Tata Electronics Randhir Thakur氏(前列左)とASML Christophe Fouquet氏(前列右)

 2026年5月15日に発表された基本合意書(MOU)によると、ASMLはリソグラフィ装置一式および技術的専門知識を提供し、Tata Electronicsの110億米ドル規模の工場を支援していくという。同工場は、自動車やモバイル機器、AIなどの用途に向けたチップを製造する予定だ。

 Tata Electronicsは以前開催された業界イベントにおいて「この工場の生産能力はウエハー換算で月産5万枚で、高性能ロジックチップや、Bluetooth/Wi-Fi 向けRF対応SoC(System on Chip)、IoT製品、パワーマネジメントIC、ディスプレイドライバー、不揮発性メモリデバイスなどを製造する予定だ」と述べている。

 Tata ElectronicsのCEO兼マネージングディレクターであるRandhir Thakur氏は「われわれは、ASMLが有するリソグラフィの深い専門知識によって、ドレラ工場をタイムリーに立ち上げ、Tata Electronicsのグローバル顧客に向けてレジリエントかつ高信頼性なサプライチェーンを構築していく」と述べている。

完全自動の工場を2027年に稼働予定

 ASMLのプレジデント兼CEOであるChristophe Fouquet氏は「拡大し続けるインドの半導体産業は、非常に魅力的なチャンスをもたらす。われわれは、同国内で長期的な提携関係を構築することにコミットしていく」と述べた。

 ドレラ工場は、28nm~110nmプロセスを適用して半導体を生産し、グローバルな顧客に提供する予定だ。ASMLはこのような成熟ノードに注力することの意義を主張し、「成熟ノードによる売上高は専業ファウンドリーだけで約400億米ドルに達し、垂直統合型デバイスメーカー(IDM)を含めると600億米ドルに上る」と述べている。

 ASMLは以前、業界向け講演の中で「大型パネルディスプレイ用ドライバーだけでも、年間120万枚のウエハーが消費されている。110nm~130nmプロセスは長期的に維持される見込みだ。スマートフォンでは、アプリケーションプロセッサには最先端プロセスを適用するが、コーデックやディスプレイドライバー、オーディオアンプ、RFフロントエンドなどのコンポーネントは旧世代プロセスで製造されている」と述べた。

 現在、約1500人の作業員が160エーカー(約65万m2)の敷地で建設作業を進めている。米EE Timesが入手した情報によると、この工場は、完全自動化された無人の(Lights-out)「インダストリー4.0」工場として設計されていて、2027年に稼働開始予定だという。

 Tata Electronicsは既に、台湾のPowerchip Semiconductor Manufacturing Corporation(PSMC)と提携し、技術へのアクセスを確保しているという。EE Timesの取材によると、Tata Electronicsは東京エレクトロンとも装置供給に関する契約を結んでいるほか、設計ツールではSynopsysと契約済みだという。さらに、Analog Devices(ADI)やHimax Technologies、Bharat Electronicsといった顧客企業とも契約を締結しているとみられる。

 2020年にTata Groupの合弁企業として設立されたTata Electronicsは、インドのグジャラート州、アッサム州、タミルナドゥ州、カルナータカ州に拠点を展開している。

 今回の提携は、インドにおける半導体消費量が今後8年間で約340億米ドルから約1100億米ドルへ、3倍以上に増加すると予想されている中で実現されたものだ。インドとオランダは世界の半導体サプライチェーンの中で地位強化を目指していて、この提携は半導体技術協力の深化を示すものだといえる。

※米EE Timesの記事を翻訳/編集したものです。

EE Times Japan

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