点が取れた」
1点を追う中津東は後半、前線にターゲットを置き反撃を開始する。しかし、大分はキャプテン矢野晃也(3年)を中心に集中した守備を見せた。身体を張り、声を掛け合い、最後までゴールを割らせない。「決勝でずっと負けていて悔しい思いをしてきた。中学時代から頑張ってきたことを出せて、うれしかった」。そう語る矢野の目は赤く潤んでいた。
ようやくたどり着いた県の頂点。しかし、大分にとってここは終着点ではない。同校のインターハイ最高成績はベスト8。次なる目標はその壁を越えることだ。「県で勝つことで満足するようなチームをつくっているつもりはない」。6年間積み重ねてきた努力が結実した。その歓喜を力に変え、大分は全国の舞台へ歩みを進める。 (富田充)
