オープンAI(OpenAI)は一般消費者向け、アンソロピック(Anthropic)は法人顧客向けとして広く認識されている一方、ミストラルは大規模な企業向けカスタムAIモデルに注力しているように見えると彼は語った。
「ミストラルにとって大きな節目になるだろう」とシャノン氏はBusiness Insiderに語り、このサミットを「彼らにとって非常に優れたPRの機会」と表現した。
こうした勢いは、ミストラルがその1日を通じて発信したメッセージの中心を成すものだった。
オープニング基調講演では、CEOのアーサー・マンシュ(Arthur Mensch)氏と共同創業者のティモテ・ラクロワ(Timothée Lacroix)氏、ギヨーム・ランプル(Guillaume Lample)氏が、ヨーロッパ独自のAI基盤(AIスタック)を構築するビジョンを示した。
マンシュ氏は、AIは実際のビジネス課題に適用されて初めて価値を生むと述べ、ラクロワ氏はパリ近郊に新設されたデータセンターの容量など、拡大する同社のインフラ基盤について詳しく説明した。一方、ランプル氏は、顧客が自社の独自データを使ってカスタマイズできるオープンソースモデルに対する、ミストラルの取り組みを強調した。
このメッセージは、マンシュ氏が5月初めにフランスの議員たちに対して発した警告を反映している。ヨーロッパには、彼が言うところのアメリカのAI「属国」と呼ぶ状態を避けるために、十分なAIインフラを構築する時間が、わずか2年しか残されていないという内容だった。
しかし、ミストラルは約136億ドル(約2兆1624億円)と評価され、ドイツのアレフ・アルファ(Aleph Alpha)、フランスのHカンパニー(H Company)、スウェーデンのラバブル(Lovable)といったライバル企業を抑え、ヨーロッパで最も有力なAIスタートアップとして台頭しているにも関わらず、アメリカのライバル企業と比べると規模ははるかに小さい。
オープンAI、アンソロピック、グーグル(Google)のGemini(ジェミ二)などは数百億ドルもの資金を調達し、広大なAIインフラネットワークの構築を競っている。今週だけでも、アンソロピックは約650億ドル(約10兆3350億円)を調達した。これはミストラルの総資産額の約5倍に相当し、企業価値は1兆ドル(約159兆円)近くに達した。
ティモテ・ラクロワ氏、アーサー・マンシュ氏、ギヨーム・ランプル氏は、オープニング基調講演でミストラルAIのビジョンを説明した。Thibault Spirlet/Business InsiderヨーロッパはAIの未来を自らの手で制御したい
複数の幹部によると、データの保管場所に関する懸念の高まりが、ヨーロッパ製の代替手段への需要を押し上げているという。
アクセンチュアのヨーロッパ・中東・アフリカ地域におけるテクノロジー責任者であるヤン・ファン・デン・ブレーメン(Jan van den Bremen)氏は、政府も企業も同様にデータ主権に対してより意識的になっていると述べた。
「私たちはデータ主導型経済になった」と彼はBusiness Insiderに語った。「自分のデータがどこにあり、そのデータがどのように扱われるのかを把握する必要がある」
同様の意見は、2年間ミストラルと提携している海運大手CMA CGMの会長兼CEOであるロドルフ・サーデ(Rodolphe Saadé)氏によってステージ上で表明された。サーデ氏は、地政学的な不確実性とデータ保護の必要性から、フランスのAIパートナーを持つことの魅力が高まっていると述べた。
「フランス製のソリューションを持つことは、間違いなく有益だ」と同氏は語った。
海運大手CMA CGMの会長兼CEOであるロドルフ・サーデ氏は、ミストラルのフランスにおけるルーツとデータ主権へのこだわりが、自然なパートナーシップにつながったと述べた。Thibault Spirlet/Business Insider
BNPパリバのコーポレート・インベストメントバンキング部門(CIB)のチーフAIオフィサーであるチャールズ・ホリーヴ(Charles Holive)氏は、ミストラルのオープンソースモデルにより、同社のような企業はコストを抑えながら、自社のインフラ上でAIシステムを運用できると述べた。
7SG(セブン・エスジー)のパートナーシップ及び事業開発責任者であるアンドリュー・パーカー(Andrew Parker)氏は、ヨーロッパ全域の政府や企業が、アメリカのクラウドおよびAIプロバイダーへの依存度を減らそうとする動きが明らかに強まっていると述べた。
「彼らは皆、独自の基本的な技術基盤やクラウドを構築しようとしている」とパーカー氏は述べ、アメリカのクラウド法のリスクを挙げた。同法は2018年に制定され、特定の状況下においてアメリカ当局がアメリカ拠点のクラウドプロバイダーに対し、海外に保存されているデータの提出を強制できるものだ。
「後発プレイヤー」
ヨーロッパはAIインフラと投資においてアメリカに後れを取っているものの、パーカー氏は、後からレースに参入することでヨーロッパが恩恵を受ける可能性があると述べた。
「後発プレイヤーであることには、むしろ有利な面がある」と同氏は語った。「歴史を振り返り、『ここで皆が失敗した』と言えるからだ」
パーカー氏はまた、ヨーロッパのAIへのアプローチは、アメリカと比べて政府と民間企業の間でより連携が取れているように見えると述べた。その根拠として、ミストラルのサミットで登壇した閣僚や政府高官の多さを挙げた。
「アメリカでは超資本主義的で、ビジネスが最優先される」と同氏は語った。「一方ここでは、政府と民間企業が足並みをそろえてAIを推進している」
ミストラルAIサミットのネットワーキングルーム。Thibault Spirlet/Business Insider
しかし、完全に満足して会場を後にした参加者ばかりではなかった。
ザイヨー・ヨーロッパ(Zayo Europe)のヨーロッパ営業ディレクターであるアミラ・ソルターニ(Amira Soltani)氏は、もっと技術的な詳細を知りたかったと述べた。
「コンピューティングやサービスについてはよく耳にするが、実際にそれがどう機能するのかはよく分からない」と彼女は言った。「マーケティングの要素が強すぎる」
もっとも、それこそがサミットの目的だったのかもしれない。
ヨーロッパの大企業がミストラルを支持するために結集しているように見えるのは、同社がより大きな何かの象徴となっているからだ。すなわち、ヨーロッパは依然として次世代の大きな技術革新を生み出し、それを制御し、そこから利益を得られるという信念である。
熱意は感じられるものの、パーカー氏は前途の課題の大きさを認め、ヨーロッパはAIインフラ、人材、投資のいずれにおいてもアメリカに後れを取っていると述べた。
「ヨーロッパはようやく追いつこうと動き出している」とパーカー氏は言った。「ようやくこうした動きが見られるのは喜ばしいことだ」
