ノルウェー南部沖のスカゲラク海峡で発見された18世紀の沈没船から、中国製磁器やヨーロッパ製の高級品が大量に見つかったと、ノルウェー政府とノルウェー海洋博物館が6月1日に発表した。Greek reporterが伝えた。
発見のきっかけは2025年9月にさかのぼる。プロダイバーのエスペン・オースタがノルウェー沿岸で海底調査を行っていた際、水深約600メートルで撮影した映像の中に、積み重なった状態の磁器と沈没船を見つけた。船の全長は約22メートルだった。
オースタが映像をノルウェー海洋博物館に送ったところ、研究者たちは直ちにその重要性を認識し、調査に着手した。同館の研究責任者スヴェン・アーレンスは次のように当時を振り返った。
「驚くべき沈没船だと思いました。過去に海底から積み荷や貨物が見つかったことはありますが、多くは破損していたり、海洋生物に覆われていたりします。しかし今回は、皿がそのまま積み重なった状態で海底に残されていたのです」
博物館の研究者は、映像に映る積み荷を18世紀の中国製磁器と特定。また、シャンデリアの破片やステムグラス(脚付きグラス)などの高級品も確認された。こうしたことから、この沈没船は「磁器沈没船(Porcelain Wreck)」と名付けられた。
遺物が語る18世紀の豊かな交易
調査チームは、調査船から遠隔操作するROV(遠隔操作型無人潜水機)を用いて本格的な調査を開始した。2026年5月には、特殊な吸着装置を備えたロボットアームによって約40点の遺物を回収。その大半は中国製磁器で、数百年にわたって海底に眠っていたとは思えないほど良好な状態を保っていた。
このほか、茶葉や薬草、医薬品などが収められていた可能性のある木箱、2本のアンカー、ホーズパイプ(錨鎖を通す管)、望遠鏡とみられる部品、船内調理場(ギャレー)に関連する遺構、鉄製ストーブなども確認された。一方で、この船に大砲が搭載されていた痕跡が見つかっていない点にも研究者たちは注目している。
研究者らは、この船が北ヨーロッパ域内で運航されていたガリオットと呼ばれる小型貨物帆船だったとみている。船そのものがアジアまで航海した可能性は低く、中国製磁器は、アムステルダムやコペンハーゲン、ヨーテボリといった主要な交易港を経由して積み込まれたと考えられる。
今回の発見は、18世紀ヨーロッパにおける交易ネットワークの拡大と消費文化の発展を示す重要な証拠でもある。ノルウェー沖で見つかる沈没船の多くが木材や魚、鉄など単一の貨物を運んでいたのに対し、この船は多種多様な輸入品を積載していた。
プロジェクトを率いる海洋考古学者フロデ・クヴァルーは声明で、 「磁器沈没船は、18世紀の北ヨーロッパにおける広域的な商業活動の広がりを示す、初めての発見例です」と述べている。
しかし、これまでに回収された遺物は全体のごく一部にすぎない。海底には未開封の木箱を含む数千点の遺物が残されており、今後さらなる発見が期待されている。
研究チームは次の段階として、本格的な発掘調査の実施を検討している。実現すれば、国際貿易が急速に発展した時代の海上交易や船舶運航の実態、さらには船員たちの日常生活について、これまでにない知見が得られる可能性がある。

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